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1-2「久留米絣を世界へ」-下川織物ー
【目次】
1 久留米絣の紹介
-1 下川織物・久留米絣とは
-2 「革新的」な伝統工芸品
2 下川織物3代目 下川強臓さんについて
-1 下川さんの「こだわり」
-2 久留米絣の魅力を世界へ
-3 「久留米絣があふれる世界」の実現へ
3 下川織物の生産地・福岡県八女市について
2 下川織物3代目 下川強臓さんについて
今回私たちは、久留米絣の製造に携わっている下川強臓さんにお話を伺いました。
下川強臓さんは福岡県八女市出身で、現在下川織物の三代目を務めていらっしゃいます。
大学時代に一度地元を離れましたが、「久留米絣の伝統を守りたい」という思いから、家業である下川織物の経営を担う決断をしたそうです。
2-1 下川さんの「こだわり」
職人の技によって作り出される伝統工芸品ですが、商品の魅力を引き出すために、下川さん自身にも商品を製造する際のこだわりがあります。
それは材料にストレスを与えないこと。
糸そのものにストレスをかけないように心がけることで、柔らかい生地に仕上げることができます。
また同時に道具に対しても人と同じでストレスがかかるという考えから、道具を大切に扱うことを常日頃から心がけています。使用している道具のメンテナンスは下川さん自身も含めた職人の方々が行っています。メンテナンスなしに同じ道具を使い続けることは困難であり、自身でこまめにメンテナンスを行うことによって、長い間同じ道具を使い続けることができています。
2-2 久留米絣の魅力を世界へ
下川さんは積極的に情報発信を行っています。
SNSや企業サイトなど様々なツールを利用して、下川織物の魅力を発信しています。
伝統工芸品とデジタルは交わらないものだというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、下川さんはデジタルを扱うことを恐れずに、時代の流れに乗ることを大切にしています。
最近ではAIを利用して久留米絣の多様性を創造する「AIプロジェクト」にも参加しています。AIプロジェクトの詳細については、こちらでご確認ください!
https://www.youtube.com/watch?v=jHBEYqEw8bI
そして下川さんは、特に海外に向けて積極的に下川織物の魅力を発信していらっしゃいます。
下川さんが海外に向けて発信を行い始めたきっかけは、SNSにあります。
InstagramやFacebookを利用して情報発信を行っていたところ、海外の方が伝統工芸品に対する関心が高いこと、そして世界の中で久留米絣の製法は他にない「オンリーワン」なものであることを知ったのです。
それから、海外の有名ブランドとのコラボレーション商品の開発や、海外ブランド向けの講演会の開催を積極的に行うようになりました。
下川さんは海外に発信をする中で、良くも悪くも「伝えること」が重要であると考えています。「伝えること」で下川織物が多くの人の目に触れるようになり、そして商品そのものの情報だけでなく「誰がどこで、どのように作っているのか」を多くの人に知っていただくことができるのです。
下川さんが海外へ発信をする中で感じたこと。
それは「経糸と緯糸で世界の人と繋がることができる」ということです。
「経糸と緯糸で織物が完成する」ということは世界共通であり、言葉や文化の違いを超えて織物で海外の人と繋がることができるのです。
そして、下川さんの今後の目標は「織物を通じて世界中の人と対話すること」。
織物を商材と捉えるだけでなく、一種のコミュニケーションツールと捉え、今後もより多くの方に下川織物の魅力を発信していくことを目標にしています。
下川さんが下川織物の魅力を発信しているSNSはこちらです。ぜひご覧ください!
Facebook:https://www.facebook.com/pg/shimogawaorimono/posts/
Instagram:https://www.instagram.com/shimogawakyozo
2-3 「久留米絣があふれる世界」の実現へ
下川さんには、もう一つ目標として掲げていることがあります。
それは「全国各地、世界各地で下川織物に触れることができるようになること」です。
このことを実現するための取り組みの1つとして、下川さんは「起業家支援」にも力を入れています。「起業家支援」とは、久留米絣を利用した商品を販売しようと考えている方を支援する活動のことです。
1人の力で久留米絣という伝統工芸品を世に残すことは困難です。
だからこそ、久留米絣を商品として扱おうと考えている人(起業家)を積極的に支援する姿勢を大切にしています。
様々な人と連携をしながら「久留米絣があふれる世界」の実現を目指しているのです。
また近年ではあらゆる職種で後継者不足が深刻化しており、伝統工芸品業界も後継者不足に悩まされています。
下川さんは後継者不足が深刻化している今、血縁だけではなく「思い」で繋がることが大切であると考えています。伝統工芸品への愛情や魅力を発信したいという情熱で人と人が繋がり、ともに伝統工芸品を守っていくことが大切なのです。
実際に下川さんは下川織物に興味を持った人を積極的に受け入れています。学生や海外の方、主婦の方など世代を問わず様々な人を受け入れ、下川織物の製作に携わる機会を提供しています。
また、下川織物では工場見学をすることも可能です。
通常の見学以外にセミナー見学やオンラインを利用した見学など、様々な種類があり、個人の希望に合わせたかたちで、久留米絣の製造風景を見ることが可能です。
事前予約が必須ですので、興味のある方はこちらのページよりご確認ください!
https://oriyasan.com/kengaku/