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債務整理とは

1 債務整理とは

当事務所(法律事務所アウルの家)では、日常に生じる様々な法律問題について、相談依頼に対応しています。

今回は、noteの最初の投稿ということで、多くの法律事務所で、対応している「債務整理」(さいむせいり)という業務について、弁護士のいう「債務整理」とはそもそもどのような業務か、ということについて、ご説明したいと思います。

私は、できる限り、弁護士というものを近づきやすい、話がしやすい存在にしたいと思っておりまして、その一環として、色々な法律の話について、分かりやすく説明していこうというのが、noteを始める目的です。

2 そもそも「債務」とは?

「債務」(さいむ)という言葉は、民法を勉強しますと、勉強の最初のほうから出てくる言葉です(ただ、かなり色々な使い方をされている単語なので、学ぶほどにかえって分からなくなってきたりもする不思議な単語でもあります。)。 この言葉は、「債権」(さいけん)という言葉とセットになっていまして、定評のある民法の入門書では、「①特定の者(債権者)が、②他の特定の者(債務者)に対して、③一定の行為をしてもらう権利」をいうと書かれています(山本敬三監修「民法Ⅰ 総則(有斐閣ストゥディア)」8頁(有斐閣、2021年))。

例えば、物の貸し借りである賃貸借契約は、契約をすると、借主は賃料を払う債務や、最後に物の返還をする債務などが発生することになりますし、これに対応して、貸主は、賃料を受け取る債権や、最後に物の返還を受ける債権などが発生することになります。会社から雇われて労働するときに締結する雇用契約は、労働してもらう債権労働する債務給料を支払う債務給料を受け取る債権などが発生することになります。

このように、本来は、「債務」という言葉は、非常に広い意味合いを持つ言葉なのですが、弁護士業務のなかで、一口に、「債務整理」という場合には、基本的に、お金の支払いができなくなった(事業者であれば、資金繰りができなくなった)という場合の相談を指すことが通常です。

人から借りたお金ですとか、数ヶ月たまってしまった賃料などを支払うことができない、など、もうお金の支払いができなくなってしまったという場合に、債務者の方から受ける相談が、「債務整理」業務です。ちなみに、賃料を支払うのが遅れたら、退去を求められたけれど、その後はきちんと賃料を支払っているのに退去しなければならないのかどうか、といった相談は、「債務整理」とはまた別の、建物賃貸借に関する相談ということになります。

3 「債務整理」は社会に必要

弁護士が行う「債務整理」は法律を前提にしたもの

もし、この記事を読んでいる方で、むしろ自分はお金を貸している側だ、という場合には、「借りたお金は返すことが当然だろう」と考えるかもしれません。その考え自体はもっともです。そのため、「債務整理」という言葉には、どこか後ろ暗い雰囲気を感じさせるところがあるかもしれません。

ただ、弁護士が行う債務整理というのは、法律を前提にした債務整理です。
例えば、「月々の返済金額・返済期限を再設定したり、遅延損害金は発生しないようになれば返済できるのに……」という場合の返済条件の交渉は、「任意整理」(にんいせいり)といいますが、これは相手方との合意をベースにするものですし、破産手続や民事再生手続も、それぞれ破産法や民事再生法に、手続や結果(効果)がきちんと定められています。

どうしても返済困難な場合はある

そもそも、「借りたお金は返すことが当然」ではあるのですが、実際には、病気などの事情で働くことができない、働きたくても働き先が見つからない、しかも資産もない、というような状態で、無理に返済を強いることはできないですし、収入はあるけれどもとても返済していける金額ではない、という場合にも、どこかの段階で、区切りをつける必要があります。
借金のことばかり考えるようになると、心身も健康ではいられなくなってしまいます。

債権者にとっても区切りになる

このことを考えますと、お金を貸す側の立場からみても、元々は、お金を貸す段階から、将来的に返済を受けられなくなってしまう可能性もあった訳ですから、上記のような状況で、債務者がきちんと法的な手続を取って、財産状況や収入状況などを開示して、返済可能な分までは返済を受けられたならば、そこで一つの区切りとしたほうがよい場合が多いでしょう(ただし、例外的には、破産をしても免除されない債務などもありますが…。)。

実際のところ、貸す側にとっても、貸したお金が返ってこないままで、何度も何度もいつまでも、請求を繰り返さなければならない状況よりは、きちんと倒産手続を取ってもらったほうがまだ納得できる(税金の処理上も有利になる)といったことがあります。

結論

ですので、「返済できなくなってしまって困っているときは、弁護士に相談して、債務整理をしましょう」ということになるわけです。
実際に、どのような債務整理が適切かということについては、相談のなかで、以下のような書類を確認して、相談者のお話も聞きながら、アドバイスをすることになります。

4 債務整理の相談方法

債務整理の相談について、当事務所にご相談頂くときの方法についても、ご紹介します。
法律相談を希望するときには、電話またはホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。
https://owl-home.jp/

最初は、債務の総額(大体の金額)、債権者のリスト、各債権者の請求金額(大体の金額)、相談者の資産、収入状況、などを確認して、相談にご来所頂きます。

相談のときには、

  • 債権者から届いている書類(請求書など)

  • 相談者の資産状況がわかる書類(例えば、預金通帳)

  • 相談者の収入がわかる書類(例えば、給与明細、源泉徴収票)

といった物をお持ち頂けたほうがスムーズです。

5 終わりに

この記事では、「債務整理」とはそもそもどのようなものなのか、言葉だけではイメージが湧かないという方向けに、最初のご説明をしました。
債務整理の具体的な方法については、また別記事で書くことにしたいと思います。

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