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幽霊に迫られ、クリスマスに大改心?ディケンズの『クリスマス・キャロル』③

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今月は、ディケンズの『クリスマス・キャロル』を取り上げます。

『クリスマス・キャロル』と言えば、クリスマスを代表する作品として、世界的に有名な作品です。

貪欲な金貸しのスクルージが、クリスマス・イヴの夜に三人の幽霊に出会い、自分の人生を反省し、改心するという奇跡のお話。

近年ではディスニーでも映画化されています。

※クリスマス&ディスニーなのに、怖い幽霊たちに怒られるため、子どもにはちょっとホラーすぎるかも💦笑


『クリスマス・キャロル』が名作と言われる理由は、

人間嫌いで、お金儲けだけに勤しんでいたスクルージが、「これからはみんなの幸せのためにお金を使おう!」と決意するラストが、道徳的にも学びの深い作品と捉えられているからだと思います。




『クリスマス・キャロル』……金の亡者・スクルージが、クリスマス・イヴに幽霊に迫られて大改心?


チャールズ・ディケンズ(1812~1870)

イギリスの国民的作家。
両親が金銭感覚に乏しかったために家が破産。12歳から靴墨向上で働く。
小学校を卒業後、弁護士事務所に就職。
その後、新聞記者となる。
仕事の合間にエッセイを書いたことをきっかけに、執筆活動を開始。
雑誌編集等のかたわら作品を発表し、人気作家となる。脳卒中により58歳で死去。

代表作品:『オリバー•ツイスト』『二都物語』、『大いなる遺産』など


【書き出し】


第一にマーレイは生きていない。それについてはいささかの疑いもない。

彼の埋葬登録簿には牧師も書記も葬儀屋も、喪主も署名している。

スクルージも署名した。



【名言】


「過去、現在、未来ー三世を生きるこの身にクリスマスの霊は宿る」


「まったく見えない目でも、他人を不幸にする目よりはましですよ、目の見えないご主人様!」


「世の中には、幸せを感じること、喜びを与えられることがいくらでもありますよ。金儲けになるとは言いませんがね。」



【解説】


・ささやかな日々の中にある幸せ

ディケンズの『クリスマス・キャロル』は世界中で親しまれるクリスマスの名作。

1843年発刊から180年ほど経っているにも関わらず、毎年、クリスマスの時期が近づくと、本屋の店頭に並べられていたり、数年に一度は映画もされています。

クリスマス・キャロルで描かれているテーマの一つは、「ささやかな日々の中にある幸せを感じ、感謝しよう」、ということ。

貧しいなかでも温かい家庭があることの幸せを世界中に知らしめた作品であると言われています。



・クリスマスイブの大改心

『クリスマス・キャロル』は、人間嫌いで、金儲けだけに勤しんで生きてきたスクルージが、クリスマス・イヴに過去・現在・未来の三人の幽霊に出会ったことで、自らの人生を反省し、大改心する物語でもあります。

一番目の幽霊に連れていかれた「過去の世界」。

金儲けのためだけに生きてきた自分が、いったいどれだけ多くの人たちを泣かせてきたかを見せつけられます。


二番目の幽霊に連れていかれた「現在の世界」。

今このクリスマス・イヴに、どんな貧しい人たちがいて、どんな苦しみを味わっているかを見せつけられます。


最後の幽霊に連れていかれた「未来の世界」。

人々に忌み嫌われた自分が、哀れに死んで行く姿を見せつけられます。


三人の幽霊に、自分に関する過去・現在・未来の世界を客観的に見せられたことで、スクルージは大きく後悔し、反省を始めます。


自分がどれほど醜い人生を生きて来たか。

自分がどれほど多くの人たちを害して来たか。

自分がどれほど人々の涙を知らなかったか。


こうしたことに深く感じ入り、自分のふがいなさに涙します。


できることならば、もう一度、人生をやり直したい!

未来を変えたい!

と、幽霊に嘆願するスクルージ。


夜が明けてみると、世界は何事もなかったように平和なクリスマスを迎えています。

命からがら人生を懺悔していたスクルージにとっては、それだけでとても有難い。

自分の人生がまだ続いていて、自分には、まだやり直すチャンスがあるではないか!

そのように思えるだけでも、彼にとっては大きな喜びです。

すべての人々が素晴らしく見えます。

世界が美しく輝いて見えます。


実際には、いつも通りの日常が続いているわけだけど、自分の心境が変わっただけで、世界がとても美しく見えるようになるのです。

「物事の見方はすべて、自分の心次第」、ということが分かる作品でもありますね。



『クリスマス・キャロル』の書かれた時代


ディケンズの生きた十九世紀のイギリスは大英帝国として発展した時期でしたが、一方で貧富の差が拡大しました。

特に『クリスマス・キャロル』の書かれた1840年代は、労働者階級の生活が困窮を極め、「空腹の四十年代」と呼ばれています。

そのため、ディケンズ作品は、スクルージのようなお金持ちと貧しい人々との関係を題材として描かれることが多く、当時の社会状況が色濃く反映されています。

ディケンズ自身も、『クリスマス・キャロル』を書いた目的として、「富裕層や権力者に対して、金儲けだけでなく、貧者・弱者への救済や、人間愛による連帯を教えること」を挙げています。



極端な富の否定にはご注意を


『クリスマス・キャロル』では、お金儲けに勤しんでいたスクルージが貧しい人々への寄付を断る場面が印象的に描かれ、後に幽霊によってその言動を反省させられています。

ただ、スクルージがお金持ちになったのは、どケチとはいえ、仕事に邁進してお金を貯める才能があったから。

その頑張りの一部は、評価されてしかるべきではないでしょうか。


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