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元祖・青春文学💖川端康成の『伊豆の踊子』②

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第3作目には、川端康成の初期の代表作、『伊豆の踊子』を取り上げます。

川端康成といえば、日本初のノーベル文学賞作家。

『伊豆の踊子』は、19歳の川端康成が、実際に伊豆を旅した時の体験を元に書かれている、旅情溢れる純文学です。



今回は、『伊豆の踊子』第2回目。
学校では教えてくれない、ここだけの解説ポイントを学んでいきましょう!


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次回以降、気をつけてまいります。


川端康成「伊豆の踊子」

孤独な伊豆の一人旅。そこで出会ったのは、純粋無垢な踊子だった。

川端康成の初期の代表的な短編小説。



川端康成(1899~1972)

大阪府生まれ。
東京帝国大学(現東京大学)文学部国文学科卒。
大学時代に菊池寛に認められ、卒業後は横光利一らと「文藝時代」を創刊。
一高時代の伊豆旅行の体験を元にした『伊豆の踊子』を発表し、新感覚派の作家として台頭した。
日本的美意識を追求し続け、1968年、日本人初のノーベル文学賞を受賞した。
代表作品:『伊豆の踊子』『雪国』『山の音』『眠れる美女』『古都』など



【書き出し】

道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。


※あらすじは、前回の記事をご参照ください♪↓↓


【解説】

・青春文学の古典として:胸キュンポイント3選!


『伊豆の踊子』は、悩める青年が、純粋無垢な踊子との束の間の出会いと別れによって心を浄化される物語。

まさに日本を代表する青春文学、純愛の古典として長らく読み継がれてきました。

ここからは、『伊豆の踊子』の胸キュンポイントを3点に渡ってご紹介していきたいと思います。


胸キュンポイント①身分違いの恋

旧制第一高等学校に通うエリート学生である「私」と、身分の低い旅芸人一行の踊子。

旧制第一高等学校といえば、現在の東京大学教養学部の前身となったエリート学校です。

「旧制一高」という通称でも知られています。

つまり、「私」は日本全国の誰もが認める、将来を期待されたエリートなんです。

一方、踊子は、旅芸人一家の娘。

旅先で芸をお客に見せて回ることで生計を立てており、低い身分の生業として、軽蔑されていることが小説内の描写からも分かります。

要するに、「私」と踊子は、身分違いの恋であり、旅行先でなければ出会って仲良くなることもなかったような関係です。

身分違いの恋は、いつの時代も人々の感情をゆさぶるものです。

正式に結ばれることが難しい恋こそ、燃え上がりやすいということも。笑

身分違いの恋ではありませんが、シェークスピアの名作『ロミオとジュリエット』では、敵対関係にある家族間の子供同士が恋に落ちます。

これも、世間的に見たら決して結ばれない立場、という意味では『伊豆の踊子』とやや構図が似ているかもしれません。

恋というのは不思議なもので、相手のなかに自分にないものがあるから、より強く惹かれやすいのかもしれません。

また、周りから反対されたり、引き離そうとすればするほど、引き付け合うこともあるのが恋の力

実際に小説内でも、「私」が踊子を活動(映画)に誘おうとしたけれど、母親が承諾しなかった、というエピソードも出てきます。

簡単には二人の時間を過ごすことができない。

ましてや踊子は、お客さんに踊って見せる人気稼業ですから、「私」だけが独占できる対象でもない。

そのあたりもまた、「私」の気持ちを募らせる一因となっている気がします。



胸キュンポイント②旅のひと時の恋

二人の恋は、旅が終われば必ず別れの来る淡い恋です。

旅行という「非日常空間」でのひと時の恋であり、必ず別れが来ることも、私たちの心に訴えかけ、旅情を呼び覚まします。

前述したように、「私」は旧制一高のエリートであり、おそらく勉学に勤しんできたであろう人生。

対する踊子は、宴席でお客さんを楽しませる旅芸人の娘として、芸事の修練に勤めてきたはずです。

偶然、旅を機縁として出会った二人ですが、日常生活の中で出会っていたとは考えられません。

伊豆という旅先で、主人公の「私」が傷心気味だったからこそ、踊子の純真さに目が留まったのであり、旅先ならではの特別な出会いだと思います。

そして、仮に旅の終わりに二人が一緒になりたいと願って、「私」の日常生活に踊子がついていったとしても、現実問題は共存がなかなか難しいのは目に見えています。

踊子はまだ14歳ですし、「私」は20歳で勉強中の学生の身。

結ばれたとしてもライフスタイルの違いから、悩みも増えていくのではないかと思います。

旅の恋は、旅だからこそ輝くもの。

その時、その一瞬のきらめきの中に、踊子の美しい瞳があるからこそ、いつまでも記憶の中で美しく輝いて行くのだと思います。

異質な者同士が出逢い、心惹かれていく様子。

そして、旅の終わりと共に恋の終わりがやってくる情感。

これらを、美しく繊細な文体で表現した川端康成の文章力、圧巻です。



胸キュンポイント③青春時代の純愛

やはり、何と言っても「純愛」であることが多くの人の胸を打ったことは間違いないでしょう。

「私」は20歳の学生。

踊子と出会った時の印象からして、おそらく一目惚れだったのでしょう。

踊子のことが気になって仕方がないですし、座敷に呼ばれて踊っている踊子が、その夜にどうなってしまうのかを想像してモヤモヤしています。

また、その後には、温泉で一緒になった時に、ひょんなことから踊子の裸身を見てしまい、まだ子どもである、ということに気づいてホッとしたりしています。

一方、踊り子も「私」にお茶を出す時に緊張してこぼしてしまったりと、意識している様子が出てきます。

また、娘盛りのような服を着せられていたから17、18歳のように見えたものの、実際には踊子は14歳。

20歳と14歳の二人は、まだまだ若く、恋の経験も少なかったのではないかと思います。

このように若く多感な時期の出会いだからこそ、一途に相手を思う純粋な心情が表れていて心洗われるようです。

人間、年を取るとどうしても異性に幻滅する時も出てきますし、大人の恋愛を経験しすぎて、若い頃のように相手を理想化する力がなくなってしまった、という方もいます。

異性を見て純粋に理想化し、憧れられる時期というのは限られているものかもしれません。

川端康成が、まさにそのような「青春の純粋なひと時」を切り取ったからこそ、瑞々しい文学作品として昇華されているのではないでしょうか。



・『伊豆の踊子』は『日本版・ローマの休日』?

『伊豆の踊子』のキーワードとして『身分違いの恋』『旅のひと時の恋』『青春時代の純愛』という3点を挙げました。

実は、このキーワードにズバリあたる世界的名作が映画『ローマの休日』です。

『ローマの休日』では、オードリー・ヘップバーン演じるアン王女が、ある日宮廷を抜け出して、新聞記者のジョーと身分違いの恋に落ちます。

わずか数日間で数々のローマの観光地を巡るアンとジョー。
少女のような可憐さと王女の気高さが混在したようなアン王女の魅力が光り、世界的なブームとなりました。

劇中でオードリーが訪れたトレヴィの泉、スペイン広場などはすべて大人気の観光スポットになりましたし、旅情を掻き立てる恋愛映画としても成功しています。

このことからも、『純愛』『身分違いの恋』『旅のひと時の恋』は共感を呼びやすく、世界的名作になりえる組み合わせだということが分かります!

『ローマの休日』の30年以上前に『伊豆の踊子』を書かれている川端先生、お見事です!



さて、今回の解説はこの辺りまで。

次回解説では、

・『伊豆の踊子』にみる恋の効用

・川端康成の人物像について

・美しい旅行記としての『伊豆の踊子』5選!

・『伊豆の踊子』に学ぶ恋の描写3選!

などを予定しています♪

お楽しみに!

今回も最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございました🌸



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