「安楽死」の是非を問う衝撃作。森鴎外の『高瀬舟』②
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6月第1作目には、森鴎外の短編小説、『高瀬舟』を取り上げます。
森鴎外といえば、夏目漱石と並んで、日本の文学界に大きな影響を与えた人物です。
『高瀬舟』は、安楽死の是非を問う衝撃作。
本職が軍医である鴎外らしく、新しい歴史小説の領域を開拓した名作です。
森鴎外「高瀬舟」
安楽死の是非を問う、衝撃の短編歴史小説
森鴎外(1862~1922)
【書き出し】
高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。
徳川時代に京都の罪人が遠島を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこで暇乞いをすることを許された。
※あらすじは、前回の記事をご参照ください♪↓↓
【解説】
・『高瀬舟』は実話が元になっている?
『高瀬舟』は、今にも死にそうな弟を安楽死させたことで、罪人となった喜助の物語です。
この物語は、実際に江戸時代にあった話に森鴎外が興味を持ったことから始まっているとのこと。
鴎外の『高瀬舟縁起』によると、「神沢貞幹の『翁草』所載の話(「流人の話」)を読んで、『財産と言うものの観念』と『ユウタナジイ』(安楽死)の二つの問題があることに興味を持ち、この作品を書いた」のだそうです。
・「知足」と「安楽死」がテーマ
「流人の話」を読んで、鴎外が『高瀬舟』の主なテーマにしたのは、
①「知足」…今までの極貧生活にくらべれば、居場所もあるし、手元にお金もあるのは幸福―島流しは本当に罰になるのか?
②「安楽死」…死にかかっていて、死なれずに苦しんでいる人を死なせてやることは罪となるのか
の二点だったようです。
医者である鴎外らしい、鋭い視点。
そして、罪と罰の概念をガラッと揺さぶっているところに、鴎外の意図を感じます。
①「知足」:今までの極貧生活にくらべれば、居場所もあるし、手元にお金もあるのは幸福―島流しは本当に罰になるのか?
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