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財宝や超能力よりも大切なものとは?ー芥川龍之介の『杜子春』②
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1月第2作目には芥川龍之介の『杜子春』を取り上げます。
芥川龍之介は数多くの短編小説を書かれています。
芥川作品のなかでも『杜子春』は、『蜘蛛の糸』とともに国語教材として、よく親しまれてきました。
『杜子春』ー人間にとって、財宝や超能力よりも大切なものとは?
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『杜子春』は唐代の小説『杜子春伝』をもとに創作した童話です。
芥川龍之介の手腕により、原作の『杜子春伝』と比べて、『杜子春』はより人間味に溢れ、子供の読みやすい教訓話へとアレンジされています。
日本人としてもぜひ知っておきたい、教養ストーリーの一つ。
ぜひご一読ください。
芥川龍之介(1892~1927)
東京府(東京都)生まれ。
東京帝国大学(現東京大学)文学部英文科卒。在学中に短編『鼻』を執筆し、夏目漱石に絶賛される。
大学卒業後、英語教師を経て作家となる。
古典を題材とした短編小説が多い。
三十歳前後から体調を崩しがちになり、三十五歳で睡眠薬自殺。
死後、友人の菊池寛によって芥川賞が設立される。
以降、芥川賞は純文学系の新人作家の登竜門となる。
代表作品:『杜子春』『羅生門』『トロッコ』『河童』など。
【書き出し】
ある春の日暮れです。
唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。
若者は、名は杜子春といって、元は金持の息子でしたが、今は財産を費い尽くして、その日の暮らしにも困るくらい、憐れな身分になっているのです。
【名言】
「何、贅沢に飽きたのじゃありません。人間というものに愛想がつきたのです」
「もしお前が黙っていたら、おれは即座にお前の命を絶ってしまおうと思っていたのだ」
※あらすじの前編は第1回目の記事をご覧ください。
【あらすじ】(後編)
峨眉山に着くと、老人は杜子に、「これから一人になると、多くの魔性がお前を惑わせるだろうが、決して声を出すな。一言でも口をきけば仙人にはなれない」と言って、遠い空へと姿を消してしまいました。
杜子春が岩の上に立った1人で座っていると、一匹の虎と白蛇が現れ、杜子春に襲いかかろうとしました。
杜子春の命が一瞬で絶たれるかと思われたその時、虎と蛇は霧の如く、夜風とともに消え失せてしまいました。
次には雷鳴とともに滝のような雨が降り出し、真っ赤な一本の火柱が杜子春の頭に落ちかかりました。
杜子春は一枚岩の上にひれ伏しましたが、眼を開けると、空は晴れ渡っていました。
今の大あらしも、虎や白蛇も、魔性の悪戯に違いありません。
今度は金の鎧を身に付けた神将が目の前に現れました。
神将の「お前は何者か」という質問に杜子春が何も答えなかったため、神将は戟(ほこ)で杜子春を突き殺しました。
杜子春の魂は体から抜け出し、地獄の底へと下りて行きました。そして閻魔大王の前に引き出されます。
閻魔大王は杜子春に質問を繰り返し、あらゆる地獄の責め苦に遇わせますが、杜子春は一言も口を利きません。
そこで閻魔大王は、畜生道に落ちて体が馬の姿になっていた、杜子春の父母を拷問にかけることにしました。
杜子春は老人との約束を果たすべく、目をつむっていましたが、鬼たちに鞭打たれ、倒れた母から、「私たちはどうなっても、お前さえ仕合せになれるのなら、それより結構な事は無いのだからね」という懐かしい声がかすかに聞こえ、目を開きました。
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