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会社員からバカにされた件と【月刊お気楽フリーランス論 Vol.7】禁句集「できません」「例を見せてください」+会社員が言う「あの人この仕事だけで50万円も貰ってるのですよね…」も理解しよう

先日福岡に行き、モツ鍋を食べたのですが、私の文章を色々と読んでくださっている男性・A氏からこう言われました。

「中川さん、あの文章は本当に良かった! アレがもうネットには残っていないので、もう一度書いてもいいんじゃないの? 本当にアノ話はいい! 僕は中川さんの腹が立った気持ちも分かるけど、記事中に出たX氏の言った『三流! 三流!』という言葉も僕みたいなサラリーマンには理解できる。しかも、それをコンビニで言ったってのが味わい深いんですよ!」

さて、ならば今回はココから始めますか。今回はサラリーマンとフリーランスの違い、といった点を主軸に書いてみます。なお、この話は過去に「夕刊ガジェット通信」で書いた話です。当時書いたものを短くし、無料部分に記します。

さて、Xは私の高校時代の同級生です。彼と私の父親は同じ会社で働いており、いわゆる「駐在員」としてアメリカの田舎街で働いていました。日本人は学校にそんなにいなかったため、彼と一緒に遊ぶこともありました。しかし、あんまり気が合うとは思えなかったんですよね。なぜかというと、彼は常に私をライバル視している感がありました。私は彼のことなんて眼中にも入れていなかったのですが、彼は私が気になって仕方がないようです。

アメリカの高校って残酷なまでに実力社会で、「Acceleration」というコースがあります。たとえばPhysics(物理)やCalculus(微分積分)には「Acceleration」コースがあります。要は「成績の良いトップ25人」がそのコースを選択できるということですね。高校は4年間なのですが、2年目までの成績で「Physicsをあなたは取る場合はAccelerationコースにしなさい」と教師からは言われるのです。

今の完全に文系になった私からすれば理解不能なのですが、2年生の時に「mathlete」というアスリートにかけた造語の数学大会で学年1位になり表彰されたんですよ。そして3年生の時はPhysics Accelerationのコースを受けることに。あとは、数学も私はPre-Calculus Accelerationを受講することに。そこで、後に親友となるオタク軍団と知り合い、私は彼らと毎日放課後は遊び呆け、夜は彼らの家に行って夜までピザを食べながらダイエットペプシを飲み、物理や数学、ゲームの話なんかをするわけです。多分、Xは仲の良い友人はいなかったと思います。当時のアメリカは日本人差別がすごかったですし。

そんな中、Xは通常のPhysicsとPre-Calculusのコースを取ることになります。翌年も私は無事CalculusのAccelerationコースも受講できました。どうやらこれが彼の劣等感に繋がったようで、ことあるごとに私の前では舌打ちをしたり、まぁ、態度が悪いわけです。そして駐在員の世界ってものは狭いもので、なんとなくXが私に対して良くない感情を持っていることは理解しました。

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この写真は有明海を臨む屋外サウナでたき火をした時のことです。さて、アメリカ生活は最初の2年はクソみたいでしたが、オタク軍団のお蔭で最後の2年半は楽しく、我々は学校の代表として州の勉強大会みたいなものに出場します。物理、世界史、アメリカ史、数学など様々なジャンルで代表選手が選ばれるのです。私は数学の高校代表としての出場です。州大会では優勝はできなかったけど。

かくして高校を卒業し、Xは某私大へ進学します。私は国立の一橋大学に入ります。なんで理系に行かなかったんだよ。まぁ、結果オーライだけどさ。2年生が終わる頃、突然Xから連絡があり、アメリカ時代の日本人3人と飲むのでお前も来ないか? と言ってきました。これは1995年3月のことです。2年半ぶりに会うのもいいな、と思い、吉祥寺で会ってきました。それからXは某電機メーカーに就職します。多分父親のコネ入社でしょう。

Xの復讐が始まった!

そして私は1997年に博報堂に入ります。もちろんコネなんてねぇ。こうした情報は母親同士のネットワークにより筒抜けになっています。どうやら大学進学の時もXは私に対して「チクショー、あの野郎の方がオレよりも偏差値高い税金大学行きやがって」とイラついていたようです。そして会社員になると、明らかに私の方が給料が高い。Xはこれを妬ましく思っている、という情報も入ってきます。「こいつ、いつまで経ってもひがみ根性持ってるな……」と呆れたのですが、別に普段接点があるわけでもないので構わん。

2001年、私は会社を辞め、無職になりました。しばらくグータラしながら過ごしたのですが後にテレビブロスの編集者になったことはすでに書いた通りです。そして2004年、突然Xから電話が来ました。我々は31歳になっています。

「あのよぉ、オレ、結婚することになったんだよ。お前、結婚式来てよ。案内状送るから住所教えて」

これには「おめでとう!」と言ったものの、「なんで10年も会ってないヤツ、しかも別にオレとお前は仲がいいわけでもないのに結婚式に呼ぶの?」とは思います。結婚式では美しい妻と幸せそうなXを見て私は心から祝福しました。しかし、その場にいたアメリカ時代の人間は私とガチャピンと呼んでいた4歳年下の男だけで、ほとんどは彼の大学・会社関係の人間でした。正直、なんで私が呼ばれたのかは分かっていません。

さて、ここからが本題です。結婚式の直後、新婚旅行から帰ってきたXが再び私に電話をかけてきます。「あのさ、オレと妻と一緒に飲みに行こうよ。オレさ、上海に転勤するからしばらく会えないしさ」。もちろん、彼の結婚と栄転は祝福したいので私は渋谷の魚屋「魚力」を予約し、2人と会います。

店で彼は徹底的に結婚がいかに良いものかを力説し、「お前も早く結婚した方がいいぞ」などと助言をくれます。そしてこう言いました。

「お前さ、高校の時は成績も良かったし、一橋入って博報堂に行ったけど、結局今はフリーライターなんかやってるんだろ? 結局オレの方が勝ち組じゃん。結婚もしたし、これから上海勤務だぜ。昔のことなんてどうでもいいよな。今の状況の方が重要なんだよ。オレの方が今のお前より上なんだよ」

終始こうした口調で私を罵倒し、マウンティングを仕掛けてくるのですが、妻は「やめなさい!」と言うものの、彼はやめない。当マガジンのVol.1で書いたのですが、私はこの前年に868万円の収入があったため、恐らくメーカーの31歳男である彼よりは稼いでいたと思います。しかし、こちらは「会社員様の方がフリーランスよりエラい!」という彼の頑なな態度に頷くしかありませんでした。

そして、彼の口撃は止まらず、「あのさ、お前さ、フリーライターとか言ってるけど、どんな雑誌で書いてるんだよ? えっ? テレビブロス? 何それ? オレ知らない」となります。そして「本当にお前が書いているか証明しろよ。今からコンビニに行ってその雑誌があるか見に行こうぜ」と言い、我々は会計をし、「魚力」から東急本店の方に向かいローソンへ。

Xの名言「三流~!」が炸裂!

なんということか……。ローソンにはテレビブロスがなかったのです。いや、理由は分かります。ブロスは「隔週誌」のため、恐らく次号が出る数日前だったことで売り切れていたのでしょう。この時に冒頭で登場した博多で一緒にモツ鍋を食べたA氏が「あれはいいエピソードですよ! 彼の言いたいこともサラリーマンである僕からすれば理解できます。やっぱり過去に負けていた人間が落ちぶれた、と本人が思ったら言いたくなる気持ちも分かるんです!」と絶賛した言葉がXの口から出るのです!

「えぇ??? お前さぁ、お前の書いている雑誌、コンビニに置いてないの? そんな雑誌、だせーな! やーい、三流~! 三流~! この三流野郎!」

今、ここで書いていることはアホみたいだけど全部事実です。Xの妻はこの時もビートきよしのごとく「やめなさい! やめなさい!」と言い続けています。彼女は本当にまともな方でした。世の中には劣等感を抱いた相手に対して有利な立場になった途端、こうして復讐をしてくるクソ野郎がおるのです。彼は高校→大学→社会人初期と常に私に対して劣等感を抱いていたのでしょう。それがようやく「オレは大企業のサラリーマンで、中川はフリーの無名。しかもオレは結婚してヤツはしていない。これから海外赴任もある。よし、今こそオレがマウンティングをするチャーンス!」となった。彼はついに私と出会ってから17年越しの復讐を果たしたのでした。

その後、Xの上海行きの壮行会が開かれる、とアメリカ時代の同級生らから電話が来ましたが「オレはあのバカとは縁を切った」と言いました。さらにXからは何度も電話が来ましたが私が出ることは一切なく、彼は上海に行ったのでした。

まぁ、無名のフリーランスって会社員からすればこんな扱いなんですよ。だから、彼らをグウの音も出ないほど黙らせるには、自分の名前で道を切り開き、カネを稼ぐフリーにならなくてはいけない。当マガジンではそうした野心を持つ皆さんを応援します。

さて、次回は当マガジンを読んでくださっている鈴木拓郎さんから頂いた質問を紹介します。鈴木さんは「なぜ、年間364日も働くモチベーションが続いたのか?」について教えて下さい、と東京から離れる前日、赤坂のうどん屋でビールを飲みながら質問してくれました。彼は「年収800万円台だった時の辛さも教えてください」との質問もくれたので、それについてはまたいずれ。それではここから本題に入ります。フリーランスとは「傭兵」である、ということに加えて「プロとして見られている」という件についてです。

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