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就活 in 1995 (その 3)

さらに続きです。

今のイケてるAppleしか知らない人には想像もできないと思うのですが、1995年頃のAppleは、Sunに買われるのでは?(今やSun自体が買われてしまったけれど)とか、IBMに買われるのでは?といった報道が出るような本当にヤバい状態でした。Appleに決めた、という話をした時、ほとんどの人の反応は「なんでそんなヤバい会社に??」だったのは当然かもしれません。

自分の中では非常にクリアな決断でした。それは「今しかない」と思ったからです。

大好きなMacを作っている会社が危機的な状態にある。もしかすると買収されてしまうかもしれない。だったら、こんなチャンスは2度とやってこないかもしれない。HPだったら、NHKだったら、あとで転職して行けるかもしれない。

チャンスって、そんなに簡単には巡ってこないからチャンスって言うんだと思うんですが、それが目の前にあるのに掴まないのはありえない。そして、『大きい決断ほど心がワクワクすることに素直になる』。これは自分の人生全般における方針です。就職先の決定の前も(例えばゼミの選択や交換留学)、その後も(様々な転職、転籍、住む場所などなど)、自分の選択基準の根本はそこにあります。

大きい決断ほど、というのがポイントですね。普段の決断は、自分で言うのもなんですがとても論理的にする方だと思います。でも、大きい決断って、論理だけでは割り切れない問題が多いんですよね。「人生が変わるかもしれない」ことは分析しようとしても情報量が多すぎるし結果も無限大なので、論理的に結論を出そうとすると出ない。要は正解がない。

もちろん、Appleの面接でお会いした人たちはみんな生き生きとしていて魅力のある人たちばかりで、一緒に働きたい、と思ったのは当然ありました。あと、これは今まであまり人には語ってこなかったのですが、当時の会社案内のパンフレットにオフィスの風景写真の中に髭のある人が出ていて、「あ、この会社、髭あっても大丈夫なんだ」っていうのもいいなと思った理由の一つ(笑)。大学時代髭を生やしていたのですが、就職活動中はさすがに剃っていたので、ああ自由な会社でいいなあ、と思ったのです。(実際には就職後に営業に配属され髭を剃るように言われたりするわけですが…。)

もうひとつ、大学時代のゼミの恩師が、「今大人気で素晴らしい会社が、20年後、30年後にどうなっているか分からない」と言っていたのがとても強く印象に残ってます。産業構造は常に変化していて、永遠ということはない。終身雇用でどこかの会社に入るとしても、今イケてる会社が定年までイケてるとは限らない、ということですが、いやー、本当にその通りだな、と思って。だからといって今潰れそうな会社が復興するかなんて、もちろん分からないわけですが(笑)、Appleの場合は大化けしたわけですね…。それを期待して入ったわけではないですが、何が起こるか分からないのが人生。初めからジェットコースター状態に慣れておけば、後のことはすべて気楽に思えるものです。

就職活動は考えに考え抜いたって、正解は出てこない。だったら、ワクワクすることにチャンレジしてみる、というのが自分のスタンスです。すべての人におすすめするわけではありませんが、一度きりの人生を満喫したい!というチャンレジャーの方にはおすすめです。

とはいえ、これだって、起業と比べたらきっとすごくコンサバティブなチョイスですよね、きっと!

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