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60日目

午前中、朝食をとった後ゆっくりと過ごす。
妻と娘の姿がある。いつもどおりだ。
何か妻が言っている。よく聞こえない・・・。娘はTVゲームに夢中だ。

何気ない日常。あぁ、そうか「今日はどこに行こうか?」と言ったのか。。。

その時、目が覚めた。
夢だった。

今朝見た夢は、とてもリアルだった。
というより、いつも過ごしていた風景をそのまま見ていた。

夢を思い出すと涙が出てくる。

今の状況が夢だったらと思う。

でも、現実はなにもない部屋に一人きり。
着るものと仕事バッグしか無く、
殺風景な8畳フローリングの中央にはベッドだけが置かれている。

今の自分そのものだ。

ミニマリストではないが、荷物は常にあまり持たないようにしている。
欲は強くない。欲しいものやしたいこと、なりたいものなど特に無い。
家族との時間が何より大切だった。それだけで十分だった。

妻から何を言われようが、娘がどんどん離れていったとしても、
それでも家族が第一だった。

でも・・・。

もう妻を許すことはできない。
一緒にいることもできない。
昔と同じように接することはもちろんできない。

辛い現実だけが、目前にある。

彼に内容証明郵便を送ってから2週間経った。
彼から特に連絡はない。

銀行口座を確認してみたが、入金はなかった。
そろそろ、アクションを起こさなければならない。

早速、弁護士に状況報告をメールでする。
すると、内容証明がちゃんと届いているのかどうか確認してほしいと返信が来た。

彼女にも報告のメッセージを送っておこう。

彼に2週間前慰謝料請求の内容証明郵便を送っています。
2週間経った現在、入金確認できていません。
これから裁判準備に入ります。

全ては、あなた方の軽率な行動が招いた結果です。
最悪の事態になった時、全員に前で謝罪するとともに、一生かかってでもご迷惑をかけた皆さんに償ってください。
それがあなたの残りの人生の責任です。

よろしくお願い申し上げます。

呪いの言葉だ。
その日、彼女は会社に来なかった。

弁護士に先日送った内容証明郵便の控えを写メで送ることにした。
昼時間、書類を取りに一旦家に帰った。

家に帰ったとき、「親父が弁護士から手紙が届いているぞ」と言って持ってきた。知らない弁護士事務所からの速達だった。

中身を見ると、彼の代理人からの通知だった。ちゃんと届いていたことに少し安堵した。通知の内容は、示談申し入れだ。

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