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初めの試練

彼女の趣味は、ハンドメイド

週末、彼女が作ったハンドメイド作品の商品撮りをしたり、販売活動なども手伝った。一緒になにかやるのは楽しい。そして、一つ売れるとまた楽しい。

彼女が作った作品を、僕が週末にロケーションを選んで撮影をする。初めは、具体的な方向性など何もなく、ただ作って売っていた。

作品が良かったのか、写真が良かったのか、作品が少しずつ売れるようになった。オリジナリティを出そうということで、ロゴを作ってブランディングしていった。ターゲットも絞り込み、ブライダル用品として販売することにした。

そんな、話をしているときがとても楽しかった。そして、二人で、相談しながら販売数を伸ばしていった。

ただ、ハンドメイドなので、作品は彼女が作る。手作りなので注文がたくさんはいると、負担が大きくなる。彼女が作れないときは、商品が出せない。

なかなか、売上が思ったように伸ばせない時期も続いた。

彼女と仕事

彼女は、営業職。上司との同行ということで、僕と毎日一緒に客先に向かう。二人きりの車内。仕事の話、プライベートの話、どちらともつかない話をずっとしている。

365日中、9割一緒にいることになる。長期休暇のときは、一緒に旅行などにも行くので、夫婦よりも長い時間を共に過ごしていることになる。

約4年間付き合っているが、普通の夫婦なら1日のうち一緒にいる時間はせいぜい1日の1/3ぐらいだろう。約8時間。仕事も8時間で終われば良いが、10時間は一緒にいる場合もある。仕事ととはいえ、夫婦生活ぐらいの時間を共に過ごしていることになる。

離婚する前は、夫婦生活をしていたわけだが、家に帰って寝るだけの生活だった。夫婦で話す時間などない。会話が一切ない夫婦だっているだろう。結婚生活と言っても、コミュニケーションが取れない夫婦が多い。
僕も昔は、そうだった。元妻が他の男を求めたのにも理由はあったと思う。

初めの試練

とは言うものの、会社では上下関係がある。そして、立場上は部下になる。
だから、優しくだけしておくわけにもいかない場面もある。

初めの試練は、彼女に対するクレームだった。
古くから付き合いのある客先での対応。
電話での対応だったが、先方の担当者を怒らせてしまった。その結果、先方の常務から僕に電話があり、事情を説明しこちらの対応に問題があった旨を謝罪した。

しかし、彼女はこの一件に関して、自分に問題があったと思っていなかった。先方の担当者がヒステリックに怒っただけだというのだ。そうだとしても、クレームというのはその話を受け入れてその後に対応すべきだが、彼女にはそれが理解できなかった。新卒で入ってすぐにそんな対応ができるはずもなく。

ただ、怒らせてしまったことには、謝罪すべきで、こちらにも配慮が足りなかった部分もある。

その話をしたところ、「どうして、私を信じてくれないの?」と言われた。

信じない訳では無い。しかし、先方がご立腹である以上、こちらは一度頭を下げるしか無い。どうもそれが納得できないようだった。僕の対応が間違っていたのだろうか?

いや、そうではない。彼女が甘えているだけなのだ。お客様からクレームが入っているのに、私は悪くない!子供か!?・・・というか、子供なんだ。

この1件のあとに、他2社から同じように対応が悪いとクレームが入った。
その度に、謝罪しその後の仕事を引き継いで完了させた。
とんだ尻拭いだ。彼女は、出来なかったことに対する後悔や他人のせいにするばかりで、対応した僕に対しては当然のことと思っていたみたいだった。
感謝がない。

このときは、彼女が好きすぎて、すべて許せていた。彼女のサポートをしっかりしてあげようとだけ考えていた。今もこの気持ちは変わらない。
ただ、冷静に考えてみると、おかしい。そのことは今後ちゃんと指摘したほうが良いかと思う。


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中江兆史
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