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個人情報保護法の真意

はじめに

個人情報保護法というと、個人のプライバシーが保護される法律だという認識が一般的かと思う。

確かにその一面もある。

インターネットの普及に伴い、個人を特定される情報の保護を目的とした法律というのが建前だし、マスコミでもそのように伝えてきた。

そのことに疑問を持つものはいないだろう。

個人情報保護法は本当にプライバシーを保護するのか?

平成十五年法律第五十七号 個人情報の保護に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

目的には、「個人情報の適正な取り扱いに関し」とある。これは、個人情報の利用が前提だからだ。「個人情報の保護」と謳っているので、個々人の個人を特定できる情報が、秘匿されると思ってしまうが、そうではない。個人情報の取り扱いに対するガイドラインという認識のほうが正しい。

最後に、「個人の権利利益を保護すること」というとってつけた文章があるため、個人に関する情報が秘匿され誰にもわからないようになると勘違いしてしまいそうになるが、「個人情報の有用性に配慮しつつ」という文章が、それを打ち消している。

結局、個人を特定できる情報の利用ガイドラインであると明言している。

個人情報保護法はなぜできたのか?

1980年のOECD理事会勧告の「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」が発端と言われている。

このガイドラインで重要になってくるのが、8原則と言われるものだ。

1. 収集制限の原則
2. データ内容の原則
3. 目的明確化の原則
4. 利用制限の原則
5. 安全保護の原則
6. 公開の原則
7. 個人参加の原則
8. 責任の原則

詳しくはガイドラインを参照していただきたいが、この8原則が元になり当時のOECD35カ国で法整備が始まった。

OECDのガイドラインでは、明確にプライバシー保護とあるが、同時に個人データの国際流通についてという文言もある。

個人データの国際流通というと、自国民の情報が他国に流れていってしまうというなんとも恐ろしい状況を想像してしまうが、結果として現在それが行われている。

GAFAは個人情報保護法がなければここまで広がらなかった

思い起こしてほしい。普段使っているGoogle、Amazon、iPhoneなどのApple、Facebook。これらはすべて多国籍企業だ。そしてそのいずれも本社はアメリカにある。2000年頃は、Facebookはそもそも存在していなかったし、Amazonも単なるネットショップだった。Appleはパソコン屋で、Googleは純粋に検索エンジンだけの会社だった。

しかし、この20年でのこの4社で取り扱う個人情報の総数は世界人口を凌駕する。

全世界でSNSを利用する数は39億人。世界人口の約51%

GoogleのメールサービスGmailの月間利用者数は15億人。

iPhoneユーザー10億人

AndroidはiPhoneユーザーの約3倍なので、およそ30億人以上。

もはや知らない人はいない。Amaoznは世界一の売り上げを誇るECサイト。

ECサイトは、商品発送を伴うため、必ず住所氏名、電話番号などの個人情報は必須。

個人情報保護法は、決して個人のプライバシーを守るための法律ではない

全く無いわけではないが、このぐらい強く言っていたほうが、曖昧さを回避できると考えた。

特に、個人情報保護法=プライバシー保護のための法律と勘違いしている人がいる。

個人情報の定義は、個人を特定できる情報のことを指す。個人を特定できうる情報というのは、住所、氏名、携帯電話番号などだ。しかし、氏名だけであれば、同姓同名も存在するためポピュラーな名字と名前であれば、個人を特定するのはそう容易ではない。住所と携帯電話番号はそれ一つで確実に特定できてしまう。

最近では、マイナンバーが個人を一発で特定出来てしまう情報の一つになっている。そして、国としては、マイナンバーの登録を推し進めている。

もしかすると、国民をマイナンバーで管理するための法律が、個人情報保護法だったのではないかと思う。

アメリカではもっと早くから社会保障番号という管理番号が導入されていた。日本でもいずれそのようなものが導入されるだろうと、懸念の声は昔からあったが、現実化している。

今はまだ、任意だが、最終的には税控除を理由に全国民にナンバーが振られるだろう。現状の所得税や社会保険料が高いのも、もしかするとマイナンバー導入による税控除というシナリオが背景にあるからではないのだろうか。

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中江兆史
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