酒器とお酒の話
小代焼中平窯の西川です(^^)
今回は作り手から見た酒器についてと、私が最近お酒について個人的に思ったことをダラダラと書いていきます。
まずは真面目な酒器のお話から。
作り手から見た酒器
酒器と一口に言いましてもビールカップ、焼酎カップ、ワイングラスなどなど幅が広いですが、ここでは日本酒用の器について書いていきます。
具体的に挙げますと
・ぐい呑み
・徳利
・盃
・片口
・お猪口
のことです。
特にぐい呑み&徳利は陶芸家としてはとても力の入る器です。
茶道具を手掛ける陶芸家の場合、抹茶碗に並々ならぬ情熱を傾けますが、ぐい呑みはその抹茶碗のミニチュア的な要素があるのです。
当然ロクロで引く時から形に変化をつけたり、粘土の段階から定番食器とは違う土を使うこともあります。
薪窯で焼く場合、特に焼き上がりの良い場所に酒器を窯詰めします。
薪窯はそれなりの容量がありますが、本当に面白い作品が焼ける場所は限られていまして、例えるならばマグロの大トロのようなものです。
灰を沢山被る場所や極端に炎が強く流れる場所、そんな所に優先的に酒器(茶器も同様)を窯詰めします。
そして‥そんな場所は割れたり倒れたりと失敗することも多いのです(^^;
しかし、失敗が多くとも、土の素材感や炎の跡が強く出た美しい酒器が窯から出てくる瞬間は、飛び上がるほど嬉しいものです。
お客さんから見た酒器
お客さんの目から見た酒器は、定番食器に比べて高価に写ることでしょう。
しかし、前述のような作り手から見た酒器のお話をすると、多くの方は納得していただけます。
そして、陶芸ファンのお客さんは、酒器を食い入るようにご覧になります。
ぐい呑みでしたら飲み口の厚みを触り、掌の中で転がし、握り心地を確認し、ひっくり返しては高台の形や炎の跡を目で追われます。
また、ぐい呑みはコレクションされている方も多いです。
抹茶碗と同じ美意識で作られた器を、金銭面でも収納スペースの面でも、いくらか気軽に集めることができるためです。
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同じお酒でも平盃と筒ぐい呑みでは香りが違うなぁと楽しんだり、呑み始めは端正な磁器の盃を使って 酔い始めたら少し歪んだ陶器のぐい呑みにして気分を変えたり。
この小さな器に土と炎で構成された陶芸の醍醐味を感じることができるのです。
私のお酒との付き合い方
最後に陶芸とはあまり関係ないかもしれませんが、私の今後の呑み方について。
余談と思ってください(^^;
私は大学生の頃からお酒が好きでして、度々呑み過ぎては後悔することがありました。
特に呑み会翌日の二日酔いによる気持ち悪さ&迷惑を掛けた同席メンバーへの申し訳なさ‥。
これ、分かる方いますかね?
二日酔いによる体のダメージより、呑み過ぎた自分を振り替えっての精神的ダメージの方が大きいんですよ‥。
私も今年で30歳になりましたし、呑み方を考え直すことにしました。
そしてよくよく考えたら酔っ払った以降のお酒は、味も香りも良く分からんようになっておったなぁと‥。
具合が悪い時はセーブするのですが、かえって調子の良い時や非日常な呑み会の方が、場の雰囲気に流されて呑み過ぎると分かりまして。
呑み始めてから調整するのではなくて、呑み始める前から具体的な呑む量を決めることにしました。
料理の味が分かる範囲、お酒の香りが分かる範囲でいることが豊かな人生だろうなぁと、30歳にしては遅いかもしれませんが気付き反省しました。
美味しいお酒を美味しいと思える範囲で楽しみ、そんな良いお酒に見合うような美しい器を作ろうと思っている次第です。
2024年9月23日(月) 西川智成