満点が全てではない
製造業に従事している者がこんな事を言っていいのか分かりませんが、今回は敢えて品質にまつわる不思議を書いていきたいと思います。
品質は満点が良い。しかしそれはベストではなくベターの場合があると言う事です。
何故?普通に考えたら満点がベストでしょ?って思いますよね。確かにカスタマー(顧客)側からすればそうかも知れませんが、日々生産に明け暮れ、品質と生産性を追い求めている我々ブルーワーカー(現場作業者)からすれば違うんです。
例えば、試作や初期流動では様々な人たちや熟練者などが立ち合い、1工程1工程に神経を尖らせて生産しています。そして金型や設備も新規品などが多いので、製品には「不良品」とは呼べなくても「もう少しこのバリが無ければな…」とか「この程度じゃ打ち上げるまでもないけど少し組み付けにくいな…」などの『小さな不満』を抱えた製品が、時間の経過や生産数の増加につれて多く流動していきます。
その時点では『不良品』ではなく『仕方ない良品』として、約70点〜80点レベルの製品が後工程(仕入先や親会社など)に流れていきます。
そして、いよいよ金型の老朽化や設備の不具合などでさすがに目をつぶる事の出来ない50点レベルの『不良品の一歩手前』が後工程に来た際に、打ち上げがあります。
その打ち上げに対して修理や改善・改良などの措置を行うのが一般的だと思います。
問題は、そこで70点レベルに戻すのか、満点に戻すのかで先々が大きく違ってきます。
仮に100点満点の状態の製品を後工程に送ると当然、何の抵抗のない製品ばかりなので作業者の負担は軽く、クレーム等も一切無くなります。しかし、その後時間の経過と共に再度金型や設備が老朽化して70点に戻ってしまった場合、どうなると思いますか?
これまで『仕方ない良品』として扱ってもらっていた製品が『不良品の一歩手前』として処理されるケースも出てきてしまうのです。
不思議なもので、人間はラクに感じる様になった事は「当然」とするが、逆に少しでもやりにくくなった事に関しては「不満」として打ち上げ対象になってしまうのです。
会社員ならば常に満点を追い求めるのが当たり前だろう!とお叱りを受ける事もあると思いますが、やはり理想と現実は全く別物なのです。
この様な切羽詰まった状態で生産活動をしている中小企業なんかは沢山あると思うのですが、自分の経験した会社だけですかね…?
これが満点を狙いに行ってもベストでは無いと言う意味になってきます。確かに改善すべき点や理想に近付ける努力は必要なのは重々承知ですが、このような現状のなかで我々は戦っていると言う事を少しでもご理解頂ければと思います。
さて、今回は多少裏側の部分をテーマにしてみましたけれどもいかがだったでしょうか?こんな事を書く奴はどこのどいつだ?と特定するのだけはご勘弁願いたいです(汗)。それではまた違うテーマでもよろしくお願いします。
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