リズと青い鳥 ラストシーンについて考える


初見時の感想など

リズと青い鳥のラストシーン、希美が振り向いてみぞれがビックリしていた部分がずーっとなんで?と疑問に思っていたので考えてみました。

初見の時はやっぱり希美の発した何かの言葉にビックリしたんだと思いました。
YouTubeの同時視聴とか見ても、「最後足音がピッタリ揃うんです!」系のコメントが多くて、だけどそんなんでビックリする?ってなってました。
最後の振り返るシーンをスローで再生すると、みぞれがビックリするのって最後の重なった足音の前からだし、希美が口を開けていない段階から驚き始めてるんですよね。
だからやっぱり振り返った行為そのものにビックリしたんだと。

じゃあなんで?っていうのを考えていると、キーとなるシーンがあるなと思っています。
まず、この作品の回想って2種類の絵柄に分かれていて、

  1. 絵本みたいな絵柄
    ・0:09:45~
    ・0:31:26~

  2. 作品従来の絵柄(回想風の撮影処理等有)
    ・0:06:35~
    ・1:19:25~

あえてそれぞれにラベルを付けるとしたら、1が"空想"、2が"記憶"かなと思います。
特に2の記憶の方は、ハッキリと脳裏に焼き付いたような記憶なのではないでしょうか。

キーとなるシーンその1

で、2の0:06:35~からの回想ですが、普通にみればなんでもない中学時代の通学風景です。

希美のポニテが揺れて、一緒に踊るようにリュックも揺れて。
強調されて描かれてるのはその辺りですが、実はその前の"希美がみぞれの方を振り返った行為"が重要な気がしました。

一度、みぞれを自分に当てはめて考えてみます。
友達が前を歩いて一緒に通学している。いつものことだし特に会話もなし。そんな時、不意に前方の友達がこちらを振り向いた。
なんて数年前のこと覚えてますか?
そのあとの視線が少しの間ポニテに釘付けだったのも、また振り返ってくれないかとちょっと期待してたからではないでしょうか。

こんな、一見変哲もないような希美の振り返りはみぞれからしてみると、大好きで特別なたった一人の友達が、なにもしていなくとも確実に私のことを意識してくれているのを実感できる大切な瞬間なんだと思います。

他に中盤にも振り返ったりはしますが、そのシーンは会話中とかで、会話中は相手の方を見て喋ったりしますよね笑
それに会話中って確実に会話相手のこと意識してますし。

基本的に会話などのアクションが無い中で、希美がみぞれの方を振り返るのはラストシーンを除けばこのたった1回だったと思います。

0:06:06~希美が階段の上の方からみぞれのことを見下ろしますが、この時も数秒ときめいたような表情をみぞれが見せます。多分回想の振り向きと似たものを感じたのではないかな。それもあって直後の平らな廊下で一緒に歩いてるシーンで、振り返ってくれた時のことを思い出したんじゃないかなって。

キーとなるシーンその2

これは1つの特定のシーンではないです。
disjointに表されるように作品を通してお互いに共通項がほとんどなくバラバラで、2人がずっとすれ違っていたことは言うまでもないですよね。
作品中に散りばめられた"すれ違い"の中でも特筆すべきシーンは、

  • 0:10:05~ みぞれが希美の肩に身を寄せたい

  • 0:28:23~ みぞれが希美に大好きのハグをしたい

  • 0:32:28~ みぞれが目を開けた時、その先に希美がいて欲しい

  • 0:41:37~ みぞれは希美と2人であがた祭りに行きたい
    (明確に描かれてはいませんが、一瞬脚にグッと力が入るのを見ても夏紀と優子が誘われたことに多少の拒否感はあったのだと思います)

    ---ここからカテゴライズしていいか若干微妙なところ---

  • 0:58:35~ みぞれは希美に大好きのハグをして欲しい

  • 1:13:25~ みぞれは希美を撫でて慰めたい

これらは単純なすれ違いなだけではなく、みぞれの希美に対しての願い・想いが通じなかった場面になります。
けっこう強調して分かりやすく描かれていますよね。

そして理科室での大好きのハグも、

  • 希美はフルートを好きと言ってほしいが、言ってもらえなかった

  • みぞれは"全部"に希美のフルートも含めて全てを乗せて言った
    (TVシリーズを見ると、2期1話でみぞれは明らかに"希美の奏でるフルート"に嫌悪感を感じていました。なので希美のフルートも確実に希美の大切な一部として認識していると思っています。)

というような、2人の関係の修復へ向かうようなシーンですら、すれ違いを起こしてしまっている。
(でもお互いが納得できれば結果オーライ!)

本題:ラストシーンについて

そしてラストの放課後のシーンに移ります。

希・み「本番、頑張ろう!」
み「ハッピーアイスクリーム!」
希「何?みぞれ、アイスが食べたいの?じゃあアイスにするかあ」

今まで2人の間の溝を深めていた"すれ違い"すらも心地よく感じて、「違うんだけどな」と言わんばかりに微笑むみぞれ。
そんなやり取りを終えて二人の間に少しばかりの静寂が流れます。
そしてふと、みぞれが自分の前方を歩く希美の足元を見ます。
この"前方を歩く希美の足元を見るシーン"というのは、キーとなるシーンその1の直前にもあるのです。
希美の足元を見ると、それに重なるように希美が振り返ってくれたあの日を思い出す。一種のトリガーのようなものではないかと。
このラストシーンで、希美の足元を見た時にみぞれはふと思ったのではないでしょうか。
またあの日みたいに振り返ってくれないかな…
まさにその瞬間、希美が振り返ってくれた。
なんの蟠りも無かったあの頃のような笑顔で。
初めて想いが通じた。繋がった。
これこそ"みぞれが希美の振り返りにビックリした"理由で、バラバラだった心と心が繋がったことで、disjoint → jointになったのではないでしょうか。

というのがあくまでラストシーンにフォーカスした私の考えでした。
自分である程度納得のいく考えがまとまるまでは他の方の考察とかも見ないようにしており、台本付きBlu-rayもまだ買えていない😭のでまた色々見てみて、台本も見てみたら考えが変わるかもしれません。
(リズと青い鳥が公開されたのは全くアニメを見ていない時期だったので劇場で観たかったなあ😭)


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