花火
「冷静なままでは戦えない、興奮しろ!興奮状態の中でいかに冷静でいられるのか?」アメフト時代の学びです。
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「他校でやっているような花火大会をうちの小学校でもやりたい。経費はどうにかするから企画して欲しい。」
2021年10月、コロナウィルスの落ち着きとともに、私の所へそんな相談が舞い込みました。
戻りたくない人生の1ページがあります。二十歳前後の私は、体育会アメフト部の厳しい上下関係と、厳しい練習の中で、自分を守ることに必死でした。
大学2年の夏、花火大会があると聞き、練習後に同期の仲間たちと多摩川の土手に潜り込みました。まわりは楽しそうな声をあげていましたが、私たちは無言で花火を見つめ、パッと広がる花火を見ながら、ボロボロの心を癒やしました。
他校で開催された花火大会の映像を見て
「こんなイベントができたら、たくさんの子供が喜ぶに違いない。子供たちだけでなく自粛で疲れた多くの人が元気になるだろう。」
と感じました。しかし同時に「素人のできるレベルのものではない。リスクが高すぎる。専門の知識を持つ者が居なければ到底できない。」とも感じました。
花火に関する知識を持つ人をいくつかの方面から探したところ、NEGGという隣町小学校のおやじ会にたどり着きました。過去に成功と失敗を繰り返してきたNEGGは、私たちの協力依頼を快く受けてくださり、自分達の培った知識を丁寧に教えてくれました。
警察署や消防署への許可申請、近隣宅の騒音対策、子供たちが密にならない工夫など、初めて経験する課題がたくさんありました。それでも400名弱の児童と100名ほどのボランティアの申し込みがエネルギーとなり、たくさんの人の協力のもと1つずつ課題をクリアしていきました。
当日を迎えるにあたり、考えました。
「子供たちの安全第一、トラブルなく円滑に終了させる。参加してくれるオヤジたちをカッコよく見せたい。」
過去のイベントでは、やりたがりの自分が先頭に立つため、当日に全体が見えなくなっていました。それでも集まってくれる仲間たちが臨機応変に立ち回ってくれるおかげで成り立ってきました。
当日はNEGGの指導のもと、花火打ち上げの4時間前から準備が始まりました。40mナイアガラの準備に2時間かかりましたが、たくさんのボランティアの協力により無事に子供たちを迎え入れることができました。
16:00に子供たちが集まり、室内外でイベントが始まると、あっと言う間に時は流れ、陽が暮れていきました。1発目の打ち上げ花火を、子供たちと一緒に祈るような気持ちで見守りました。しかし、子供たちの大歓声がそんな不安を一瞬でかき消してくれました。大きな音とともに花火はどんどん打ち上がり、学校の外にもギャラリーが増える中、いよいよクライマックスのナイアガラの番になりました。導火線が切れて着火に時間がかかりましたが、みんなが固唾をのんで見守る中、最後は見事に火花を散らしてくれました。
今回の花火大会は、参加してくれた全員に喜んでもらうことができたのではないかと思います。反省するならば、オヤジたちへの安全の配慮が足りなかったことです。今回も完璧に立ち回ってくれたオヤジたちは「さすが」というしかありません。花火を打ち上げているオヤジたちの表情からはアドレナリンがドクドク流れているのを感じました。私を含めて関わった多くの人が、興奮を感じたと思います。事故が起きる可能性がゼロではない今回のイベントは、ビビらず最後まで突き進んだことが成功の要因であったと思います。だからこそ、もう一歩冷静でいるための決め事が必要であったと感じています。
正直、準備に追われ、終わると喪失感により、イベント前後は他の事が手につかなくなります。それでもそれ以上の価値を手に入れることができました。
「たくさんの子供たちにありがとうと言われた」「最高のBGMは子供たちの歓声だった」
そんなコメントがありました。
私たちにとって、子供たちの笑顔、感謝、歓声はお金には代えられない報酬なのだと思います。
集まれITA10キッズ 冬のワクワク花火大会
実行委員長 親路会 上野 央 Nakaba Ueno