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事実婚をしてからの壁 ~注文住宅編~
ご主人主義
妻が妊娠して、つわりとかが落ち着き始めた頃、将来を見据えて家を買おうという話になった。
もちろん、賃貸に住み続ける、マンションに住む、といった選択肢もある中で、2人で話し合い、家を買おうとなった。(私たちは、何かを決める時、話し合いをし、理由づけをしたうえで選択することが多い。当たり前か)
2人とも、なんだかんだひとりの時間や空間が好きであること、周りとの関係(マンションだと上下左右ガチャがあるとか)、安心した空間が欲しいというのが大きな理由で家を買うことにした。
さっそく住宅展示場にあるいくつかのハウスメーカーを予約し、わくわく、どきどきしながら話を聞きに行った。
予約は基本的に私がしており、営業さんたちは私の姓を把握していたため、最初の挨拶をする時、妻は必ず自らの姓を名乗るようにしていた。
しかし、妻の姓が呼ばれることはほとんどなく、基本的に、私の姓のみが使われて資料が作成されるなどした。
また、事実婚に限らない話だが、営業さんは、夫を「ご主人」と呼び、妻を「奥様」と呼ぶ。これだけならまだあるあるの話に過ぎないのだが、いくつかのハウスメーカーの話を聞きに行ったあとで、妻がぼそっと言った言葉がいまだに忘れられない。
「営業さんたちは、男性の方(夫)ばかり見て、話をする」
これは言われてはっとした、確かにそうだった。
打ち合わせでは、簡単なプロフィールを述べ、予算感など、あと、妊娠・出産・休暇に伴うスケジュール感なども簡単に営業さんへ伝える。
妻がフルタイムで働き、仕事をやめるつもりがないことも伝えてあり、ペアローンを希望していることも伝えている。
そのうえでも、体感的に8割ぐらい、営業さんは私の方を見て話をしていたように思える。
これは、経済的な決定権が男性側にある、という暗黙の了解なのだろうか。
前にも述べたように、私たちはできるだけ対等な関係を望んでいるのであり、こうした対応は、あまりいい印象を抱かなかった。
それでも、最終的に決定したハウスメーカーだけは唯一、終始、打ち合わせの資料全てにおいて、私と妻の姓を併記して作成してくれる。
このハウスメーカーについては、追々詳しく話をする予定で、建物やらなんやらにしてももちろん信頼感があるだけでなく、こうした些細な対応においても好印象を持った。
住宅ローン
事実婚だと住宅ローンが組めない、というニュースを目にすることがあった。
ハウスメーカーを決め、土地も決め、住宅ローンの仮審査・本審査をするということで、いくつかの銀行に審査を申し込んだ。
ネットでも調べ、銀行の公式サイトを比較して、事実婚でも申し込みができる旨が記されている銀行もいくつかあった。
結果的に言うと、事実婚でも申し込みができると記された銀行から断りもあった。
いくつか紹介しよう。
auじぶん銀行
団信を含めた金利の安さにおいて第一候補だった。仮審査は難なく通り、職業柄もあってか最優遇金利での案内もあった。
必要書類の不足など、案内の連絡も度々あり、電話対応も丁寧であった。
必要書類一覧にも、事実婚で申し込む場合は、「配偶者(未届)」の記載がある住民票のみでよい旨が記されていた。
それでも、本審査は通らなかった。
事実婚は大丈夫なはずだからと、金額を下げて2回目の本審査を申し込んだが、通らなかった。
りそな銀行
事実婚ができる旨は明記されていない。金利が安く、営業時間が長いなど、柔軟な対応ができるのかと期待をして、仮審査をした結果は通った。
手続きを保留にして、auじぶん銀行の本審査が通らなかった時点で焦り、事実婚での申し込みが可能かどうかを問い合わせフォームから問い合わせたところ、事実婚は受け付けていない、という返答だった。
住信SBI銀行
金利の安さが売り。
仮審査をする以前に、事実婚での申し込みが可能かどうか問い合わせたところ、できないとのこと。ただ、フラット35であれば申し込みが可能という返答であった。
みずほ銀行
焦りに焦った私は、よくよくちゃんと調べずに、事実婚でもできると思い込んで申し込んだ。
仮審査は通り、本審査段階でも担当者の方と電話でのやり取りが丁寧で好印象であった。
必要書類提出してから数日後、電話があった。
「お客様の場合、残念ながらお貸しできません。理由については、申し上げることができません」という内容。
私は正直に「金額を下げたりして、再度申し込んだとしても駄目ですか?」と聞いた。
「条件を変えても、お貸しすることはできません」とのことで、悟った。
直接的な表現はとにかくできないという姿勢で、これは推測になるのだが、事実婚でのペアローンはできないということだったのだろう。
ソニー銀行
ハウスメーカーの営業さんに相談した結果、事実婚でのペアローンの実績があるとのことで、紹介された。
金利の安さどうこうというわけではないが、土地の決済も近付いており、営業さんの力を借りて、早々と書類を提出した。
営業さんが仲介してくれたおかげもあってか、無事に借りることができた。
以上である。
調べたところ、他にも地銀でも事実婚が可能である旨を明記しているところもある。
今更だが、私たちは変動金利での借り入れを希望しており、できるだけ金利が低いところを希望していたのだが、事実婚であるために断られることを経験した。
それも既に2人の子どもがいたとしてもである。
この点は法律婚の方々とあまり平等ではないのかな、と率直に思う次第である。
この事実婚における住宅ローンについては、もちろん時代に応じて対応が新しくなることもあるため、あくまで私たちが経験したことの記録である。
どの銀行がいいとか、おすすめとか、PRをするつもりではないが、私たちも住宅ローンを借りる時、様々な情報を調べるだけでも少々嫌になり、借りられる前は2人で不安な日々を過ごしていたため、誰かの役に立てればなと思っている。
あくまで、ご参考に。
さて、いよいよ、次回からは、もう少し柔らかく、エッセイのような日常の日々をお届けしたい。
妊娠から出産、育児の日々、注文住宅での打ち合わせエピソードなど、不安なこと、楽しいこと、そんな出来事をお届けできればなと。
乞うご期待。
きっといつか、誰かの何かに。