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メトロンズ第7回公演『店出す』ド素人目線の感想

 ずっと楽しみにしてたメトロンズの公演に行ってきたぞーーー!!!

フライヤー。写真撮るの下手くそすぎてみんな目が隠れちゃった

 ご存知NSC東京9期のライス・しずる・サルゴリラの3組と、同期の作家・中村元樹氏による演劇ユニット。知ったきっかけは単純なもので、昨年のKOCでサルゴリラが決勝進出および優勝を成し遂げた事だ。そしていつか行ってみたいと思いつつも、演劇ということで格式高いのかな〜などと思い、二の足を踏んでいた。しかし、普段聴いているラジオ『ライスのミラクルビュッフェ』(GERA)にて度々ライスのお2人が前回公演の感想や今回の公演の告知をしているのを聴いて、せっかくだから行ってみようと思った次第だ。

 先に結論から言うと、めちゃくちゃ楽しかったし、良いもの見たな〜と感じた。演劇だけど所々にコメディ要素も散りばめられてて、しかし締めるところはしっかりと締める。お笑いタレントが織り成す、お笑いファンかつ演劇素人にも優しい演劇といった印象だった。また、公演前に過去6公演の様子をYouTubeにアップしてくれたこともあって、予習ができたのも良かったのかもしれない。

 そんなメトロンズ第7回公演『店出す』について、Twitterの文字数では収まりきらなかった分の感想を書いていこうと思う。観たのが2日前で、細かいセリフなどはあまり覚えていないが、なんとか記憶を辿って書いてみる。とはいえ、ここから先はネタバレになる可能性が高いので、これから配信等で観る方はここでお引き取りくださいませ。
















 先に今回の配役を示しておく。これ以降は基本的に役名で述べていく。

中西(ライス・田所)→店出す人
川元(ライス・関町)→中西の友達
岡崎(サルゴリラ・赤羽)→川元の後輩でガテン系の人
大倉(サルゴリラ・児玉)→中西・川元の同級生
黒田(しずる・KAƵMA)→中西の元上司
葉山(しずる・村上)→黒田の知り合いのデザイナー

ストーリー・人物描写

 まず、それぞれの人物の描写がかなりリアルだったように感じた。店を出す張本人・中西の優柔不断さ、新たなコンセプトを提案する大倉の頑固さ、そんな大倉を諭す黒田の、実直ゆえに次第に熱くなってしまう様子。特にこの3人は「あ〜現実でもこういう人いるわ」と共感した。

 ストーリーでは、川元がたまたま作った生姜焼きがきっかけで方向性が固まりつつある中、一人蚊帳の外な大倉を中西・黒田が追うところから始まるシリアスな展開と、その場に残された葉山・岡崎の専門的な会話に着いていけずアタフタする川元のコメディ展開のギャップが個人的にはとても好きだった。あのまま重苦しい雰囲気が続いていたら少なくとも自分は見続けるのが辛くなったかもしれない。そこは流石KAƵMAさんの脚本である。一方、クライマックスではまさかの中西が出店を諦めてしまい、代わりに「お前が!?」という人物が店を出すことになる。しかも中西不在の中で、だ。これには呆気にとられた。これは中西が出店するIFルートもあったのか気になるところだ。

演出

舞台の様子。写真は終演後に撮影したもの

 最初に暗転→明転から中西が「俺が店出す!」といって始まるのだが、この時組まれていた訳の分からないセットが再度暗転→明転して物語が始まる時には無くなっている。そしてクライマックスで件の人物が出店を決意した時(厳密にはそのタイミングではないが)、最初のセットが壁から現れた時に心の中で「うわあああああああああ!!」と叫んだ。と同時に、その明らかに目立つ“店出すセット”の存在を把握しながらも何の違和感も示さずに演技に徹する演者一同がどこか滑稽だった。

 また、“店出すセット”の反対側の壁には元々店を出すつもりだった中西がワイプのように映る扉の仕掛けが現れるのだが、開いてる時は中西の事を一同が気にかけている時で、彼が完全に蚊帳の外になった時に黒田がさりげなく閉じた場面で笑いと同時に少し寂しくなった。ここまで感情を揺さぶる仕掛けを考案した(であろう)中村さんの発想力に脱帽である。

劇場

赤坂RED THEATER入口。劇場はこの建物の地下にある

 会場となった赤坂RED THEATERは初めて訪れたのだが、少し渋い雰囲気だが綺麗な小劇場といった感じだった。客席は後方の列まで角度がついていたので、自分はそこそこ前方の席で見られたが、後ろの方でもかなりはっきりと演者の表情まで見ることができると思う。また、座席もとてもしっかりしていて、90分ぶっ通しで観劇してもお尻が痛くなったりなどはしなかった(コレ大事)。おそらくもっと大きなキャパの劇場でもそれなりに埋まるだろうが、コント師ならではの表情とかに注目するのであればもってこいの大きさだろう。


 以上、メトロンズ第7回公演『店出す』の感想をざっくり述べてみた。一流コント師としての顔とは別の、舞台役者としてのしずる・ライス・サルゴリラを見ることができたのはとても新鮮だった。また次回公演も機会があれば行ってみたいと思う。タイトルもテーマも不穏で面白そうだし。


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