M-1GP2024ファイナリスト(前編)
今年もM-1の季節がやってきた。
20回大会の節目を迎える今年、史上最多となる10,330組の漫才師たちがエントリー。そして去る12月5日、トップ31組による準決勝が行われ、ファイナリスト9組が決定した。今年の準決勝は配信で見させていただいたが、かなり全組拮抗していたように感じた。
それでは、そんなファイナリスト9組を2回に分けて紹介していきたいと思う。まずはエントリーナンバーの早い5組から。昨年度の準優勝から悲願のラストイヤー組まで、大会のキーマンになり得るコンビが名を連ねる。
No. 19 真空ジェシカ(4年連続4回目)
2012年結成、プロダクション人力舎所属のコンビ。4年連続のストレート進出なおかつ準決勝は未だ無敗という恐ろしい記録を持つ、近年のM-1を象徴するコンビ。これにより、非吉本勢の連続決勝進出記録はハライチに並ぶ4大会連続(ハライチは休止期間あり)となった。
近年のM-1において4度の決勝進出はかなり難しい事だと個人的には思っており、失礼ながら真空ジェシカもその壁に阻まれると予想していた。しかし彼らは何もスタイルを変えずに壁を超えてきた。回数を重ねるにつれ平場も更に強くなり、エントリーナンバーも更に小さくなり、川北さんの髪型もかなりの変化を遂げ、ネタ以外の部分も強くなった真空ジェシカから目が離せない。
個人的キャッチコピー
「逆襲のエリートⅣ」
No. 496 トム・ブラウン(6年ぶり2回目)
2009年結成、ケイダッシュステージ所属のコンビ。2018年、突如として地下から現れ「合体漫才」でブレイクを果たした彼らが、ラストイヤーにして2度目の大舞台に。近年はバラエティ番組での活躍も目立つ彼らだが、ここにきて“漫才師”トム・ブラウンとしての矜恃を感じる、そんな決勝進出となった。
2020年から3年間は準々決勝敗退に甘んじてきたが、昨年4年ぶりの準決勝進出。敗者復活戦で狂気に満ちたネタを披露し話題に。彼らのネタは好き嫌いはかなり分かれるだろうが、ハマった時の爆発力は計り知れない。そして、0か100のどちらに転んでも彼らなら美味しくしてくれる事だろう。北の大地が誇る狂人の、最後の大暴れにご注目あれ。
個人的キャッチコピー
「帰ってきたモンスター」
No. 502 ヤーレンズ(2年連続2度目)
2011年結成、ケイダッシュステージ所属のコンビ。先のトム・ブラウンと合わせて、非吉本の同一事務所から2組決勝進出(2年ぶり3社目)となった。昨年、王者となった令和ロマンとツーマンライブを開催し、接戦の末準優勝を納めた。だからこそ、今年にかける思いは他の誰よりも強いことだろう。
淡々とボケて淡々とツッコむ、マシンガンのようなコント漫才が持ち味。観客にボケをスルーされてもお構いなしで、とにかく手数で勝負する。今年は3回戦からかなりネタが仕上がっており、期待の声とともにハードルも上がっていったが、さすがというべきか、準決勝では圧巻の漫才でその期待に応えてみせた。さあ、舞台は整った。リベンジの時だ。
個人的キャッチコピー
「フルスロットル・ウザ」
No. 2342 エバース(初)
2016年結成、吉本興業(東京)所属のコンビ。東の賞レース荒らしがM-1でも決勝進出。所属する神保町よしもと漫才劇場のバトルライブでも昨年王者・令和ロマンを下して優勝を果たすなど、目覚ましい活躍を見せる成長株だ。因みにコンビ名は野球用語に由来し、両者とも左投左打。
佐々木さんの突飛なボケに町田さんが細かいところまでツッコむスタイルで、シンプルながらコンスタントに笑いを取れるのも魅力的だ。一方で二人とも甘噛み癖があるのが玉に瑕で、曲者揃いの今大会において正統派は一つのミスで周囲の空気に飲み込まれかねないが、完璧にこなせたら初出場で優勝の可能性も大いにある。近年の勢いそのままに、王座を勝ち取れるか。
個人的キャッチコピー
「叩き上げ漫才戦士」
No. 2585 ダイタク(初)
2009年結成、吉本興業(東京)所属。東京吉本が誇る“悪魔の双子”が、ラストイヤーにして悲願の決勝進出。兄弟漫才師として中川家・ミキ以来3組目、双子漫才師としては初のファイナリストとなった。声が少し低いのが兄・大さん、左目の下に泣きぼくろがあるのが弟・拓さんである。
ネタは主に正統派のしゃべくり漫才で、双子を前面に押し出したものが多い。M-1では過去5回準決勝まで進出するも、あと一歩届かずにいた。ラストイヤーの今年は、予選の段階からネタも二人のそっくり度合いも過去一仕上がっているとまで言われ、期待されながらここまで辿り着いた。15年間、愚直に磨き続けた“伝家の宝刀”が、大舞台で遂に炸裂する。
個人的キャッチコピー
「覚醒!しゃべくりツインズ」
後編に続く⬇️