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株価算定の明確化による大きなメリット


⑴ はじめに

スタートアップ公認会計士の中辻です。
この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございます。

なお、noteだけでなく、X(旧Twitter)でも情報発信を積極的に行っていますので、フォロー頂けますと幸いです。アカウントは👉@Naka_CPAです。

さて、本題の方に入らせて頂きます。

5月29日に「スタートアップの経営者や支援者のためのストックオプション税制説明会」が開催され、ストックオプション価格算定に関しての公式発表がされています。

理論上は行使価格1円のストックオプションの発行が可能になりましたが、スタートアップが1円行使価格のストックオプションの発行することは様々な弊害があります。一方で、税務上の取り扱いの明確化により、大きなメリット享受できることになりました。

本記事は、その大きなメリットに焦点をあてて記載します。

なお、1円行使価格のストックオプション発行に関する弊害に関しては、以下をご参考になさってください。

⑵ 大きなメリット

❶税制適格を満たす要件(行使価格)

ストックオプション行使による税務上のメリットがある税制適格要件(行使価格)を満たすには、ストックオプションの行使価格を新株予約権にかかる契約を結んだときの時価以上で設定する必要がある。

株式時価と行使価格

ストックオプション付与の趣旨として、バリュエーションの向上を目的としてインセンティブを付与するものである。そのため、ストックオプション付与時点でストックオプション受領者に利益がもたらされると、本趣旨に反するため、ストックオプションの行使価格を付与時の時価以上にしなければならない。

❷株価算定の実務

発表『前』の実務
発表前の実務は、税務上の株価が不明瞭であり税務上のリスクを勘案して、DCFやマルチプルなどの比較的、時価が高く計算される手法での株式算定が行われる傾向にあった。

結果的に、行使価格は高くなり、ストックオプション受領者へのキャピタルゲインが少なくなる傾向にあった。

発表『前』の実務

発表『後』の実務
5月29日に「スタートアップの経営者や支援者のためのストックオプション税制説明会」の発表により、税務上の株価が明確化し、行使価格を低く設定することが可能となった。これにより、ストックオプション受領者のキャピタルゲインが増加する傾向にある。

発表『後』の実務

ただし、行使価格を低く設定できるのは理論上の話であって、その他ストックオプション発行にあたっての論点は、過去の記事を参照頂きたい。

❸まとめ

昨年5月の発表により、❶ストックオプション受領者の税務リスクが軽減されたこと、❷低い行使価格を設定できるようになったという点において非常にメリットがある。

まとめ

⑶ 最後に

2023年5月29日に国税庁・経済産業省のストックオプションに関する発表が行われたことにより、税務上のストックオプションの価格算定が明確になったものの、実務上、1円行使価額のストックオプションを発行するには様々な論点が発生します。

選択肢が広くなり、様々な論点は発生するものの、税務上やキャピタルゲインの観点で多くのメリットがありました。こういった施策が増えていくことにより、スタートアップにジョインしたい人も増えて、スタートアップ栄枯システムが形成されることは非常に喜ばしいことだと思います。

最後になりますが、TwitterにてIPO・ファイナンス・スタートアップ・マーケットなどの情報を積極的に発信していますので、Twitterアカウントをフォロー頂けますと幸いです。

⑷ 免責事項

本文中の意見にわたる部分は私見であり、正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。本noteはあくまで議論のたたき台として活用頂きたいという想いで執筆しています。事業に影響を与える可能性のある事項については専門家にご相談頂く必要があります。

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