見出し画像

【#4】VCの世界を探る:VCの投資評価指標


(1) はじめに

スタートアップ公認会計士の中辻です。 この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございます。

今回はLP投資家がVCを評価する際の指標についてご紹介します。VCファンドは、ハイリスク・ハイリターンな投資先として知られています。

運用期間が通常10年程度と長期にわたるため、最終的なリターンを得るまでには時間がかかります。LP投資家は、このようなファンドを評価する際に、どのような指標を利用すべきでしょうか。

本記事ではVCの投資評価指標に関して解説させて頂きます。

なお、noteだけでなく、X(旧Twitter)でも情報発信を積極的に行っていますので、フォロー頂けますと幸いです。アカウントは👉@Naka_CPAです。

(2) LP投資家がVCを評価する際の指標

LP投資家(Limited Partner投資家)がVCファンドを評価する際には、以下の4つの指標を用いることが一般的であり、これらの指標を総合的に分析することが重要である。

まず、計算の過程で用いられるキャピタルコール金額について簡単に説明する。VCファンドでは、通常、投資家(LP)はファンドが資金を必要とするタイミングで段階的に資金を提供する。これを「キャピタルコール(資本コール)」と呼ぶ。

ファンドが新たな投資先を見つける度に、必要な資金を呼び出し、投資家はその都度資金を提供する方法や、25%ずつ資金を提供する方法、一括で資金を提供する方法など様々なケースがある。キャピタルコール金額は、ファンドのパフォーマンス指標(IRR、DPI、RVPI、TVPI)を計算する際の基礎となる数値である。

❶ IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)

IRRは、内部収益率といい、投資の収益性を評価するための指標である。投資案件の現在価値を0にする割引率のことであり、LP投資家にとってはキャピタルコールにより振り込んだ金額とファンドからの分配金額の現在価値を等しくする割引率を表す。成功報酬を含めるかどうかにより、グロスIRR(成功報酬を含める)またはネットIRR(成功報酬を除く)と呼ばれる。VCファンドにおいては、一般的に15%~20%程度のIRRが期待される。

❷​ DPI(Distributions to Paid-In Capital:実現倍率)

DPIは、実現倍率とも呼ばれ、LP投資家が払い込んだキャピタルコール金額に対する分配金の累計額を表す。これは、ファンドが実際に回収した現金の額を示すため、ファンドの現金化されたリターンを評価する際に重要である。

❸ RVPI(Residual Value to Paid-In Capital:未実現倍率)

RVPIは、未実現倍率とも呼ばれ、LP投資家が払い込んだキャピタルコール金額に対する残存価値の合計を表す。これは、ファンドの未実現の投資価値を評価するための指標である。

❹ TVPI(Total Value to Paid-In Capital:投資倍率)

TVPIは、投資倍率とも呼ばれ、LP投資家が払い込んだキャピタルコール金額に対するファンドの総価値を示す。これは、分配金累計金額と残存価値の合計をキャピタルコール金額で割ったものである。この指標は、投資家が投入した資本に対して、どれだけの総価値(現金と未実現の投資価値)が生み出されたかを表す。

⑶ 最後に

この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございました!

今回は、ベンチャーキャピタルのVCの投資評価指標について解説させて頂きました。皆様のご参考になれば幸いです。

最後になりますが、TwitterにてIPO・ファイナンス・スタートアップ・マーケット・ベンチャーキャピタルなどの情報を積極的に発信していますので、Twitterアカウントをフォロー頂けますと幸いです。

(4) 免責事項

正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。事業に影響を与える可能性のある事項については専門家にご相談頂く必要があります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?