見出し画像

【#5】VCの世界を探る:企業価値評価ガイドライン(IPEV)


⑴ はじめに

スタートアップ公認会計士の中辻です。 この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございます。

今回はVCにおける投資先の企業価値評価方法についてご紹介します。VCの投資先の企業価値評価には様々な方法がありますが、この記事では国際的に使用されているIPEVガイドラインについて解説していきます。

なお、noteだけでなく、X(旧Twitter)でも情報発信を積極的に行っていますので、フォロー頂けますと幸いです。アカウントは👉@Naka_CPAです。

⑵ IPEVガイドラインについて

IPEVガイドライン(International Private Equity and Venture Capital Valuation Guidelines)とは、VCにおける企業価値評価の透明性の向上、一貫性の確保、信頼性の向上を目的とした基準である。評価アプローチとして以下の3つの方法を示している。

企業価値評価技法一覧

なお、IPEVのガイドラインに関しては、公式ホームページで入手可能であり、参照頂きたい。全文英語になっているため、日本語版が必要ということであれば、日本ベンチャーキャピタル協会にて紹介されているので、参照頂きたい。

❶ マーケットアプローチ(Market Approach)

市場アプローチは、同様の資産や企業の市場における取引価格を基に評価を行う方法である。特に、対象企業と同様の競合他社が存在する場合に有効である。

公開市場取引価格:
 公開市場で取引されている同様の企業や資産の価格を参考にする。例えば、同じ業界の公開企業の株価をもとに対象企業の評価を実施する。

マルチプル
収益倍率(例: P/Eレシオ、EV/EBITDA)や売上倍率(例: EV/Revenueレシオ)を参考にする。例えば、同じ業界のEV/EBITDAをもとに対象企業の評価を実施する。

❷ インカムアプローチ(Income Approach)

収益アプローチは、将来のキャッシュフローや収益を基に評価を行う方法である。これは企業の将来の収益力に基づいてその価値を算出するため、特に成長が見込まれる企業の場合や適用が容易で市場データが利用可能な場合に有効である。

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法
将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する。例えば、将来のフリーキャッシュフローを予測し、加重平均資本コスト(WACC)を用いて現在価値に割り引く場合や配当割引モデル(DDM)を使用して評価する場合がある。

❸ コストアプローチ(Cost Approach)

コストアプローチは、企業の資産の再取得原価や純資産を基に評価を行う方法です。このアプローチは、特に新規設立企業や不動産会社・投資会社などの資産ベースの会社に有効であるが、成長企業の評価には適していない。

再取得原価法
現在の市場で同様の資産を再取得するコストを基に評価する。例えば、企業が保有する不動産や機械設備などの評価額を基に企業価値を算出する。

純資産価値法
企業の総資産から総負債を差し引いた純資産価値を基に評価する。例えば、知的財産や特許などの無形資産の評価に用いられる。

⑶ 最後に

この度は、本記事をお読み頂きましてありがとうございました!

今回は、IPEVガイドラインの概要について解説させて頂きました。皆様のご参考になれば幸いです。次回以降、より深堀して解説させて頂く予定です。

最後になりますが、TwitterにてIPO・ファイナンス・スタートアップ・マーケット・ベンチャーキャピタルなどの情報を積極的に発信していますので、Twitterアカウントをフォロー頂けますと幸いです。

⑷ 免責事項

正確性について万全を期しておりますが、その内容について保証するものではありません。事業に影響を与える可能性のある事項については専門家にご相談頂く必要があります。


いいなと思ったら応援しよう!