猫を飼育する前に知っておくべきこと
猫と生活するには、知っておかなくてはならないことがいくつかあります。それを満たすことで、長年にわたり猫の健康と幸福を維持することに役立ちます。これらが満たされないと、猫はストレスを感じ、健康や行動に影響が出るかもしれません。あなたと猫が互いにこれからを楽しくするには、あなたの家を「猫に優しい」家にして猫の生活を豊かにすることが大切です。
猫の飼主にとって最も重要なことは、「猫は暴力では従わず、褒めることで従う」という事実を理解することです。猫を叱ることは、その行為の直後だけに効果がありますが、数秒以上後に叱っても、何が悪かったのか猫にはわかりません。しかも、叱ることで、あなたやその環境を恐れてしまう原因になるかもしれません。もし、あなたが猫の過ちを見つけた時には、大きな物音を立てたり、何かものを投げたり(猫に向かってではなく)するなど、その音や物に注意を引くことが良い方法でしょう。これは決してあなたに対して注意を引くことではありません。
猫を室内飼育にするか、それとも外に自由に出入りさせるかは、非常に個人的な問題です。室内飼育の利点は、健康を危険にさらす外傷を防ぐこと、伝染病および寄生虫感染を減少させられることが挙げられます。
飼い主の知識
猫の健康と幸福を良好に保つために、私たちはいくつかの事実を知っておく必要があります。猫は単独行動する動物です。人間と猫には行動の考え方に違いがあります。
人間は猫の所に行って遊ぼうとする。猫は自分が遊びたい時だけ私たちの所に来る。
人間は低頻度で長時間遊ぼうとする。猫は高頻度で短時間遊ぶのが好き。
人間は叫ぶ事や罰を与えることで問題行動を解決しようとするが、猫は叫ばれることや罰を与えられることを「生命を脅かす出来事」として感じている。
行動のチェック
猫の健康と幸福を理解するために、健康な行動であるのかを定期的にチェックしてみましょう。
活動性:大胆に探検したり、高い場所に登ったりして生活スペースを活用している。
交流:家の中で人間と短時間で高頻度の交流をしている。
水やフードの消費:室内飼育の猫は、フードと水を1日かけて少量ずつ飲食している。
排泄行動:ほとんどの猫は、1日に2-4回排泄している。
体重減少や体重増加:増加も減少も共に10%以上の差は重要です。定期的に体重測定したり、ボディ・コンディション・スコアをつけたりして管理しましょう。
グルーミング(毛の手入れ):猫は普段、全身の毛の手入れを1日に2-3回、穏やかに行っている。
睡眠特性:眼の届く場所、お気に入りの場所で眠る。
発声:猫はさまざまな鳴き声を持っています。正常な時の猫の鳴き声を覚えておくと、様々な変化にも気付くことが出来ます。
猫は突然の変化が好きではありません(誰が行おうが関係なく)。新しいもの(フード、トイレ、おもちゃなど)を与える時は、慣れ親しんだものの隣に、新しい物を置いてみましょう。そうすることで猫自身が、この変更を望むか望まないかを決めることが出来ます。
ボディ・コンディション・スコア
ペットの体型を数字で評価する基準のことをいいます。BSCともいい、ボディ・コンディション・スコアには5段階に分けるものと9段階に分けるものがあります。9段階スコア(括弧内は5段階スコア)を以下に記します。
1(1):理想以下:短毛種で肋骨が見える。体脂肪が触知できない。著しい腹部のへこみ。腰椎および腸骨翼が容易に触知できる。
2:理想以下:短毛種で肋骨が容易に見える。腰椎がはっきりと見える。腹部のへこみが目立つ。体脂肪が触知できない。
3(2):理想以下:ごく薄い体脂肪が肋骨を覆っており、容易に触知できる。腰椎がはっきりと見える。肋骨の後ろに腰がはっきりとくびれている。腹部の体脂肪はごくわずか。
4:理想的:ごく薄い体脂肪が肋骨を覆っており、触知できる。肋骨の後ろに腰がくびれているのが見える。腹部のくびれはわずか。腹部の脂肪層がない。
5(3):理想的:均整が取れている。肋骨の後ろに腰のくびれがある。肋骨はわずかに脂肪に覆われ触知できる。腹部はごく薄い脂肪層に覆われる。
6:理想以上:肋骨はわずかに余分な脂肪に覆われており触知は可能。ウエストおよび腹部の脂肪層はそれほどはっきりとではないが見ることができる。腰のくびれはない。
7(4):理想以上:肋骨は中程度の脂肪に覆われ触知困難。腰のくびれはほとんどない。腹部は丸みを帯び、中程度の脂肪に覆われる。
8:理想以上:肋骨は余分な脂肪に覆われ触知できない。ウエストがない。腹部の丸みが明らかで腹部の脂肪層が目立つ。腰椎部に脂肪沈着がある。
9(5):理想以上:肋骨は厚い脂肪に覆われ触知できない。腰椎部、顔、四肢にかなりの脂肪沈着がある。腹部が膨張し腰のくびれがない。過剰な腹部脂肪。(Body condition score: WSAVAより引用)
スコアをつけてみよう!
まず最初は猫を見ることから始めましょう。ざっと全体を見渡すことは、あなたの猫が健康的な体重であるかどうかを確かめるのに役立ちます。次のことをチェックしてみましょう。
側面からのチェック:猫が立っているときに、あなたが猫の高さになって横から見てみます。お腹、手足、姿勢を見るために役立ちます。
頭上からのチェック:猫が立っているときに、頭上から見下ろします。ウェストや腰の領域(背中)を見るのに役立ちます。
このチェックを行うときは、猫の品種を考慮しましょう。シャム猫などは他の品種よりスリムなのが普通です。猫は顔にお肉がつかないので、顔が細く見えたり、ぽっちゃりしてたりしても心配しないでください。それはその子の特徴です!見た目での評価が終わったら、手を使った評価の時間です。チェックの鍵は以下の3ヶ所です。
肋骨
しっかりと撫でるようにして、優しく胸部に手を添わせます。それほどしっかりと圧迫しなくても胸部の感覚を得ることができます。もし、骨が突き出ているように感じる時は痩せすぎかもしれませんし、肋骨の感触を強く押さなければ感じられない時は太りすぎかもしれません。猫の胸部を被毛を含めて見てはいけませんが、被毛の長さによってはおよその外形がわかることもあります。
ウエスト
猫の肋骨から腰に向かって優しく手を滑らせてください。ここは敏感な部分なので、注意深く行ってください。ウエストラインからお尻に沿って優しく感じ取りましょう。このエリアに沿って移動させると、砂時計状にくびれていることに気づくはずです。太っている猫は、このくびれがないかもしれません。
ウエストのチェックをするときに手を添えることは不可欠です。被毛に隠れていて、見るだけでは正確な判断ができないからです。
お腹
ウエストのチェックが終わったら、お腹を見てみましょう。腹部は「危険地帯」なので、優しく、そして注意深く行います。もし、猫が腹部を触られることを嫌がるようであれば、無理やり行ってはいけません。お腹を触ることができるなら、お尻まで直線上になっていることに気づくでしょう。猫はしばしばお腹が少しやわらかく出っ張っていることもあります。これは正常ですが、それ以上のものかどうかを確認しましょう。太鼓腹が垂れ下がり、歩くときに左右に揺れ始めた場合、その猫は太りすぎでしょう。(https://www.purina.co.uk/cats/health-and-nutrition/exercise-and-weight-management/assessing-your-cat's-body-conditionより翻訳引用)
トイレ
猫は当然のことながら生理的欲求を満たすために排泄をします。また、自分のテリトリーを示す方法としても排泄物を利用します。室内猫はあなたの家を自分のテリトリーであると考えているので、トイレ以外の場所で排泄するかもしれません。しかし、魅力的なトイレを与えることによって、猫が排泄物を使用せずに家を自分のテリトリーであると感じることが出来るかもしれません。猫は悪い経験に関連する物事を避ける傾向があります。もし、猫がトイレの使用中に悪い経験をしたなら、猫は生涯にわたってそのトイレを避けるかもしれません(例えばトイレが汚かったり、何者かが猫を脅かしたりしたなら)。そうならないように、猫がトイレを使ったときに良い経験となるように環境を整えましょう。
トイレを設置するにあたり考えなくてはならない4つの基本事項があります。トイレの衛生、トイレのタイプと大きさ、猫砂の素材、トイレの場所と数です。
トイレの衛生
猫は潔癖なほど清潔な動物です。ほとんどの猫は清潔な場所が好きで、汚れたトイレを嫌がるでしょう。そして、トイレが不衛生なことで、自宅を汚してしまうかもしれません。カーペットや、ベッド、ソファーが、「清潔な場所=トイレ」にならないように「本物のトイレ」を清潔に保ちましょう。不適切な場所での排泄を防ぐためには、トイレから毎日尿便をすくいとり、中性食器用洗剤で週に1度は洗浄しなくてはいけません。
トイレの形状と大きさ
トイレは様々な形や大きさのものが市販されています。猫は一般的に大きくてカバーのないトイレを好みます(カバーのないトイレは、簡単に出入りができるので)。大きなトイレは、猫が動き回れるスペースがあるので優れています。トイレの判断基準として、猫が4本足で立つことができ、トイレの中で方向転換できるくらい十分に大きくするべきでしょう。
猫砂を掘って散乱させる猫には、側面や縁の高いトイレが適しています。また、トイレに出入りしにくい子猫や老齢猫には、側面の低いトイレが適しています。
カバーのついたトイレはプライバシーが確保されるため、好む猫もいます。カバーのあるトイレを使用するときは、その場所から他の動物を締め出すかトイレを見えない場所におきましょう。カバーのついたトイレは、カバーのついていないトイレよりも臭いがこもるので、猫が拒否しないように、トイレを清潔に保つようにより注意しましょう。
猫砂の素材
猫砂には多くの異なる素材の砂があります。ある研究では、ほとんどの猫が細かい粒子で無臭の猫砂を好むことが明らかになっています。すくいとることのできる細かい粒子の猫砂は、毎日清潔に保つことが簡単であるという利点もあります。また、多くの猫は香りのついた猫砂や消臭剤のついた猫砂にうんざりしています。このことは、室内消臭剤や空気清浄剤をトイレの近くにおいてはいけない理由でもあります。トイレの清潔が保たれている場合には、臭いが問題になることはありません。もしあなたが不快な臭いを感じたならば、猫もおそらく不快でしょうし、そこで排泄したいと思わないでしょう。トイレは最低でも1日1回は尿便をすくいとり、週に1度は中性食器用洗剤でトイレを洗浄することを忘れないでください。
猫の好きな猫砂が分かったら、その形やブランドをかえてはいけません。猫が新しい猫砂を気に入らなければ、トイレの使用を拒否するかもしれません。もし、猫砂を変える必要があるならば、新しい猫砂の入ったトイレを、なじみの猫砂の入った古いトイレの横に設置しましょう。これで猫は新しい猫砂を使用したいかどうかを決めることが出来ます。トイレは十分な量の猫砂で満たし、猫が砂を引っ掻いて汚物を埋められるようにしましょう(深さ約5cm)。
おから製猫砂:おからとは豆腐を製造する過程で、大豆から豆乳を絞った後に残ったものです。固まりやすく崩れにくいという特徴があり、可燃ごみとして捨てる事ができ、製品によってはトイレに流したり肥料にする事もできます。
木製猫砂:木製猫砂とは、廃材などを利用したおがくず状のチップです。可燃ごみとして処理したり、トイレに流せるものもあります。ほこりっぽかったり固まりが悪いなどの特徴もあるので製品ごとに要チェック。
ベントナイト系猫砂:ベントナイトとは吸水性と脱臭性に優れた粘土の一種で、鉱物系猫砂とも呼ばれます。重量があり、トイレに流せないものがほとんどですが、脱臭性が抜群という特徴があります。ごみとして捨てる場合は、所属している自治体の区分にしたがって可燃か不燃に分別してください。
シリカゲル系猫砂:シリカゲルとは二酸化ケイ素のことで、鉱物系猫砂の一種に数 えられます。顕微鏡で見ると細かい穴がたくさん空いた多孔質構造を持つため吸水性が高く、乾燥剤や触媒などにも利用されます。燃やせるもの燃えないもの、 トイレに流せるもの流せないもの様々ですが、共通して言える特徴は「軽い」という点です。
紙製猫砂:紙製猫砂とは再生紙などを利用して粒状にしたものです。水に溶けるのでトイレに流せるものがあり、また燃やせるので可燃ごみとして処理できるという特徴があります。また鉱物系に比べて軽いため、女性が持ち運ぶ際は便利です。(「子猫のへや」より引用)
トイレの場所と数
猫のトイレは、使うときにプライバシーの確保された静かな場所がよいでしょう。また、突然スイッチが入って驚かされる様な電化製品や換気扇からトイレを離し、猫が使用している最中に人間や他の動物が忍び寄ることが出来ないような場所に設置しましょう。トイレのある場所への出入りが簡単にできるところに設置し、洗面化粧台シンクや低いテーブルの下などの狭い場所にトイレを設置してはいけません。トイレは、猫が立つことができて、快適にあちこちに移動出来ることがとても大切です。次に、猫がトイレに行く経路を考えてみましょう。猫がよじ登れるような家具や、他の動物が使う物の近くには設置してはいけません。たとえば、犬と同居している場合、犬のベッドの近くやソファーの後ろに設置されているトイレは、猫が使用できない場合があります。ポイントは、
人通りの少ない静かな場所
その部屋への出入りが簡単
狭い場所はダメ
食卓から遠い
重要な法則は、猫1頭あたり1つのトイレ・プラス1です(3頭飼育している場合には4つ必要ということです)。尿スプレーなどのマーキングの問題は、トイレを複数設置することによって予防もしくは低減することができます。それぞれの猫に排泄場所やテリトリーとなる場所が必要ということです。また、猫はトイレまで長い距離を歩くことが好きではありません(無精なのです)。そのため、2階建て以上の家庭では、それぞれの階に利用可能なトイレを設置しましょう。家庭の各階にトイレがあるならば、この「無精」による問題は少なくなるでしょう。
もしあなたが上記の4つの基本事項に対応しているにもかかわらず、猫がそのトイレを使わないならば、猫は病的な問題を抱えているか、猫の環境にある何かが脅威を与えているかもしれません。
フードと水
動物に必要不可欠な食物。では、猫のフードは何を選べばよいのでしょうか?ペットショップなどにはたくさんの種類の猫のフードが置かれています。飼主にとって、悩みの種でもあります。日本でのフードの表示は、総合栄養食、間食、その他の目的食に分類できます。より一般的には、総合栄養食、おやつ、一般食と考えてよいでしょう。
フードの種類
総合栄養食
犬や猫が必要とする栄養基準を満たした、「毎日の主要な食事」として与えるためのフードです。新鮮な水と一緒に与えるだけで、それぞれの成長段階における 健康を維持することができるように、理想的な栄養素がバランスよく調製されています。総合栄養食には、そのペットフードが適応する成長段階が必ず表記されています。成長段階は、「幼犬・幼猫期/成長期またはグロース」「成犬期・成猫期/維 持期またはメンテナンス」「妊娠期・授乳期」にわかれています。また、これらの3段階全てを満たすものとして、「全成長段階」又は「オールステージ用」が あります。
「総合栄養食」は次のように表示されています。「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています。」または「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています。」
ペットフード公正取引協議会では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準となっているAAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しています。
間食
犬や猫のおやつ、しつけのごほうびなどとして与えられるペットフードです。代表的なものとしてジャーキーやガムなどがあり、限られた量を時を選ばず与えられるフードには、間食の表示に替えて、おやつ、スナックなどといった表示をすることもできます。
その他の目的食
特定の栄養を調整する、カロリーを補給する、あるいは嗜好増進などを目的としたペットフードです。「総合栄養食」ではないために、これを補うために与えなければならない食事の内容や量などを明記しなくてはなりません。「その他の目的食」は次のいずれかが表示されています。
一般食(おかずタイプ)
一般食(総合栄養食と与えてください)
栄養補完食
カロリー補完食
副食
特別療法食
ペット用サプリメントなど(総合栄養食、間食、その他の目的食については「ペットフード公正取引協議会」より引用)
さて、動物病院と関係の深いフードといえば特別療法食です。「処方食」とか単に「療法食」と呼ばれることもあります。
特別療法食
特定の病気などに栄養的に対処するために栄養バランスが考慮され、専門的なアドバイスや指示にしたがって与えることを意図したペットフードのことです。多くの製品は総合栄養食と同等の栄養バランスを満たしていますが、病気を管理するための特殊な組成をもつフードなので、獣医師の指示にしたがって与えましょう。(特別療法食については「ロイヤルカナン ジャポン合同会社」より引用)
栄養素の動物間の差
猫は肉食で、必要な栄養素の割合は、炭水化物45%、たんぱく質35%、脂質20%です(ちなみにヒトは雑食、炭水化物68%、たんぱく質18%、脂質14%、イヌは肉食に近い雑食、炭水化物60%、たんぱく質25%、脂質15%)。また、摂取したタンパク質の25~30%を皮膚や被毛の生成に使用します。そして、脂肪や炭水化物を摂取していても、身体の中で常に一定量のタンパク質をエネルギー源として利用します。そのため、猫は多くのタンパク質を必要とします。猫は体内でビタミンA、タウリン、アラキドン酸を合成できないので食事から摂取しなくてはいけません。
ウェットフードとドライフード
ウェットフードは文字通り水分を豊富に含んだフードのことです。缶詰やパウチで販売されています。ドライフードは、経済性と保存性を追求したフードです。「カリカリ」と呼ばれることもあります。猫は泌尿器系の病気が多く、その原因の一つとして「ドライフード」が挙げられます。動物病院によっては「ドライフード禁止!」というところもあります。重量あたりのカロリーは、水分を多く含んでいる「ウェットフード」の方が少なく、「ドライフード」の方がカロリーが高いのが一般的です。尿路結石や腎臓病の猫には、獣医師から「ウェットフード」を勧められることがあります。「うちの子はドライフードしか食べない」といったことにならないように、日頃から「ウェットフード」と「ドライフード」をバランスよく与えることがお勧めです。
フードの量
まず、猫の体重とボディ・コンディション・スコアを知ることから始まります。自宅の体重計で、猫を抱っこして計測し、自分の体重を引けば、それが猫の体重です。たいていの猫は、少量の食事を1日に何回かに分けて食べます。1日に何グラム与えているか?フードの1グラム当たりのカロリーは?これによって1日に何カロリー摂取しているかがわかります。減量が必要ない場合でも、1日の摂取カロリーを知ることは重要です。基本的にはフードに記載されている標準給与量を基準に体重、運動量、肥満度合いによって増減します。また、ライフステージによっても給与量は異なってきます。適切なライフステージ用のフードを選択しましょう。もし、体重が過剰だと思われる場合には、獣医師に相談することをお勧めします。
食事のための容器
陶器製の食器が最も好まれ、ステンレス製の容器は好まないことが多いです。「仕方なく」その容器で食べている猫もいるかもしれません。食べている時に移動しないように工夫してあり、舐めとりやすいように角のない容器がお勧めです。猫によっても好みが分かれる食器ですので、いろいろ試してみるのが一番です。また、毎日水で洗浄し、最低でも週1回は洗剤で洗浄することも忘れずに。
飲み水
猫はあまり水を飲まなくても平気なように体が作られていますが、ドライフードによる水分不足を補うためには適切な量の飲水は必要不可欠です。観葉植物の鉢の受け皿に溜まった水が好みとか、お風呂の残り湯だとか、あまり衛生的ではない水を好んで飲む猫もいます。また、水道の蛇口から直接飲む猫や、決まった容器の水しか飲まない猫まで様々です。食器と同様にいろいろ試しながら決めていくと良いでしょう。
避妊・去勢の影響
避妊・去勢によって猫の食事量は約22%増加し(雄では特に増える)、エネルギー消費量が約30%低下します。そのため、避妊・去勢手術後はフードの種類や量の変更が必要になります。手術後に獣医師に相談しましょう。
高い場所
猫は好奇心が強いので、周囲で何が起こっているかをとても気にしています。猫は外部からの物音を「聞く」ことができ、多くの変わった匂いを「嗅ぐ」こともできますが、外で何が起こっているかを「見る」必要があります。猫は安全かどうかを知りたいのです。「聞く」ことや「嗅ぐ」ことが出来ても「見る」ことが出来なければ、猫は恐怖を感じています。
周囲を見渡せる高いところが猫には必要です。猫は登ることが好きで、「高い場所」は猫に安全と、上から行動を見渡せる場所を提供します。「高い場所」は、横たわったり、座ったり、寝たり、上から外をみたりすることのできるものが最適でしょう。「高い場所」は様々な形やサイズのものが購入できます。窓の敷居につけることもできますし、自作することもできます。より多くの「高い場所」があれば、異なる角度から外をみることが出来るでしょう。
猫が外を見ることが出来るように、カウチ、ソファー、イス、頑丈なテーブルを窓の前におくことも良い方法です。猫のために外の景観をより魅力的にすることも必要かもしれません。庭に鳥の餌箱を作ったり、ミツバチ、蝶、他の昆虫をひきつけるきれいな花を植えましょう。このような景観は、猫が興味を持ち続け、「高い場所」で外を見ながら何時間でも座っていられるかもしれません。
どこか高いところで猫が寝ているなら、猫がその場所を安全だと感じているのかもしれません。猫が他の動物や人間が近づくことのできない安全な場所だと感じられるように、登っていけるような場所を作ってあげましょう。「高い場所」の適切な設置場所がわからないときは、猫を観察しましょう。丸くなって寝ている場所は快適だと感じているので、あなたも気づくと思います。猫の選んだ場所が人間にとって不都合があるなら、猫が使いたくなるような他の場所で、猫におやつをあたえ、優しい言葉をかけると良いでしょう。猫がその場所にいることを拒否するなら、その場所を最も魅力的な場所にする必要があります。猫の好きなおやつやおもちゃをその「高い場所」におくと、猫が調べに来ます。猫は自ら近づいてきてくれるでしょう。カウチ、エンドテーブル、洋服棚の上を、「高い場所」として猫は使用しているかもしれません。そういった家具の配置転換や移動の時には、その後も猫が外を見ることができるか注意しましょう。
爪とぎ
引っ掻くこと(爪とぎ)は、猫の自然な行動です。猫は、筋肉をストレッチするため、古い爪の角質を落とすため、爪を研ぐため、香りを残すために爪とぎをします。爪を抜いた猫でさえ本能的に爪とぎをします。爪とぎ用品は、本能的な爪とぎへの「はけ口」を与え、同時に家具やカーペットの引っ掻き予防になります。あなたの猫に最適な爪とぎ用品を選ぶために、次の点を考慮しましょう。
あなたの猫が好きな引っ掻くものは何ですか?
あなたの猫が好きな引っ掻くものと同様の素材でできた爪とぎ用品を選びましょう。ほとんどの猫(すべてではありません)は、粗い素材の爪とぎ用品を好みます。麻の爪とぎ用品は、猫が引っ掻くことで満足を得られやすく、素材も繰り返し使用するのに十分丈夫なので理想的です。爪とぎ用品の形状は、垂直に置くことができるもの、直立できるもの、水平に置くもの、平坦なものがあります。サイズもさまざまで、素材も麻、カーペットやダンボールなどがあります。
椅子の脚やソファーの角を引っ掻く猫は、縦置きの爪とぎ用品を好むかもしれません。縦置きの爪とぎ用品は、猫が爪とぎをする時にストレッチできるように十分な高さであることを確認しましょう。ラグやカーペットを傷つける猫は、水平の爪とぎ用品や爪とぎマットを好むかもしれません。爪とぎ用品は、猫が使っている時に移動したり、倒れたりして、猫が怖がることがないように安定させましょう。
あなたの猫はどこを引っ掻きますか?
猫は自分の香りを残すことで、テリトリーを示し、通過したことを他の猫に教えるためにも爪とぎをします。多くの猫は、寝る場所や部屋の入口付近の目立つものに対して爪とぎをします。そのため、爪とぎ用品はそういった場所や、家族全員が使用する「共有スペース」に配置する必要があります。多頭飼育の家庭では、縦置き型、横置き型両方の爪とぎ用品を家全体にいくつか配置すべきです。また、これらの爪とぎ用品は、猫が集まるエリアで、食料や水の容器、トイレなどのような共有スペースへの経路に沿って配置する必要があります。複数の爪とぎ用品を配置することで、家具やカーペットを台無しにすることなく、爪とぎでのマーキングをしても良い場所を猫に与えることが出来ます。
猫が爪とぎポストを使わない場合は?
猫の好みを考え、代わりに引っ掻くことのできる同様のものを設置してみましょう。また、あなたが爪とぎをして欲しくない物の近くに爪とぎ用品を設置しましょう。さらに、爪とぎをして欲しくない物を、両面粘着テープ、アルミホイル、紙やすりのシート、トゲトゲのあるプラスチック製品などの、猫が魅力ないと思うようなもので覆ってみましょう。柑橘系の香りや香水を染み込ませた綿を取り付けることで、対象物に不快臭をつけることもできます。猫が摂取して害があるようなものは使用しないで下さい。そして、トイレや食事場所などの近くで不快なにおいをさせないために、強い匂いにも注意が必要です。
猫が爪とぎ用品を使用している場合でも、わずかにずらしながら(1日7cm以内で)適切な場所に移動することが出来ます。しかし、可能な限り猫の好む引っ掻き場所に近いところに爪とぎ用品を維持することが最良です。
猫の爪切り
しばしば見過ごされがちですが、爪切りをすることは引っ掻くことからの損傷を減らす簡単な方法です。1週間に1回、猫の爪のとがった先端を切ることが出来ます。猫のためにデザインされた爪切りがいくつかあります。猫の爪床を破壊しないので、人間用の爪切りより適しています。
猫の爪を切る前に、肉球を触ったり圧迫したりすることに慣れさせましょう。おやつを与えている間に手足や肉球を優しくなでることによって、手足を触られることが、より楽しい経験だと感じてくれるでしょう。
爪切りをするためには、隠している爪を押し出す必要があります。肉球を撫でることから始めて、優しく圧迫するまで段階的に圧力を強くしていきましょう。猫が手足を触っている事を嫌がらないようになるまで、猫におやつを与えながら続けましょう。猫が慣れてきたら、親指を肉球の頂点に、人差し指をその反対側に、爪が伸展するまで猫の肉球に少しの圧力を加えましょう。猫の爪を横から見るとピンクの領域(爪床)があり、そこには血管があります。爪床は出血し、とても痛がるので切ってはいけません。爪の鋭い先端のみを切り、爪を短くします。猫に合わせてゆっくり行わないと、猫が爪を切ることを怖がるようになってしまうかもしれません。最初は、1日に1つの足のみ爪を切りましょう(1つの指だけでも良いです)。猫が爪を切られることに慣れれば、四肢全ての爪を同時に切ることが出来ます。
猫の爪を切りたくない場合は、爪の上にフィットする柔らかいプラスチック製キャップを購入することができます。ネイルキャップは「ソフトクロー」というブランド名で、様々なサイズと色があります。
休息場所
猫にも休息場所は必要です。人間と同様に猫にも好みがあるようです。自然界で猫は寝ている間にもっとも攻撃されやすいので、安全で安心できる場所で休息することを好みます。望ましい休息場所は、猫が他の家族全員から逃げることが出来る、静かで快適な場所です。猫はキッチンの食器棚の上やベッドの下で休息することによって、逃げ道を確保しているかもしれません。キャットタワー、ベッドやソファーで丸まって寝ることが好きな猫もいます。猫用ベッドも良いですが、心地よい毛布やタオルは、猫にとって同じように魅力的であり、洗濯も簡単です。
家族の寝るベッドや家具の上で猫に休まれたくないなら、家の静かな場所に猫の「隠れ家」を作ることによって、猫をそこで休息させることが出来ます。「隠れ家」は全ての必要なもの(猫用ベッドや毛布、フード、水、トイレ、爪とぎ用品、座れる高い場所、おもちゃ)にアクセスすることが出来る、多くの人が立ち入らない、家の通路以外の場所が適切です。そのため、「隠れ家」は、猫が安全で快適と感じる場所(たとえば寝室や納戸)にするべきです。そうすることで、猫は自分が休みたいときに「隠れ家」を利用できます。
猫が休んでいる時は邪魔をしないことが重要です。あなたが寝ている時や休んでいる時に邪魔されたくないように、猫もまた邪魔されたくありません。猫が寝ている時のプライバシーを尊重すれば、猫が遊びたいときにあなたを探すようになるでしょう。
おもちゃ
猫の祖先は生き残るために、昆虫、ネズミ、その他の小動物の狩りをしていました。猫は毎日これらの小動物を10匹から20匹も捕まえる必要があったので、すぐに飛びかかれるように準備をしておかなくてはなりません。室内飼育の猫は狩りをする必要はないですが、飛びかかることは大好きです。
何かに飛びかかったり、忍び寄ったり、野生の猫と同じような行動をすることは猫を幸せにし、健康で活発さを維持する助けになります。おもちゃは多種多様ですが、購入したり、自作することもできます。室内飼育の猫も、受け継がれてきた特質から、動くおもちゃを好みます。チューチュー鳴いたり、さえずったり、小刻みに動いたり、揺れたり、振動したりするおもちゃは、猫に動く食べ物を連想させ、それと一緒に遊ぶことを魅力的に感じさせます。
最初に試すおもちゃは、物音を立てて動きまわる毛皮付きのネズミがよいでしょう。おもちゃの中にマタタビが入っているものもあります。猫の興味を引くために床の上で猫を追い越すように転がしましょう。猫はそれを食べ物だと錯覚します。また、猫によっては他のおもちゃが好きかもしれません。おもちゃをいくつか与えると、猫の好きなものが見つかるでしょう。
猫は紐の先におもちゃがぶら下がった棒などのスティックタイプのおもちゃも好きです。このタイプのおもちゃは、猫が何かをキャッチするための自然な速さと敏捷性を感じさせます。猫の前におもちゃをぶら下げて、その後ゆっくりと遠ざけて遊んでみましょう。時折、猫はそれを攻撃することに夢中になりおもちゃを噛みますが、おもちゃのかけらを猫が誤って飲み込み窒息させないように注意しましょう。
ボールタイプのおもちゃは、追いかけて捕まえることができます。猫はボールで遊ぶことが非常に上手です。自力で動くおもちゃも猫を魅了します。そのため、ピンポン玉のような ボールや毛皮の付いた小さいネズミのおもちゃは猫にとって魅力的です。
キャッチしたり、拾ったり、投げたり、再びそれを捕まえたりできるおもちゃを猫は好みます。あなたが留守中に、これらのおもちゃを与えておくことは、猫が1人の時間をつぶすのに優れています。ボールの中に食べ物やおやつ入れることができるおもちゃは、猫が遊ぶことを促進できます。そうすることで、猫は狩りや忍び寄る行動、そして自身で食物をとらえることのように感じることが出来ます。
猫が必要とするおもちゃの数に決まりはありませんが、おもちゃを飽きさせないようにするためにバラエティが必要です。猫は子供と似ています。猫が興味をもつこと、そしてそれを維持するために、いくつかローテーションできるおもちゃがたくさんあると良いでしょう。ローテーションの順番を変えることで、古いおもちゃが新しく刺激的なものになります。これをしないと、猫は退屈してしまい、1日23時間ほど寝て、おそらく肥満気味になってしまうでしょう。
時折、猫はおもちゃを気に入りすぎて、おもちゃの横で寝始めることがあります。猫がこのような行動をするときは、猫はあなたに「このおもちゃが好きなので、どうかローテーションに入れないでください」と言っています。
猫は、紙を丸めたボール、ペットボトルのキャップ、トイレットペーパーの芯、綿棒、ペーパータオル、その他様々なもので、単純な事をして遊びます。古い綿の靴下に綿のボールと少量のマタタビを詰め、最後に結び目を作ります。猫は、転がったり、飛びかかったり、咥えたり、噛んだり、運んだり、追いかけたりできるおもちゃの品ぞろえが必要です。猫にとって安全なものであれば、それを使って猫と遊びましょう。
猫は狩りをする特性から、視覚刺激も好みます。猫が外を見ることが出来ない環境(窓がない)なら、自然の風景が写っている実写のビデオテープを購入したり、自作したりできます。猫は特に鳥、魚、げっ歯類、昆虫をみることが好きです。あなたが猫と遊ぶことが出来ないしばらくの間、これらのビデオは最適でしょう。
獲物の好みを知りましょう。
ほとんどの猫は、特定の生き物を狩ることを好みます。例えば、ある猫はネズミを追いかけることが好きですが、他の猫は鳥や虫を捕まえることが好きかもしれません。猫の「獲物の好み」を知ることで、猫がより遊んでくれるおもちゃを買ったり、作ったりすることができます。細心の注意を払って、おもちゃへの反応を見極めることができれば、猫の好みの獲物を知ることが出来ます。
猫の獲物の好みを知るためには、まず、鳥に似たおもちゃをいくつか用意します。例えば、羽毛、羽毛に覆われたぬいぐるみ、空中に浮かぶもの、さえずる音を立てるおもちゃなどがあります。それぞれの「鳥のおもちゃ」を空中で動かしたり、飛ばしたりして遊び、猫を誘惑してみましょう。さて、どのおもちゃについてきましたか?全てのおもちゃでしょうか?それとも全て無視していましたか?注目して観察してください。
次に猫の視界から「鳥のおもちゃ」を隠して、「ネズミのおもちゃ」を試してみましょう。例えば、ネズミに似たおもちゃや毛皮、動物のぬいぐるみ、毛皮で覆われたネズミ、そしてボールなどがあります。それぞれの「ネズミのおもちゃ」を動かした時、猫はどのように反応しましたか?猫は追いかけようとしましたか?それとも、「鳥のおもちゃ」で遊んでくれるのを持っているのでしょうか?
「鳥のおもちゃ」、「ネズミのおもちゃ」両方とも20秒ごとに交換しながら試してください。どちらを好みましたか?それぞれにいくつか気に入ったものがあったのなら、きっと鳥もネズミも両方とも好きなのかもしれません。
最後に、今までの全てのおもちゃを隠して、「昆虫のおもちゃ」を試しましょう。例えば、レーザーポインタの光、端を結んだヒモ、ドライフードやおやつを床に転がすことを試しましょう。猫の反応はどうでしょうか?どの獲物が良いかをみるために「鳥のおもちゃ」や「ネズミのおもちゃ」に交換して試してみます。猫が羽毛や空中の物と楽しんでいたように見えるなら、「鳥のおもちゃ」を、毛皮のついた物や地面を動く物を好むのであれば、「ネズミのおもちゃ」を、動きの豊富な小さな物が好きならば、「昆虫のおもちゃ」を選びましょう。
猫が狩りをしたいと思う生き物のタイプが分かったら、その生き物の持つ性質を考え、同じ性質を持つおもちゃを猫の身になって想像力を働かせて見つけましょう。そして、猫のおもちゃを探すときは、そのタイプに似ている動物は何かを考えましょう。おもちゃは猫にとって、食べ物と変わらない大事なものなのです。
これらのテストは、ほとんどの猫でわずか数分しかかかりません。このテストを行い、あなたが猫の立場で考えることを学んだ時、猫の獲物についての考え方が変わるかもしれません。これが成功すれば、猫が遊びたくなるおもちゃを見つけることができるようになっているでしょう。猫がおもちゃに興味を失った場合、同じ獲物の特性を持つ新しいおもちゃを試してみてください。それでも猫が興味を持たない場合は、異なる獲物の種類のおもちゃを与えてみてください。猫は様々なおもちゃで楽しめるでしょう!
注意!!
紐の付いたおもちゃは人間と遊ぶ時だけにしましょう。それ以外の時は猫が勝手に遊べないようにしまっておきましょう。猫が一人遊びしている時に紐を噛み切って飲んでしまうことがあります。飲み込んだ紐は腸を切り裂きながら奥へと進み、手術しないと取り出せなくなります。
隠れ家
「隠れ家」は、必要なもの全て(ベッド、食物、水、トイレ、爪とぎ用品、座れる高い場所、おもちゃ)にアクセスすることが出来る、多くの人が立ち入らない、家の通路以外の場所に設置しましょう。そのため、「隠れ家」は、猫が安全で快適と感じる場所(たとえば寝室や納戸)にするべきです。そうすることで、猫は自分が休みたいときに「隠れ家」を利用できます。
「隠れ家」は、猫が静かな時間を1人で過ごす必要があるときに、逃げ込むことができる場所です。猫が自由に往来することができるようにするべきです。「隠れ家」に猫がいるときは、ほかの家族(人間も動物も)が猫を邪魔しないようにするべきです。
猫に聞こえはするものの確認することができない物音(家の外の騒音など)をテレビやラジオをつけておくことで覆い隠します。テレビやラジオは人間の声が出るので、猫に安心感を与えることもできます。「隠れ家」を安全でより魅力的にするために、フェリウェイスプレーやフェリウェイディフューザーの使用も良い選択かもしれません。
フリー・アクセス・クレート・トレーニング
フリー・アクセス・クレート・トレーニングとは、猫のために隠れ家を提供する別の方法です。フリー・アクセス・クレート・トレーニングは、犬の「クレート・トレーニング」と似ています。猫はクレート(ケージ)やキャリーを安全な避難場所として認めてくれます。ケージは寝具、フードや水の容器を収納するために大きいものがよく、トイレも十分大きいものが良いでしょう。静かで安心できる部屋にケージを置きましょう。猫は周囲を見渡す事が出来る高い場所が好きです。ケージをソファーや洋服棚に乗せることで、猫にとって、より魅力的に見えるかもしれません。既にケージやキャリーに関連する恐い経験(動物病院へ行くような)をした猫では、ゆっくりとはじめましょう。また、新しいケージを購入することで、すでに関連付いている怖い経験をリセットできるかもしれません。
始めに、猫がいつも休んでいる場所にケージを置きましょう。ケージのドアやキャリー上部の開閉部を開けておきます。ケージの床に猫の好きな毛布を載せます。ケージの近くで遊んだり、撫でたり、フードを与えたりして、猫とケージの良好な関係を作りましょう。猫が受け入れたなら、ケージの上に猫を載せたりして、猫に慣れさせましょう。猫が上に乗ったり中に入ったりできたなら、ドアや上部の開閉部を締めてみましょう。猫がケージの使用を嫌がるなら、フェリウェイを使うことでより快適であると感じてくれるかもしれません。
フリー・アクセス・クレート・トレーニングは家の中での避難場所を提供するだけでなく、猫が行くところどこにでもパーソナルスペースを与えることが出来ます。猫が安全であると感じることが出来るので、動物病院へ行く時、車に乗る時、旅行、そして引っ越しが楽になります。猫がパーソナルスペースを持つことは、他の動物とテリトリーを争う必要性を感じることが少なくなり、猫同士のケンカや尿によるマーキングを減少させる助けになるかもしれません。
フェリウェイ
フェリウェイは、猫のフェイシャルホルモン類似物質です。猫があなたの足や家具に頬をこすり付けた時に付着する物質を人工的に作ったものです。この物質は、猫がテリトリーにあるものにマークするために使用される信号で、この匂いは猫に安全な場所であることを教えます。フェリウェイは、猫にとってより安全でより親しく感じる新しい場所や状況を作る際に使用します。
フェリウェイは、壁のコンセントに挿してディフューザー(空気清浄器のように)としても使用できます。より不安を感じている、持続的な落ち着きが必要な猫にとっては良い選択かもしれません。
猫の特性
猫を理解するためには、自然環境における猫たちの行動を理解する必要があります。たとえあなたの猫が室内で暮らしていても、その行動は野生における彼らの行動が基礎となっています。野生において、猫は食事のために狩りをし、より強いものに食べられないために(木に登って)身を隠し、縄張りを守っています。室内飼育でのこのような行動は、私たちを敵とみている(噛んだり引掻いたり)もしくは意地悪している(高いところに登ったり、マーキングしたり)ように見えるかもしれません。そのことによって猫が嫌いになってしまうこともあるでしょう。私たちの生活の中で猫と楽しく過ごす鍵は以下の2点です。
猫の自然な行動を受け入れられるように準備すること。
猫が脅威にさらされることを減らすこと。
これから猫の自然な行動を説明します。そして、どのようにしたら、猫が過ごしやすい室内環境に改善できるのかについても説明します。猫は、犬や他の飼育動物とは異なり、群れの動物ではありません。このことは猫の行動についてたくさんのことを教えてくれます。群れを作る動物の多くは大きな獲物を狩るために群れています。一方で、獲物となる牛や馬などは自己防衛のために群れを作っています。対照的に、猫は単独行動で小さな獲物を狩ります。この戦略の違いは、猫の行動の重要な差となっており、注意深く研究がおこなわれています。
猫の睡眠特性
猫は、私たち人間や他の動物が持つような1日毎の睡眠周期を持ちません。むしろ、頻繁に昼も夜も寝起きしています。これは自然界において、猫が1日当たり20以上の小動物を捕獲する必要性があるためです。彼らは狩りと狩りの間に睡眠し、狩りをするために素早く準備する必要があるのです。
猫は私たちの起きている日中に寝ていて、私たちが寝なくてはいけない夜に起きているように見えるかもしれません。私たちは猫が夜行性動物であると決めつけていますが、猫の睡眠周期が私たちと異なるからそう見えるのかもしれません。猫と日中遊ぶことで活動性を増せば、夜行性の活動が減少することでしょう。
隠れる本能
猫は不安や恐怖を感じると隠れようとします。彼らは特に(周囲が見渡せるような)高いところに隠れるのが好きです。これは室内飼育の猫に隠れ場所を提供することがとても重要な理由です。これらの場所は、人間、大きな騒音、他の動物から安全だと感じることが出来る場所でなければなりません。もし、冷蔵庫の上などに隠れることが猫にとって安全でなければ、猫が隠れることが出来るキャットタワーや洋服棚の様に登ることが出来る他の高い場所を与える必要があります。
社会的特性
猫たちは他の動物のように社会的ではありません。そして、私たちとはコミュニケーションの取り方が違います。猫が他の猫とコミュニケーションをとることや食物の場所そして捕食者を発見することに対して、視覚ではなく主に嗅覚に頼っています。
猫は物や他の動物に匂いをつけること(マーキング)によってコミュニケーションをとっています。マーキング物質は、猫の額、頬、尻尾の付け根、そして足に存在する特殊な分泌腺から出ている「フェロモン」と呼ばれる芳香物質です。「フェロモン」は引掻いたり、物に身体をこすりつけたりした時に放たれています。また、他の猫の鳴き声にそれほど興味を持ちません。同様に、猫は私たちが発する話し言葉に対して、特に関心を持ちません。(突然発せられる大きな音には敏感です。)
尿を使ったマーキングの誘惑を減少させるために、家にある柱や他の適切なもの(爪とぎ用品)を引っ掻いて傷つけることを認めてあげましょう。また、猫が尿臭を隠すことができるように、いつでも新しく清潔な猫砂を十分量トイレに入れておくことも重要です。野生の猫はいつでも新しい清潔な場所で排泄しています。もし、トイレ以外で尿をして欲しくないなら、私たちはトイレをいつでもきれいな状態にしておく必要があります。
摂食特性
猫は肉食獣で主として小さなげっ歯類、小鳥、昆虫を食べています。狩りをすることは野生猫の生活の大部分であるため、室内飼育の猫も狩猟に類似する活動をしたいと思っています。
猫のためにおもちゃを買うときは、ネズミ、鳥、昆虫に似たおもちゃが好きだということを覚えておきましょう。あなたの猫が最も好むものを本当に生きているかのように動かして遊びましょう。
テリトリー
猫は匂いによるマーキングで自らの狩猟範囲を確立します。オスは他のオスから身を守れるテリトリーが欲しいでしょう。一方、メスは他のメス猫とテリトリーを共有したり、重複したりしています。
その範囲は約6平方キロメートルを超えることがあります。野生の猫の場合、それぞれの猫が小動物を狩って十分に食べることができるなら、単独で暮らす傾向があるからです。イギリスのケンブリッジ大学で1988年に行われた調査では、屋外で暮らしているメス猫の平均生活圏サイズは1.68平方キロメートル、オス猫は6.12平方キロメートルに及ぶという結果が出ています。しかし、猫の生活圏の広さは食料の豊かさによって大きく変動します。もし、食物資源が豊富にあるならば、猫は主としてメスからなる2-25頭の小さなグループで生活しています。そして十分なエサがある場所におけるメス猫の生活圏は100メートル×80メートル程度まで小さくなり、エサがあまりない場所においては40平方キロメートルまで広がることが、別の観察で確認されています。
オス猫は、つがいのメスのために他のオスと争うので、一般的に食物資源を考慮せず単独で生活します。猫はテリトリーを守る時、恐怖が迫っている時、他の猫と遊んでいる時(特に子猫と)、そして大人同士でお互いの毛の手入れをしている時に攻撃的になることがあります。
グループの中の母猫や他のメス猫は子猫を育てます。子猫は授乳期間中に母猫が獲った獲物で遊びながら経験を積み、8-16週令に単独で狩りをし始めます。彼らは6-12か月令になるまで、一般的に母親とともに休息や毛の手入れをします。成オスは母親のテリトリーをパトロールし、若いオスを追い払います。若いメスは食物資源が少ないときには群れを去るかもしれません。成猫は彼ら自身のテリトリーを確立し、テリトリーの一部が他の猫のテリトリーと重複することで、支配的もしくは従属的になることがあります。
時折、猫は短時間とても熱心に遊び、あなたを引っ掻き、咬むことがあります。猫が適切な方法で遊べないときは、その場所から去ることで、猫に不適切な遊びを止めるように教えることができます。
体温調節とグルーミング
外猫は気温の幅広さを体験しています。猫は汗をうまくかくことができないので、彼らは暖かい時には日陰を、寒い時には暖かいところを探すことを学びます。一方、室内猫は体温を調節するために日陰、扇風機、ベッド、そして毛布を使います。
ほとんどの猫は自分のグルーミングを、お風呂を必要とせずに、清潔を保つために上手に行います。長毛(被毛がフエルト状になる)、肥満、もしくは病気の猫には、特別にブラッシングや毛をすくことが必要になります。野生の猫がブラッシングしていないからといっても、あなたの猫が自身のグルーミングに苦労しているなら、健康で清潔を保つためにも手伝ってあげましょう。
猫を捕食するもの
犬は野生における一般的な猫の捕食者です。しかし、このことは猫と犬が友好的に暮らすことが出来ないといっているのではありません。
猫は、他の猫、人間(適切な社会化がなされていない場合)、雷のような大きな騒音、自動車、掃除機を怖がるかもしれません。恐れを感じた猫は一般的に、瞳孔が散大したり、耳をたたんだり、体を低くしたりしゃがんだり、呼吸がはやくなったりします。さらに恐怖を感じたなら、シャーと声を立てたり、唸ったり、背中を丸めて毛を逆立て、攻撃してくるかもしれません。
ストレス
ストレスが生じた時、猫がより快適になるためにはどうしたら良いのでしょうか?
生活ストレスとは?
生活ストレスとは、猫の幸福に影響を与えるかもしれない、環境におけるイベントや変化のことです。研究では、自分の周囲に異常なほど敏感である猫がいることが分かっています。これらの猫は不快、イラつき、恐怖が生じることによって生活ストレスに反応するかもしれません。特に感受性の強い猫は、病気や攻撃的な問題行動が生じるかもしれません。
私達は、室内での単純な家具の移動や仲間同士で夕食を取ることに、猫がどの位敏感なのかを気付いてない可能性があります。猫は習慣性の生き物であり、彼らの周囲の安定と安全を私たちに依存しています。
私達が猫の周囲環境を変化させることを計画した時には、いくつかの単純なガイドラインに沿って、猫のストレスや不安を緩和するよう心がけることが必要です。
環境を豊かにする
以下の要素は室内飼育の猫にとってストレスの多いものかもしれません。
照明
騒音
匂い
温度
照明
「照明」は室内飼育の猫に日々の活動を習慣化するための環境的合図です。「照明」は自然光を提供することができない場合、1日の中で明るくしたり暗くしたりする周期をタイマーによって制御する必要があります。タイマーをつけられない場合、毎日同じ時間に、手動で「照明」をオンオフする必要があります。部屋を出入りするたびに「照明」をオンオフしないようにしましょう。猫の室内照明の「明るさ」についての推奨は分かっていません(げっ歯類の飼育に関する一般的な「明るさ」の推奨は、床から1メートルの高さで400ルクス以下です。)。
騒音
騒音レベルは最小限に維持しましょう(60デシベル以下、静かに会話するくらいのレベル、スマートフォンで計測できる無料アプリもあります。)。猫がいるときは静かな声で話をし、可能な限り猫の部屋以外で会話をしましょう。よく鳴く犬は、可能な限り猫から離しましょう。ケージや部屋の扉は静かに閉め、特に猫を不安にする突然の予期しない騒音を避けましょう。新聞を広げたり、ゴミ袋を開いたりするなどの他の環境騒音もできるだけ排除しましょう。出来ない時はテレビやラジオをつけておき、突然の騒音を遮断しましょう。
匂い
犬や他の猫、アルコール、タバコの煙、洗剤(洗濯洗剤も含む)などの匂いは最小限にしましょう。これらはすべて猫にとって有害でストレスの多いものです。特にケージ内に閉じ込められている猫にとっては逃げようがありません。
温度
猫は暖かさ(29-38℃)を好みます。しかし、室内飼育の猫のほとんどは、この暖かさを得ることができません。そのため、猫がより暖かさを得ることができるように寝具を提供し、猫がいつでも使用できるようにしましょう。タオルを使う場合は、猫が敷いたりくるまったりできる十分な大きさが必要です。紙の切れ端をたくさん箱に入れたものも使用できます。電気毛布や湯たんぽなどを使用する場合、猫がいつでもそこから他の快適な場所に移動できるようにしましょう。(Environmental Enrichment for Confined Cats. より翻訳引用)
室内に猫を招き入れる時
猫を室内に閉じ込めることは、猫にとって多くの利益があります。しかし、その変化に猫がついてこられない場合もあります。猫を室内に招き入れる方法のいくつかを紹介します。
外猫として飼っていた猫を室内飼育にする時
猫を室内飼育にするか、それとも外と室内に自由に出入りさせるかは、非常に個人的なことです。室内飼育の利点には、外傷によって健康を危険にさらすこと、伝染病および寄生虫感染を減少させられることが挙げられます。外猫として飼っていた猫を室内飼育にすると決めたなら、以下のガイドラインが役立つでしょう。
猫の食べ物と飲水用の容器、高い場所(キャットタワー:窓の近くに置き、外猫がする行為と同じようなことができるように配置するのが望ましい)、眠る場所、隠れ場所(褐色の紙袋や段ボール箱)、爪とぎ用品、おもちゃなどのすべてを「隠れ家」に配置します。これらの事は、猫が室内であなたと一緒にいることに慣れるのを助けてくれるでしょう。この「隠れ家」はしばらくの間、猫の家となります。部屋の中で猫が1人でいる時、たまに猫に会いに行き、ラジオをつけっぱなしにしておきましょう。
他のペットが家にいなければ、「隠れ家」のドアを開けっ放しにすることができます(他にペットがいるときは「新しい動物の紹介」の章を参考にして下さい。)。準備が出来たら、猫に冒険させましょう。家の外へは出られないようにします。猫は屋外にいることに慣れているので外に出ようとするかもしれません。室内環境を可能な限り猫にとって魅力あるものにして下さい。猫が外を見ることができるように「高い場所」を窓の近くにおいてください。猫が周囲の環境を見ることができるように、高さは60-90cm必要です。猫の引っ掻く本能を満足させるために爪とぎ用品もいくつか置きましょう。
毎日、遊び時間を作って下さい。猫と一緒に遊ぶ時、レーザーポインターや羽根のついたおもちゃなどを用意してください(好みのおもちゃは、「獲物の好みを知りましょう」を参照して見つけておきましょう。)。出かけるときは、猫が自由に遊べるようにおもちゃをいくつか置いていきましょう。数日毎におもちゃの種類を変え、猫の関心を引き続けます。猫の「隠れ家」の周囲においしいおやつを隠しておき、猫に「狩り」をさせましょう。
最善を尽くしたにもかかわらず、外に逃げようとする強い衝動が猫にはあるかもしれません。ドアを開ける時、猫の脱走を止めさせるために、ドアが魅力的でないものに見える工夫をしてください。猫が玄関に近づくなら、スプレーで水を吹きかけるか、缶の中に小銭を入れたもので音を立てて下さい。また、柑橘系の匂いは猫が嫌がるのでドアもしくはドア付近にスプレーするのもよい方法です。以上の目的は猫に罰を与えることではありません。何か不快なものとドアとを関連付けて覚えさせるために行います。
どうしても猫を屋外で楽しませたいなら、猫にハーネスを付けることを訓練してから散歩に連れて行ったり、ガラス張りのベランダや周囲をネットや柵などに囲まれた庭に連れて行ったりすることができるかもしれません。
迷い猫を室内に招き入れるとき
迷い猫は、捨てられたか、飼育されている外猫が迷っているかのいずれかでしょう。たいていの場合、迷い猫は人間との親交をすでに知っており、再び社交的にすることは比較的容易です。迷い猫はあなたが近づいて撫でることを許してくれ、くつろいでくれます。食べ物に寄ってもくるでしょう。野生化した猫は人間との接触を今まで持ってきていない猫です。野生化した大人の猫は人間を避けるでしょう。また、社交的にすることができません。それは野外で暮らしている事の大きな証拠です。野生化した猫を素人がとらえようとすれば大けがをするかもしれません。野生化した猫を助けるには保健所に連絡し、相談してください。
迷い猫を飼うための第一歩は獣医師に見せることから始まります。あなたの家族や他のペットに会わせる前に動物病院に連れて行きましょう。猫の健康診断をし、猫白血病や猫エイズの検査をし、ワクチンを打ち、そして駆虫をしてください。猫が避妊去勢されていないなら、実施するようにしましょう。徹底的な検査は、あなたの家族やペットを感染から守るために重要です。
新しく猫を招き入れるには、このセクションの「外猫として飼っていた猫を室内飼育にする時」のガイドラインに従ってください。そして、我慢強く、猫の幸せを維持できるように、猫が再び人間の仲間になれるように、猫が室内生活に適応できるように助けてあげましょう。
出会いと別れ
猫は一生の間に多くの人々と出会うでしょう。新しい人に出会ったり、お別れをすることは猫にとって難しいことです。しかし、よりストレスを少なくするように出来ることがあります。
長期休暇
あなたが休暇でどこかへ出かける時、猫は1人で自宅やペットホテルにいるか、搭乗用ケージにいるでしょう。なじみのない人間や動物とともに、なじみのない場所にいるだけではなく、猫のスケジュールも完全に変化します。
猫に留守番をさせて、ペットシッターを雇うことは良い手段です。ペットシッターを雇うなら、休暇の数週間前に猫に紹介しておきましょう。可能ならば、ペットシッターと猫が知り合うために、ペットシッターと「遊ぶ日」を2-3日作りましょう。遊び時間に御馳走を与えることは、ペットシッターと猫が良い関係を築くきっかけとなるでしょう。言い換えると、ペットシッターがきて、遊んでくれて、御馳走をくれるなら、猫はペットシッターと会うのがうれしくなるということです。また、ペットシッターには猫のスケジュールについて詳しく知っておいてもらうべきです。いつもあなたが何時に猫にご飯をあげているか、いつトイレを掃除するか、遊び時間や、撫でたりグルーミングする時間を作れるように、リストにすると良いでしょう。
「隠れ家」を作ることは、猫が1人でいる時に安全で、なじみ深い場所を与えるという意味で役立ちます。あなたの匂いのする毛布や衣服が、猫をリラックスさせ、あなたが近くにいると思わせます。「隠れ家」の近くにテレビやラジオをつけっぱなしにして、猫をリラックスさせましょう。
新しく人間が増えるとき(家族が増えたとき)
猫の正常なスケジュールを維持するように努力してください。猫に「隠れ家」を用意して下さい。猫と遊ぶ時間を増やしたり、なでたり、手入れしたりすることは猫が安心することを助けてくれるでしょう。新しく増えた人とは、猫との遊び時間を共有しましょう。御馳走を含む遊び時間の影響は、新しい人と猫との間の良好な関係を確立するのを助けるでしょう。最も重要なことは、猫が新しい人やその人の所有物を猫のペースで調査することを許してあげることです。猫はそれぞれが異なったペースで適応しますし、その人に慣れるまでに時間がかかるかもしれません。猫が快適な時に、猫の自主性にまかせましょう。
赤ちゃんを紹介するとき
生まれた赤ちゃんを自宅に連れてきたときは、家族全員にとって興奮する楽しい時間です。赤ちゃんが生まれる前に、赤ちゃんの関係する音や匂いを猫に慣れさせることは、猫が変化に適応するための助けとなります。ベビーオイル、ベビーローション、ベビーパウダーをあなた自身の皮膚に少量使い始めることは、猫がこの匂いになれて、あなたの匂いと関連付けることになります。赤ちゃんの泣き声をテープで猫に聞かせることも、猫が音に慣れるのを助けてくれるでしょう。また、赤ちゃんのいる友人を招いて、視覚、聴覚、嗅覚で慣れさせるのも方法です。
育児部屋を準備するときには、猫が育児部屋に慣れるまで多くの時間を費やしましょう。育児部屋を工事する時は、猫に「隠れ家」を用意してください。「隠れ家」でラジオやテレビをつけっぱなしにしましょう。猫が自分のペースで新しい部屋を探索し、必要なときに猫がなじみの場所に戻ることができるように、猫の「隠れ家」を維持します。ベビーベッドの中に空き缶をいくつか入れておくことで、ベビーベッドが不快であることを猫に覚えさせます。空き缶の上は寝るには不快でしょうし、猫が飛びこむことで音が鳴ります。猫は、あなたではなくベビーベッドと不快な騒音を結びつけます。ベビーベッドネットは、ベビーベッドの上に設置し、猫が入り込めないようにしてくれます。猫がハンモックとして使用しないように、きつく結んで下さい。
赤ちゃんが到着したら、猫のスケジュールも可能な限り維持するようにして下さい。猫の不安をなくすために、家族全員が遊んだり、撫でたり、毛の手入れをする時間を増やして下さい。猫は赤ちゃんに好奇心を持つでしょう。注意深く監視できる時に、赤ちゃんを見せたり嗅がせたりしましょう。赤ちゃんを抱いたり授乳したりしている時に、猫もあなたの近くにいたいと思っているかもしれません。猫を隣に座らせるか、赤ちゃんの事で忙しいならば他の人に猫と遊ばせたり、御馳走を与えたりさせましょう。必ず、1日の中に猫と遊ぶ時間も作ってあげて下さい。
猫を最も管理している人の一時的不在
可能ならば猫を自宅で留守番させて下さい。他の家族に猫との対話時間をより多くするようにさせて下さい。「隠れ家」を作ることは、猫が1人でいる時に安全で、なじみ深い場所を与えるという意味で役立ちます。管理している人の匂いのする毛布や衣服が、猫をリラックスさせ、その人が近くにいると思わせます。「隠れ家」の近くにテレビやラジオをつけっぱなしにして、猫がリラックスできるようにしましょう。
人間や動物の死
猫も人間と同様にこの喪失に適応するには時間がかかります。猫も人間と同様に深い悲しみと直面しています。猫は食欲不振になったり、不安がったり落ち込んだり、不適切な行動をしたり、より頻繁に鳴いたりするかもしれません。このときの行動の変化で、猫を罰することはしないで下さい。この移行期間中、猫のスケジュールを可能な限り正常な状態に維持するように努力してください。「隠れ家」を用意して、猫の不安をなくすために、家族全員が遊んだり、撫でたり、毛の手入れをする時間を増やして下さい。
故人が猫を最も管理している人であったなら、その人の衣服を「隠れ家」に置きましょう。理想的には、新しく管理する人は、猫になじみの深い人であるべきです。それが不可能な時や猫を移動させる必要がある時には、「引っ越す時」のガイドラインに従って下さい。
来客時
知らない人々が自宅を訪問するのは猫にとって煩わしく、恐ろしいことかもしれません。猫に「隠れ家」を用意して、家事で忙しいときはそこに隠れていてもらいましょう。猫が近づきたいなら、お客に近づけさせてもよいでしょう。ただし、強制的に猫とコミュニケーションするのは避けて下さい。お客には「隠れ家」のプライバシーを尊重することを説明してください。
自宅内外での出来事
猫は自分自身の環境の変化を理解しているわけではありません。雷雨、季節の変化、人間の行動様式の変化など、これらの「猫人生の変化」全てが猫にとってストレスになっています。ここでは自宅内外での出来事と、ストレスを減少させるための方法について説明します。
スケジュールの変更
あなたのスケジュールが変わるとき、猫のスケジュールも変わります。猫にとってスケジュールの中断は、猫をとても混乱させます。猫のスケジュールができるだけ正常を保つようにして下さい。変化が避けられないときには、猫の不安をなくすために、遊んだり、撫でたり、毛の手入れをする時間を増やして下さい。
1日に2回以上10分間の遊びの時間を作ることは好ましいことです。猫が長時間1人きりになるなら、あなたがいない間に猫になじみ深い親類や知人に訪問してもらうことも大切です。
季節の変化
猫は窓に見える外の景色の変化により季節の変化を感じることができます。鳥が来たり、昆虫が来たり、小型の哺乳類が来たり、木の葉が落ちたり。窓からの景色は猫のためのテレビといえます。猫が「チャンネルを変える」ことができるように、窓のそばに座れる高い場所を1つ以上設置してください。冬は見るものが少ないので、室内で猫を楽しませることができるようにしましょう。小鳥や小型げっ歯類が戯れているビデオを買ってきて見せたり、魚のいる水槽を用意したりしましょう。
家の外の工事
家の外や近所で起こる雑音や騒動は、猫にとって恐怖の対象となることがあります。道の補修、その他の工事、裏庭の手入れさえも猫にとっては恐怖となりうる雑音を発生させます。「隠れ家」を用意して、常にラジオかテレビをつけておき、騒音をごまかすようにして下さい。
「高い場所」は騒音に近い窓の近くに置いてあることが多いかもしれません。マタタビを「高い場所」にこすりつけるか、近くにごちそうを用意することで、「高い場所」を魅力的なものにするようにして下さい。
雷雨
猫は雷や嵐によって起こる騒音をとても怖がります。外が雷雨のときには、猫が「隠れ家」に出入りできるようにして下さい。テレビやラジオを付けて雷雨や嵐の騒音を覆い隠して下さい。猫が騒音から逃げられるように、他にも隠れられる場所を与えましょう。たとえば、押し入れの扉を半開きにしておき、出入りできるようにして下さい。嵐の間、あなたが家にいるならば猫と一緒に座ってあげましょう。遊ぶことも猫の気を紛らわすのに役立つかもしれません。御馳走やおやつで、嵐をより愉快なものと結びつけるようにしましょう。
非常に興奮したり暴れたりする猫は、キャリーや浴室などの小さいスペースに閉じ込める必要があるかもしれません。こういう猫の場合は、獣医師に薬物療法について尋ねて下さい。
休日(お正月やクリスマスなど)
休日の間、猫にとって「隠れ家」が最高の親友となります。休日には、自宅や家具をデコレーションしたり、クリスマスツリーがあったり、飼い主のスケジュールが変化したり、来客があったりと、猫の環境には多くの変化が起こります。猫の1日の行動様式が変化するこれらの出来事全てが、猫にとってストレスの原因かもしれません。「隠れ家」は猫にとって安全と感じるのに役立ち、家族が多忙である時に隠れるための場所を提供します。客が「隠れ家」のプライバシーを侵害しないように注意することを忘れないで下さい。
新しい環境
室内飼育の猫にとって、あなたの家が全世界になります。世界が突然変化することは、猫を動揺させることになるでしょう。ここでは環境変化のいくつかの事例と猫のストレスを減らすためにできることを説明します。
乗り物
あなたの猫が乗り物に乗る時、猫になじみのない人々や動物、なじみのない環境にいることになります。そして、自分の正常なスケジュールに沿って行動できなくなっています。猫が乗り物に乗らなくてはならないときには、飼い主のあなたが、猫が快適に過ごせるような施設を見つけて下さい。猫がどのような場所に収容されるかをあらかじめ見学することは良いことです。多くの施設で「猫専用」の静かな場所に収容されるように要求することができるでしょう。
猫自身の食物、毛布、おもちゃ、そしてあなたの衣服を2つ3つ、常に一緒に持ち込みましょう。あなたの衣服の匂いは、あなたが近くにいると錯覚させるので、猫の慰めとなるでしょう。
ケージからそれらを出さないようにスタッフに頼んでください。最初のものが汚れてしまうといけないので、予備の衣服をポリ袋に入れて用意しましょう。ケージの中に猫のキャリーもしくは隠れることのできる箱などをスタッフに頼んで入れてもらって下さい。
猫が自宅に帰ってくるときには、「隠れ家」を利用できるようにしておいてください。猫は匂いで互いを見分けます。他の猫は帰ってきた猫が乗り物のケージの匂いがするので部外者扱いするかもしれません。いらないケンカを避けるため、他の猫に帰ってきた猫をゆっくりと再紹介する必要があります(「新しい猫の紹介」参照)。
家具の移動
家具を動かすと猫の慣れ親しんだ環境レイアウトは変化します。家具を動かす数日前に「隠れ家」を用意してください。テレビやラジオを隠れ家付近でつけっぱなしにしましょう。家具の移動をなった場所では、終了時にフェリウェイを用いて、猫が落ち着くように導いて下さい。
必要があれば、猫がマイペースに新しい部屋を探検して、なじみの場所に戻れるよう「隠れ家」をそのままにしておきましょう。
引っ越すとき
荷造りを始める前に、猫に「隠れ家」を提供してください。「隠れ家」の中もしくは近くにラジオやテレビをつけっぱなしにして、外部の音による混乱を覆い隠して下さい。新しい家に到着したら、まず猫の新しい「隠れ家」を作ってあげて下さい。猫が「隠れ家」を訪問したら、おもちゃで遊んだり、愛撫したり、ブラッシングをしたりして「上質な時間」を過ごさせましょう。
あなたがすべての物を家に運びいれるまで、そして他の人が落ち着くまで、「隠れ家」に猫をそのままにしておきましょう。一度家の整理がついたら、彼女自身に新しい環境を探検させて下さい。可能な限り「隠れ家」に行き来できるままの状態にしておきましょう。もし猫がためらいを感じているなら、引っ越しして2-3週間はあなたが家を離れている間中、「隠れ家」に隠れ続けるでしょう。それぞれの猫は異なったペースで新しい環境に適応します。そして、新しい家に慣れるには時間がかかるかもしれません。
自宅の改築
部屋を改築するとき、猫は多くの新しい光景を目の当たりにし、新しい音を聞き、新しい匂いを嗅ぎます。猫にとってうるさい電動工具、塗料、化学物質、建築資材などは恐怖の対象となることがあります。改築を始める数日前に、「隠れ家」を用意してください。「隠れ家」内もしくは近くにラジオやテレビなどを聞かせ、工事の騒音をごまかします。
工事が終了したら、猫が落ち着くように改築した部屋にフェリウェイを使ってもよいでしょう。必要があれば、猫がマイペースに新しい部屋を探検して、なじみの場所に戻れるよう「隠れ家」をそのままにしておきましょう。
新しいペット
新しいペットを連れてくるときは、争いを避けるために慎重に事を運びましょう。ここにそれを成功に導くガイドラインがあります。
新しい動物の紹介
新しく飼う動物は、元からいる猫に適切な紹介をしなければなりません。それは、動物同士の敵対を避けるために紹介をゆっくりと注意深くすべきであることを意味します。「うまく解決する」するために、決して動物を寄せ集めたり、1人ぼっちにさせたりすべきではありません。紹介を成功に導くためのガイドラインが確立しています。
新しい猫の紹介
新しい猫には必需品(食べ物、水、トイレ、爪とぎポスト、座れる高い場所、おもちゃを含む)を新しい部屋を用意しましょう。これは、新しい猫に部屋を出ることを許さない以外は同じにします。新米の猫は少なくとも1週間は部屋に閉じ込めておきましょう。猫は互いの匂いをかぐことでなじみ深くなるので時間が必要です。新しい猫はあなたの匂いの中にすでにいる猫の匂いをかぎ取るでしょう。2-3日間使っていたタオルを交換することによってお互いの匂いを確認させます。
お互いの匂いになじみ深くなったなら、閉じたドアの反対側に御馳走を置いて、互いに食べさせて下さい。そうすることによって、御馳走と互いの匂いが良い関連付けがされるでしょう。猫たちが快適にドアの所で食事をとるようになったら、視覚的接触での紹介を始めることが出来ます。
段階的な視覚的接触をわずかに開けたドアの隙間から許しましょう。互いに行き来できないくらいにドアをロックして安全を確保します。猫はたがいに牽制し合うのが一般的ですが、攻撃的であったり敵対的であったりするならドアを閉めて下さい。そして、数時間彼らを放っておきましょう。猫がリラックスしたら再びドアをあけましょう。
彼らがお互いに冷静に見ることができたらドアを大きくあけて下さい。猫がシャーっと脅したり興奮したりしないで互いを見ることができたなら、ドアを開けて下さい。あなたが遠くで見ている事が出来る時に互いが合うのを許可してください。問題が起こるなら、新しい猫を彼女の部屋に戻して下さい。そしてドアを閉めましょう。猫がたがいに快適になるまで、徐々にドアを開けている時間を増やして下さい。新しい猫が利用できる部屋をそのままにしておき、恐怖を感じた時に避難するため安全な場所を持つことになります。
新しい犬の紹介
新しく犬を飼うならば、猫には隠れ家を用意してください。犬には猫に近づかせる手段を与えてはいけません。ベビーゲートを利用して犬を1-2つの部屋に制限してください。猫にはこの新米をマイペースで探査させて下さい。猫が快適と感じるまで、犬を閉じ込めておき、猫が犬部屋の周囲を動いて、調査させるために近づかせて下さい。
次に、「制御下ミーティング」の準備をしてください。犬にリードをして、猫がいる部屋まで歩かせて下さい。ゆるくリードをした状態で部屋の周囲を歩かせて下さい(きつくリードをかけると犬が心配になります。)。猫に向かって不適切な行動をさせないようにして下さい(吠えたり、突進したり、追いかけたり)。犬に対しての「いけない」や「座れ」などの軽い修正は必要です。この修正が厳しいならば、犬が混乱するでしょう。なでたり御馳走を上げたりして、犬が穏やかでいることを褒めてください。猫には犬の存在や犬との関係を維持するために部屋に居続けたならば、ご褒美を与えて下さい。
猫はシャーといったり、たたいたり、犬に向かってうなったりするかもしれません。このようなことで猫を怒らないで下さい。猫が罰と犬を関連付けてしまうからです。双方が穏やかなままで、互いにリラックスするまで、この「制御下ミーティング」を続けましょう。動物がお互いに慣れたことが確信できるまで、犬には自由に行動をさせないでおきましょう。
ほとんどの犬と猫は平和に共存できます。しかし、犬が猫の天敵であることを覚えておくことは重要です。この理由のため、犬が猫を追いかけることや口でくわえさせることを許してはいけません。犬には好意的な意思があったとしても、猫はそう思っていません!
動物病院
人間と同様に猫も医者を必要とする時があります。この経験が精神的ストレスになるようではいけません。猫を連れていく場合、快適に出来るいくつかのヒントがあります。
獣医に連れていく時
誰かが突然、あなたを迎えにきて、箱にあなたを入れ、奇妙な車であなたを拘束し、誰か知らない白衣を着た人があなたのデリケートな部分に棒や針を刺したら、あなたはどう感じるでしょう?このことは猫にとっても同じことです。獣医に連れていくことをそれほど恐ろしくない経験にするためにはいくつか方法があります。
獣医に連れていく前にキャリーに猫を慣れさせて下さい。キャリーを開いたままにして猫が自由に探検できるようにして下さい。キャリーの中をのぞきこませるために、マタタビや御馳走を置いておくとよいでしょう。猫のためのベッドや「隠れ家」としてキャリーを使い続けることもよい方法です(「フリー・アクセス・クレート・トレーニング」参照)。
乗物にキャリーで行くことに慣れさせて下さい。御馳走の入ったキャリーに猫を入れ、車で自宅周囲を数周回って運転してください。乗り物の終着点がいつも診察室ではないことを理解させれば、猫は恐怖心を抱かなくなるでしょう。また、車にも慣れてくれるでしょう。乗車中はステレオのボリュームを下げ、窓を閉鎖し、エアコンをつけましょう。ステレオの音が大きかったり、ロードノイズがひどいときには、猫はおびえるでしょう。決して熱い車の中に置き去りにしたり、長時間無人状態で置き去りに決してしないで下さい。
診察への旅行を楽しいものにするよう試みてください。特別な御馳走やおもちゃを診察室に入れることをお願いしましょう。また、診察が混んでいないときに行くこともよいでしょう。吠える犬や泣き叫んでいる子供とで混雑している待合室にいることは、猫により多くのストレスをかけることになるでしょう。あなたの猫が犬をとても恐れるならば、猫専門の獣医に連れていきましょう。
猫を連れて帰ってきたら、「隠れ家」を利用できるようにしておいてください。猫は匂いで互いを見分けます。ほかの猫は帰ってきた猫が診察室の匂いがするので部外者扱いするかもしれません。いらない争いを避けるため、他の猫にゆっくりと帰ってきた猫を再紹介する必要があります(「新しい猫の紹介」参照)。
緊急時には猫のために必要なことができないかもしれません。そのようなときは、猫をタオルや洗濯ネットに包み、さらにキャリーに入れて下さい。
猫が入院するとき
猫が入院するときは、病院の許す限り頻繁に面会をしてあげましょう。猫を連れて帰ってきたら、隠れ家を利用できるようにしておいてください。猫は匂いで互いを見分けます。ほかの猫は帰ってきた猫が病院の匂いがするので部外者扱いするかもしれません。いらない争いを避けるため、他の猫にゆっくりと帰ってきた猫を再紹介する必要があります(「新しい猫の紹介」参照)。
猫が病気、もしくは治療中の時
猫が元気でないなら獣医に相談するべきです。軽い病気なら自宅での治療を進めるかもしれません。あるいは、入院後自宅療養で帰宅するかもしれません。猫は家で静養する必要があるでしょう。隠れ家を準備してください。そして、その部屋に他のペットが入らないようにして下さい。また、人間が隠れ家のプライバシーを侵害しないように心掛けて下さい。
猫が病気であるときにはひとりだけの人間が猫の看護に当たります。その人は猫と穏やかな時間を過ごせる人であるべきです。猫が受け入れないときには猫を触るのを控えて下さい。獣医の指示に従って薬の投与を行って下さい。猫に治療をする時には優しくしましょう。そして、御馳走やなでることでほめて下さい。猫が薬をうまく飲めないときには獣医に相談してください。
猫と一緒に旅行する時
あなたと猫と一緒に出かけることは、獣医に行く短い旅行でも、家族休暇でも必要でしょう。旅行は猫にとって恐怖となることがあるので、以下の項目によってストレスの軽減を図りましょう。
旅行の前に
猫と旅行することが悲惨な経験になってしまうことは好ましくありません。少々の発想と準備で、旅行にかかわる全員が順調に進むことができるでしょう。長期の旅行では、猫が快適であるようにするために、落ち着かせたり鎮静するための薬物療法を獣医に頼んでください。他の国に旅行するならば、健康診断書その他の書類が必要かどうかを現地に問い合わせてください。
猫のキャリーで旅行をするのは最善策です。出発日前にキャリーに猫を慣れさせておいてください。キャリーを開いたままにして猫が自由に探検できるようにして下さい。キャリーの中をのぞきこませるために、「またたび」や御馳走を置いておくとよいでしょう。猫のためのベッドや隠れ家としてキャリー使い続けることもよい方法です(「フリー・アクセス・クレート・トレーニング」参照)。
車での旅行
乗物にキャリーで行くことに慣れさせて下さい。御馳走の入ったキャリーに猫を入れ、車で1週間に数回、自宅周囲を数周運転してください。これは猫が乗車することに慣れるのを助けてくれます。乗車中はステレオのボリュームを下げ、窓を閉鎖し、エアコンをつけましょう。ステレオが大きかったりロードノイズがひどかったりするときには、猫はおびえるでしょう。決して熱い車の中に置き去りにしたり、長時間無人状態で置き去りにしたり決してしないで下さい。
長距離のドライブになる場合は猫のために食物、水、およびトイレを持っていく必要があるでしょう。きれいなトイレなら車の床の上や、SUVやミニバンの後部のラゲッジにおくことができるでしょう。また、使い捨ての段ボール製トイレも利用可能で、旅行には都合がよいでしょう。
飛行機での旅行
航空会社の一部には機内持ち込みの荷物としてキャリーで猫を機内に連れていくことができます。航空会社のオプションでそれができないなら、安全で人間味のある取扱いをしてくれる会社を選んで下さい。航空会社に問い合わせて、猫の持ち込みに関する情報を得て下さい。
問題の解決方法
ここには猫に発生する可能性のある潜在的問題点と、より生活を楽にする解決方法を提案します。
尿の掃除の仕方
カーペット:ペーパータオルで可能な限り素早く猫が使った場所から可能な限り尿を吸い取りましょう。その場所をタオルもしくはペーパータオルを重ねたもので覆って下さい。そしてその上に立ちましょう。この行為を何回か繰り返して下さい。可能な限り吸収したら、カーペットクリーナーもしくは水に数滴の皿洗い用洗剤を落としたものをカーペットにしみ込まして下さい。このようにしみ込ましたあとは、そこの場所に1-2時間座ってください。こすってはいけません。優しく吸い取ることによってすすいでください。スポンジを水で濡らして叩くようにして、その場所を何回もすすぎましょう。次に炭酸水で10分間その場所をすすいで下さい。炭酸水を吸い取り、新しいペーパータオルや新しいタオルでその場所を覆って下さい。そのタオルの上に何か重い物(本や家具など)を乗せて、そのまま一晩おいておきましょう。朝になったらその場所に酵素含有クリーナーをスプレーしてください。酵素含有スプレーにはいろいろあり、スーパーにたくさんあります。 アンモニアやアンモニア含有製剤はカーペットには決して使わないで下さい。この匂いは猫をこの場所にひきつけ、この場所での排尿を助長します。
この場所から猫を遠ざけておきます。
もし、匂いがきつく、猫がこの場所で引き続き排尿するようなら、カーペットの下に敷物を敷いて、カーペットの下を同様に洗浄しましょう。
タイル:ペーパータオルで尿だまりを拭くか、洗剤をしみ込ませたモップで吸い取りましょう。徹底的にきれいにして、お湯ですすぎましょう。お酢で湿らせたスポンジでこの場所をふき取りましょう。最後に、この場所を乾燥させます。
硬材やセメント:できるだけ多くの液体を吸い取りましょう、その後は酵素含有洗剤を使用します。
もし匂いがきつい、もしくはコンクリートならば、砂で磨くか、漂白するか、硬材の床を補修しましょう。
洗濯:洗濯機を使用する時は、洗剤を使用せずにお酢を使いましょう。洗濯の最初の行程が終了したら、洗剤を追加していつもと同様に洗濯しましょう。
スプレーとマーキング
尿でのマーキングは、自分のものに名前を書くことと同じです。
猫は習慣性の生き物です。猫は自分のスペースを持つこと、自分のおもちゃを持つこと、自分の飲食物を持つことを好みます。猫は他の猫と物を共有することや同居することもできますが、猫が幸せになるためには「何か」が必要です。もし、猫の「持ち物」が他の誰かに持ち去られるなら、猫は脅迫されていると感じるでしょう。だから猫は時々脅迫し返すことでそれに答えています。猫は全ての人に「これは私のものだ」と知ってもらいたいのです。
猫が「私のものだ」と主張する自然な方法は、尿でマーキングをすることです。この方法は、猫が自分のものに名前を書くのと同じことです。時々、猫は何かに匂いを付けて、安全を感じるためのエリアを確保します。特に不適切なにおいを感じた場合、神経質になったり、恐怖を感じたりもします。
猫は意地悪ではありませんが、何かをひっくり返したりします。猫が不安を感じないようにすることが肝心です。また、猫に医療的な問題が無いことを確かめることも重要です。主治医に猫の生活に何が起こっているのかを考え、伝えてください。初めに行うことは、猫にたくさんの注意を向けることです。猫はあなたが気にかけてくれていることを知りたいのです。
猫を怒鳴らないでください。猫におせっかいをしないで下さい。猫をトイレに放り込まないでください。以上のことは、猫をより神経質にさせ、より不安にさせ、よりトイレに恐怖を抱かせるでしょう。
あなたが家の中に別の猫や犬、赤ん坊、家具などの新しい何かを持ち込んだりすると、猫はスプレーやマーキングをするかもしれません。もし、それが別のペットならゆっくりと紹介して下さい。動物同士をお互いに慣れさせて下さい。忘れてはいけないのは、あなたが猫をこれからもずっと愛しているということを教えることです。猫がこの変化を受け入れるためには、より多くの気配りが必要です。もし、あなたが家に新しいメンバーを連れてくるなら、彼らに引き合わせて匂いや音に慣れさせて下さい。まだ、気配りは必要です。猫はあなたの家と心の中に猫の場所があることを保証して欲しいです。外に猫がいるならば、おそらく庭にも入ってマーキングしているでしょう。猫はそれに対してクレームをつけるでしょうし、窓やガラス扉からその庭が外猫のものではないことを知らせるでしょう。猫が安全だと感じられるように、外猫を締め出して下さい。その外猫が飼い猫ならば、その飼い主に家の近くに居続けるようにしてもらって下さい。もし地域猫なら、保健所(飼い主を探してくれます)に相談してください。もしあなたが外猫を締め出すことができないなら、外猫が見えないように視野をブロックしてください。新聞紙や、フォイル、反射テープなどで窓を隠せば、猫は外猫を見ることが出来なくなります。猫はスプレーを今までよりしなくなるでしょう。
猫を悩ませているものを見つけた後には、猫がマーキングしたところを、その特別な香りを奪う事ができる特別な酵素クリーナーできれいにすることが重要です。もし猫がマーキングした場所に匂いが残っているなら、猫は引き続きそこでマーキングするでしょう。しばらくの間、そこに近づけないようにして下さい。フェロモンスプレーのフェリウェイはとても落ち着かせてくれて、スプレーやマーキングを減らしてくれるかもしれません。猫がマーキングしたエリアの周囲にフェリウェイをスプレーすれば、そこは猫にとって心地よい場所になるのでマーキングしなくなるでしょう。猫は猫自身の問題解決にあなたの助けが必要です。猫は安全に感じるためにあなたの助けが必要です。猫は何も失いたくありません。特にあなたは。
分離不安
長い時間1人で留守番させられるとき、1頭のみで飼育されている室内猫は不安になることがあります。このような猫は周囲に対して異常なくらいに敏感で、飼い主をとても慕っています。
分離不安の徴候
過度に発声する(泣いたり、呻いたり、ニャーニャーいったり)。
飼い主がいない時にフードや水を摂取しない。
不適切な場所での排泄(排尿)。
嘔吐、しばしば食物や毛が吐物に含まれる。
過剰なグルーミング。
環境の破壊。
飼い主が返ってきた時の元気な挨拶。
分離不安の徴候を示した時、あなたにできることは・・・。
外が見えるように座れる高い場所を配置する。
たくさんのおもちゃを与える。
遊んでいる間にフードが出てくるおもちゃの中にフードを隠して、それで狩りをさせる。
猫が見つけることが出来る場所にフードを隠す。
テレビやラジオをいつも見たり聞いたりしているチャンネルに合わせて、つけっぱなしにする。
猫に帰ってきたこと、出ていくことを伝える。
隠れ家を利用する。
毎日、最低でも10分間は猫と遊ぶ。
もし、あなたが環境を改善し、遊び時間を設けた後に猫にこの問題が残っているならば、獣医師にアドバイスを受けて下さい。
猫同士の争い
ほんの少しの訓練で、争いのサインがわかり、あなたの猫にとっての問題を発見できるかもしれません。もしそうなれば、あなたは原因も特定できるでしょう。争いごとが起こったなら、争いを回避する方法を実践しましょう。
猫は安全が脅かされると感じたとき、とても速く反応します。攻撃的になるものもいれば、内向的になるもの、そして病気になってしまう猫までいます。我々の経験では、猫を多頭飼育している家庭で健康問題を引き起こす最も一般的な原因は「争い」です。猫同士の争いは、彼らの地位や家庭内の順位が他の動物もしくは外猫に脅かされるため発展していきます。ほんの少しの訓練で、争いのサインがわかり、あなたの猫にとっての問題を発見できるかもしれません。もしそうなれば、あなたは原因も特定できるでしょう。争いごとが起こったなら、争いを回避する方法を実践しましょう。もちろん、家庭内の飼育動物間の争いは、種を問わず正常であることが多いことも確かです。私達の目標は、猫に関連する健康的でない争いを管理可能なレベルまで減らすことです。
猫同士の争いのサインは「公然と」もしくは「静か」に行われます。「公然と」行われる争いのサインは簡単に見つけられます。猫は忍び寄ったり、シャーッといったり、足をまっすぐにして横向きになり、毛が逆立てて体を大きく見せたりします。どちらの猫も背中を下げないならば、たたいたり、格闘したり、咬み合ったりするように増幅していきます。「静か」な争いはとても微妙で、簡単に見逃してしまいます。
争う猫の特徴は他の猫に対して決して引くことをせず、他の猫が「持ち物」に近づくことを拒否し、凝視し、そしてより弱い猫には腰を高くし、頭と首を下げて近づきます。背中に沿った被毛、尻尾の毛、そして尻尾の付け根の毛が逆立っているかもしれません、また、低いうなり声を発することがあります。しかし、「公然と」行われる争いに関与する猫の主張の範囲は広がらず、争いを作り出す猫はやがて接近するだけ、もしくは凝視するだけで食物やトイレから他の猫をいなくさせるようになります。もし、弱い猫が後でその「持ち物」を使おうとすれば、より強気な猫の存在だけで、弱い猫を逃亡させるのに十分であるかもしれません。弱い猫はしばしば家族から離れて過ごす時間が増え、他の猫が使っていない家の範囲内で、もしくは、強い猫が他の場所に行っている時だけ飼い主といる時間を過ごします。
争いのサインは攻撃的、防御的そして転嫁的の3つのタイプに集約されます。攻撃的争いでは、より強い猫が他の猫の近くで動き、関わり合いを制御します。防御的争いでは、それぞれの猫同士や脅威と感じるものから距離を置きます。転嫁的争いの場合、弱い猫は強気な猫には防御的ですが、より脅威の少ない猫には攻撃的になることがあります。この行動は人に対しても行われることがあります。どのタイプの猫もスプレーをします。また、トイレの外で排泄もします。膀胱炎を最も発生しやすいのは弱い猫のようです。
争いのサイン
強い猫
他の猫から決して逃げない。
他の猫を凝視する。
他の猫が「持ち物」に触れることを拒む。
頬、頭、顎や尻尾を、人、扉や家具に猫の高さでこすりつける。
背中に沿った被毛、尻尾の毛、尻尾の付け根の毛が逆立っているかもしれない。
唸る。
スプレーするかもしれない。
弱い猫
家族から離れていたり隠れていたりするのに費やす時間が多い。
他の猫とのアイコンタクトを避ける。
他の猫に「持ち物」を明け渡す。
頭そして首を下げ下半身を高くして他の猫に忍び寄る。 しゃがんで、その後逃げる。
声を出さない。
スプレーするかもしれない。
膀胱炎や他の病的問題が起こるかも知れない。
争いの原因
室内猫同士の争いの最も一般的な原因は「持ち物」の取り合いです。「持ち物」とは、食物、水、トイレ、空間、高い場所、日のあたる場所、猫が周囲を見渡せる安全な場所、もしくは人からの注目のことです。これらの「持ち物」をめぐって争いを起こすかもしれません。猫同士は争いを避けるため、これらの「持ち物」への他の猫の接近に対して脅威を表現していないだけかもしれません。そのため、明らかな争いには発展せず、環境や同居猫の振る舞いの変化をどのくらい許容できるかにとどまっているのかもしれません。
「公然と」行われる争いは、新しい猫を家に招き入れたときや、子猫時代以降お互いを知っている猫が社会的な成熟に達するときに最も起こります。新しい猫が紹介されるときに発生する争いは理解しやすく、現在飼育している猫に新しい猫を紹介するための良い指導法が用意されています。ある猫が社会的に成熟した時、または社会的に成熟した猫が同居猫の社会的成熟に気付いた時、飼い主は突然起こる争いに戸惑うかもしれません。猫は、生後2〜5年の間に社会的に成熟することができ、社会的グループとその活動の一部を制御し始めます。これは雄同士、雌同士、あるいは雄と雌の間で「公然と」行われる争いにつながる可能性があります。飼い主は、「今までとても仲よかったのに!」と驚くかもしれませんが、猫の「持ち物」の必要性の認識は社会的成熟度と共に拡張していきます。
猫同士がお互いを知り合っているけれども、ある程度の不一致が存在する場合は、多くの場合は微妙な方法で競合を示すことがあります。例えば、競合中の猫の1頭が自分自身を主張し、他の猫はこの猫の行動によって脅かされているとします。脅かされている猫は、自己主張する猫から隠れたり、シーっといったり、他の猫に反撃したり、他の猫を脅かし始めたり、もしくは健康に問題が起こるまで沈黙していて認識されない場合があります。
上記の争いの兆候に加えて、自己主張が強い猫は、そのマーキング行動によって識別することができます。自己主張が強い猫は、顔(頭や頬や顎)や尾を、人間や出入り口そして家具などに猫の高さでこすり付けます。残念ながら、「静か」な争いも尿の問題を伴い、それには尿マーキング(脅かされている猫や自己主張が強い猫の両方とも)や膀胱炎(脅かされている猫)を含みます。尿マーキングにはスプレーとノンスプレーマーキングがあり、スプレーは、足踏みをしながら尾を高く上げ、尾を小刻みに振るわせ、ピクピクしながら垂直表面に尿を噴霧します。ノンスプレーマーキングは、トイレの外での排尿と排便を指します。スプレーは雌雄ともにすることがあります。避妊・去勢はスプレーの頻度を減少させますが、行動を排除することはできません。争いに関連した尿マーキングは、脅かされている猫や自己主張が強い猫の両方ともに発生しますが、経験上、膀胱炎は通常脅かされている猫に起こります。しかし、自己主張が強い猫が血尿をスプレーすることもあります。他の猫によってトイレに近づけない場合や、迅速な脱出が出来ないトイレを使用することを恐れている場合には、猫はベッドカバーや高いところで排尿するかもしれません。
治療
猫同士の争いに対する治療は、それぞれの猫のために「個別」の「持ち物」を提供することから始まります。できれば、他の猫から見られることもなく、使用されることもない場所が良いでしょう。必要不可欠な「持ち物」を奪われることがないように、お互いを避けるためです。すべての猫を避妊去勢することや、可能な限りすべての爪を切っておくことによっても争いを減じることができます。争いに関係する猫を直接監視することができない時は、猫同士を離れ離れにすることが必要かもしれません。これは、室内にいる3頭の猫のうち2頭は一緒にいても良いのですが、争いの犠牲者には他の猫からの「隠れ家」を提供する必要があるという意味です。この「隠れ家」には、猫に必要なすべての「持ち物」を含むべきでしょう。
猫は一般的に、平均的な家やアパートが持つ空間よりも、多くの空間を必要とし、使用します。子猫用ハウス、段ボール箱、ベッド、ケージなどのような三次元空間を追加することは、許容可能なレベルに争いを減らすための十分な空間を提供できるかもしれません。 深刻な状況では、行動改善薬を使用することで改善する猫もいます。しかし、投薬は環境が良化された後に役立つかもしれないですが、環境を良化せずに投薬のみでは、改善が見込めないでしょう。
争いに関与する猫同士が「親友」になることはありませんが、通常、争いを起こさず、争いに関連した疾患になることなく、一緒に暮らすことができます。状況が制御できるようになったら、猫同士がより快適に共同スペースを共有できるようになるための、脱感作(不安を感じる刺激や状況に対して、恐怖反応に対抗するような条件付けを行う技法)や反対条件づけ(不快な反応を消去させる治療的技法)を猫の行動心理学者に相談することが必要かもしれません。
他の動物、犬、子供、大人との争いの解決は、より簡単です。猫は小さな獲物の孤独なハンターであることに加えて、猫自身が犬などの他の肉食動物の小さな獲物でもあります。犬が猫を傷つけることがないことを私たちが確信していても、猫にとって犬は捕食者です。猫が犬以上の優位性を主張していない場合(これは頻繁に起こることですが)、いつでも脱出できる方法を提供する必要があります。子供や訪問者には、猫を手荒く取り扱うことは遊びではなく食べられてしまう危険性を猫が感じているということを教えるだけで大抵は十分です。
自宅周囲のエリアに外猫が侵入した時には、室内の猫との間に争いが生じます。猫にとって窓は、脅威の対象である外猫から守ってくれるものではありません。もし、外猫の徘徊が問題の原因ならば、様々な戦略と製品で自宅周囲を外猫に魅力のないものにすることができるでしょう。
猫の活動性を上昇させるには?
なぜ猫と遊ばなければならないのですか?
猫との絆をより発展させるため。
猫の生活の質を上げるため。
行動と健康を改善させるのに役立ち、肥満の発生率を減少させ、将来の問題を予防するため。
日中にあなたの猫を活動的にすると夜中に彼らは寝てくれて、あなたを悩ますことが少なくなるため。
過度の元気の発散を助けること、特に夕方遅くにしばしば起こる「野生的熱狂」を少なくするため。
制御下での環境で遊びを教えることによって、好ましくない「遊び咬み」や攻撃性の可能性を減少するため。
有用なヒント
悪い遊びの振る舞いに褒美を与えてはいけません。猫が穏やかに、静かに、適切なふるまいをした時のみ、遊びに誘いましょう。
おもちゃとしてあなたの手、指、身体の一部を使ってはいけません。さもないと、猫は咬むことや引っ掻くことを覚えるでしょう。激しくなってきたら遊びを止めましょう。そして猫が穏やかに、静かに、適切なふるまいをしたら再開しましょう。
毎日特別な時間をとってください。そして、あなたの1日のスケジュールに猫と遊ぶことを組み込んでください。猫はあなたとの特別な遊び時間を予想するので、他の時間に不安が少なくなるでしょう。
家族の全員にこの楽しみに加わってもらい、猫との遊びを共有するようにしましょう。
猫の活動性を上昇させるためのアイデア
猫に物を取りに行く遊びを教えましょう。好みのおもちゃにひもを付けて、おもちゃを投げて、引き戻して遊びましょう。猫はおもちゃをあなたの元へ戻すことを学びます。なぜなら、また投げて遊んでくれるのがうれしいからです。
靴紐におもちゃを付けて足首に結んで家中を歩き回りましょう。猫が上ることができる高い所へ引きずっていくことを忘れないで下さい。多くの猫はおもちゃが行くところ何処までも追いかけることでしょう。特に昆虫が好きな猫では、靴紐の先に結び目を作ることでも同様のことができます。
固い床やバスタブの中などでは、表面が平滑なボールを転がして遊びましょう。
あなたともう一人の間を走らせて、あなたたちに「タッチ」できたらご褒美を与えましょう。おやつや大好きなおもちゃをご褒美として利用できます。しかし、ご褒美としてということを忘れずに。
床を転がすようにしてドライフードやおやつを投げてみましょう。猫がそれを追いかけるのを見ましょう。
ドアノブやドアの上に付けたハンガーなどに付けた紐におもちゃをぶら下げて下さい。揺らしたり動かしたりして興味を引くことをしましょう。
床の上に紙袋や紙箱を置いてください。猫が探検しにその中へ入ったら、指で外側から引っ掻いてみましょう。そうすればあなたを捕まえようとするでしょう。
クッションや毛布の下におもちゃを隠して下さい。それを動かしたり、おもちゃを掘るように猫を誘導しましょう。
どのようなおもちゃでもそれを動かすことで遊びやすくなります。
多くの猫はレーザーポインターの光を数時間追いかけます。ヒトや動物の目に決してレーザーを当てないよう注意して下さい。あなたの猫がスイッチを消した時にもレーザーに不安を感じたり、偏執的であったりするならば、レーザーポインターであそび続けることをやめた方が良いかもしれません。
あなたの猫が親友のような感じでのんびり屋さんであるなら、かくれんぼを試して下さい。隠れるふりをしたり、ちょくちょく覗き見したりしてみましょう。隠れ場所の近くをこっそり近づいてき、猫があなたを見られるようにしましょう。最終的に、隠れ場所を出ていって猫を喜ばせて下さい。もし、猫がこのゲームを好むなら、猫は隠れたりあなたを追いかけたりするようになるでしょう。猫を驚かせたりしないで下さい、そしていつもゲームの最後には穏やかに接するようにしましょう。
猫が好きなおもちゃやゲームを使わないでも楽しくできるか試しましょう。1日中好きなおもちゃを取り上げて誘惑に抵抗させてみましょう。その代わりとして、2-3のおもちゃを置きっぱなしにして、好みのおもちゃは1日1回もしくは1週間に1回出すだけにとどめましょう。猫は楽しい思いをより長く続けられることでしょう。
猫がいなくなる前に
毎年何万もの動物が保護施設で最期を迎え、自宅へ帰ることが出来ません。ペットがいなくなることは、その家族にとって苦難とストレスの多い時間になります。
あなたはペットの安全をどのように維持しますか?
ペットがいなくなった時、解決することは難しい問題で、飼い主や家族に多大ストレスがかかります。ペットの安全を維持するために可能な限り計画を立て、ペットがいなくなった時の準備をしておきましょう。何万という動物が保護施設に収容され、その中のわずかな動物しか、家族との再会を果たしていません。
チェックリスト
識別票をつけよう!
首輪に識別票をつけましょう。識別票にはペットの名前、電話番号、住所を記載します。ペットを保護した人は保護施設に連れて行くより先に、直接連絡をくれます。年に何回か、情報の更新や首にフィットしているかペットの首輪をチェックしましょう。
マイクロチップを入れよう!
マイクロチップを入れることに関して、痛みを伴い、高価で、未来的であると考え、一部の人は否定するかもしれません。実際のマイクロチップの挿入は素早く、手ごろな価格で、痛みの少ない、ペットのための識別方法です。マイクロチップは識別票の代わりにはなりません。マイクロチップは、国内のデータベースに登録され、固有の番号で符号化されます。国内の保護施設や獣医関連施設で、迷ってしまった動物をスキャンする事ができます。飼い主は、転居または電話番号の変更のたびに、現在の連絡先情報を更新する責任があります。詳細については、獣医師に相談してください。
写真を撮ろう!
ペットの最新の写真を撮って保存しておくと、緊急時に重宝します。写真はチラシ、ウェブサイト、新聞広告に載せることが出来ます。また、写真はあなたと一緒に写っているものが適しており、動物保護施設を訪れる時に、あなたと一緒に写っていれば保護責任者として認めてくれるでしょう。
記録を取っておこう!
この後に出てくるインフォメーションフォームを完璧にして保存しましょう。このフォームは、いざ探し始める時に必要なもの、重要な電話番号、ウェブサイト、ペットについての事柄、すべてを含んでいます。そして、この情報を安全な場所に保管しましょう。
計画を立てよう!
動物がいなくなる前に家族で計画を立てることは重要です。計画を立てておくことは時間の節約になり、そしてなにより落ち着いて行動出来るでしょう。
再会のための計画
インフォメーションフォームにすべて書込み、コピーを取って下さい。ペットが迷子になった時の助けになります。
コピーは安全な場所に保管して、もう1枚のコピーを車や財布の中に入れておきましょう。
インフォメーションフォーム
ペットの名前
性別
動物種
品種
毛色
体重
この子だけの特徴(例:額にハートのマークがある、など)
マイクロチップ番号
飼い主の名前と住所、電話番号
勤務している会社名や個人のウェブサイト
かかりつけ病院の住所と電話番号
近所の知人の住所と電話番号
地域の動物保護施設の住所、電話番号、ウェブサイト
チラシを貼る推奨場所
最後に写真を貼りましょう。