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ホッコーメヴィウスチャレンジ、そして各馬短評 ~2024東京JS~

 ―――2022年重賞3勝、7カ月の休みを経て2023年東京JSに挑んだホッコーメヴィウス。結果は12頭中9着。

屈辱の昨年から約一年。今年の再びやつが帰ってきました。
2023年は東京JSを始動とし、その後重賞3連続着外。
主戦を黒岩騎手から平沢騎手にシフトし阪神JS2着、東京HJ2着と終わらせた馬と言わせない活躍はまだ最近のことのよう。その後は11月京都JSに向かうと思いきやまさかの方針転換。長丁場の障害重賞の続く冬と春を丸々休みとし、まるでここを焦点にしてるかのような8カ月明けのローテ。

2024年東京ジャンプステークスのホッコーメヴィウス始動戦はどのような結末を迎えるのでしょうか。


2024第一回ホッコメチャレンジ

視点① 馬の状態

 ここからはホッコーメヴィウスの勝機を様々な観点で評価していきます。
まずは最も大事であろう馬の状態。点数は70点

 今までで一番長い休養期間を挟んだホッコーメヴィウス。ただしこの馬は叩き良化タイプであり、ある程度叩いてからの方が力は出せます。
昨年の同レースは7カ月の休養明けで9着、一昨日の同レースでは冬に平地と春麗JSを挟んでの2着でした。では極端に叩いた方がいけるのかというと意外とそうでもないのかなと思います。確かに去年の馬柱は叩いてから復調したかのように見えますが、個人的には23東京JSは不調だったものの、次戦23新潟JSでは復調していたと考えています。踏み込んで言うと新潟JSと小倉SJは陣営の作戦ミスと評価。つまり2戦目の時点では普段通りの力を出せる状態にあったのではないかと思います。また2022年の東京JSは前走春麗JS8着から4カ月明けで2着。逆に、叩き8回目の21新潟JSで突然8着になるなど、一概に叩き良化、休み明けがダメともいえなそう。 
 よって休み明けについては「ある程度割引くのは正当だが下げすぎるほどではない」と考えています。よって馬の状態については70点。
ただしこれは当日の馬体重も見たいところ。4キロ以上減らしていたた-10点、6キロ増やしたら+5点というとこでしょうか。

視点② 調教

続いて調教。点数は80点
これは各紙の有料情報でもあるので細かいことは言えませんが、悪くないという評価。メヴィウスは調教で叩きすぎるとダメ(というか叩かないといけない状態のときダメ)なところがあり、馬なりでそれなりの時計を出せているときが一番調子いいです。私としては調教で下げる要素はありませんでした。復帰直後から井上騎手が乗ってくれているのもよきですね。吉村誠之助騎手にも感謝します。

視点③ 枠順

 点数は100点。これに関しては本当に運が良かった。東京コースは襷コースが無く、とりわけ東京3110mは2コーナー直前からレースが始まるというド変態コース。直線に入って間もなく飛越に入るため横の位置取り比較的短い時間で行う必要があります。結果外枠は不利に。
特にハナをとりたいメヴィウスにとって横の移動なんか考えている暇なく、内でハナをとれるというのは超がつく幸運。
過去の東京重賞ではなぜか外枠になることが多く、実は東京で4枠以内になるのはこれが初めて。枠だけみれば今までで一番いい状態です。ちなみにメヴィウスの東京成績は[0-5-0-1]で連対率83%の超得意コース。(勝率は0%だけど)

 枠順で大事なのは絶対評価だけでなく相対評価も。メヴィウスの内に入ったのはダイシンクローバー。先行~差しが得意でハナへの意識は弱いでしょう。まして鞍上はメヴィウスを一番よく知っているであろう黒岩騎手。メヴィウスにハナ争いをすることの恐ろしさは知っているうえ、逃げは得意ですが常に積極的にいくタイプの騎手ではありません。
外にも差し馬がずらりと並び、先行争いの可能性があったブラックボイスやサクセスエースとは離れました。つまり単騎でハナをとる可能性は濃厚。あとは無理のないペースで運べるかが鍵です。

視点④ 井上敏樹騎手

 これが今回一番のポイントなのではないでしょうか。点数は60点
やはり障害1勝騎手に重賞馬というのは重荷にはなります。ただし井上騎手は障害挑戦時に減量がつかないというハンデを背負い、良い馬が回っていたとはいえない状況でした。好転したのは栗東移籍。小牧騎手が乗っていた有力馬などが回ってくるようになり、障害複勝率18%と無下にはできない成績。
そしてなりよりも障害初勝利パワータイショウ戦。このレースでは逃げを選び、途中有力馬に抜かされつつ再び差し返し、単勝187倍を演出するという劇場型の勝利を収めました。この勝ち方がホッコメの得意パターンに合致していると思います。逃げを経験しているのは大きい。また置き障害だけでなく固定障害コースでも馬券に絡んでいるのは好材料です。
 懸念は飛越。去年と比べて非常によくなりましたが、まだ危うさは残っています。馬の能力でここは対処できるかが鍵。ホッコーメヴィウスを扱うには飛越時に加速するという技術が求められます。平沢騎手にはそれができた。飛越に関しては無理をせず馬に任せてほしいと思うところ。また最後の直線で勝負をするという傾向が井上騎手にあり、これはどうでるかわかりません。
 総じて、平沢騎手と比べると評価は下がるが、他障害騎手とは遜色のないレベルで評価はできると思います。また騎手のタイプと馬のタイプはほどほどに似ているのではないでしょうか。

視点⑤ コースとレース展開

点数は80点。ホッコーメヴィウスが苦手とするのは同型の存在
過去のレースではロードアクアやフォッサマグナといった極端な逃げ馬がいると苦しむ傾向にありました。今回はハナをなにがなんでもとりたいという馬はホッコメぐらい。そして上記した枠順。ペースを自分で決めれる点は好材料。さらに良馬場が後押しします

総評

 総合での評価は70点。陣営の努力、そして幸運もあり、良い感じに力が出せる環境が整ったなという感じです。向かい風を感じた去年の逆で強い追い風を感じます。一番の鍵は井上騎手。同騎手にいいたいのはいつも通りでいいということです。馬任せにしてくれればそれなりにホッコメはなんとかしてくれます。井上騎手は強く色気を出す印象は少なく行けるときに行くというイメージ。若手騎手の中から選ぶのであれば井上騎手というのは筋は通っているかな。栗東移籍の決意からの成績向上。ずっと応援してます。

 では実際馬券の方の自信はどうか。馬券内の自信は40%、勝利の自信は10%といったところです。今回は有力馬、伏兵ともにレベルが高い。自分の調子がいくら良くても他馬が最高レベルの力をだしてしまえば誰でも優勝の可能性はあるレースです。

よって今回はホッコメ軸の馬連や三連複ではなく、単勝と複勝を組み合わせた馬券で応援しようかと思っています。

各馬短評

 軽く各馬についての考察もあげておきます。
ついでに個人的評価もABCDの四段階で挙げておきましょう。

○1番 ダイシンクローバー 評価C
ポイント:東京3110mのペースへの対応
 
2023年京都ハイジャンプ覇者。中山コースや京都の長距離コースなどスタミナタイプのレースの方が合う馬です。調子の悪さはあまり気にしなくていいと思いますが、東京3110m、しかもメヴィウスがつくるペースに対応できるかは懸念。最内を生かして2番手に控える競馬とかしたら面白いかも。メヴィウスを追う黒岩騎手とか見てみたいし。

○2番 ホッコーメヴィウス 評価B
ポイント:どのペースで逃げるか
先に述べた通りです。

○3番 ジューンベロシティ 評価A
ポイント:馬群の有無
 
昨年の東京JSの覇者。その時は西谷騎手。中山GJでは突然の森騎手騎乗で2着という驚くべきポテンシャルを示しました。馬のレベルだけでいったら本レース最高レベル。チラつく悪夢は2023年東京HJ。
あまり馬群に囲まれるレースは得意ではなさそうな気がします。直線で勝負する方が得意なので、3コーナーあたりで外に出せる位置には居たい。最初メヴィウスとダイクロの間に入れれば強そう。

○4番 ギガバッケン 評価D
ポイント:固定障害への対応
 
未勝利、OPともに福島で勝ち上がったMr.福島。それ以外は中山を主戦としていますがあまり得意ではなさそう? 清秋ジャンプで水ごう障害にて大きい水しぶきをあげ後退していった姿がトラウマ。飛越が雑な傾向がちょくちょくあります。今回特に心配なのは直線の三連続障害。ちなみに東京は未勝利で一回走って以来だそうです。(結果は6着、その時の勝ち馬はなんとニシノデイジー)

○5番 ヴァレッタカズマ 評価C
ポイント:本場への対応
ヴァレッタ一馬、森カズマでお馴染み森騎手のお手馬。ただし今回お手馬かぶりということで、白羽の矢が立ったのが栗東の代打王小野寺騎手。
小野寺騎手はローカルは得意、本場は苦手な傾向がありますが去年の東京HJでニューツーリズムを3着に運ぶなど最近対応が進んでいます。どちらかというと今回心配なのは初本場挑戦の馬のほう。未勝利を勝ち上がったのが今年の4月。そこから順調に言っているように見えますが、森騎手カンフルは正直ありました。若干扱いの難しさがある傾向。

○6番 ロードトゥフェイム 評価C
ポイント:ハンデのない坂口騎手
 
去年の秋陽ジャンプで本コースのレコードを出したレコードホルダー。
ただし秋陽ジャンプはフィロロッソの大逃げによるペースの乱れがあったことには注意したい。ポイントは何といっても坂口騎手。初重賞挑戦に加え、初めて60キロを背負います。最近減量をものにする騎乗により目立つ存在になってきた坂口騎手。本馬は逃げ馬という訳ではありません。最近の坂口騎手の好走パターンが合う馬ではなさそう。今回逃げるメリットもないし。となると差しになりますが、坂口騎手が乗るレースとしてはいきなりレベルがあがりすぎ。それを減量が無い状態でものにするのはどんな天才騎手でも難しいでしょう。

 坂口騎手の魅力はなんといっても経験から学ぶ課題修正能力。今回もいい経験になればいいと思います。坂口騎手や井上騎手に有力馬を乗せるという流れは良い傾向です。今後の障害競走のためにも…。

○7番 コウユーヌレエフ 評価D
ポイント:仕掛けどころ
2022年秋陽ジャンプの覇者。大障害前のニシノデイジーに土をつけたおじさんです。東京3110mは大の得意コース。ただし最近は衰えがあります。
小牧騎手というのは中々絶妙なチョイス。先行タイプの馬ですが、仕掛けどころでみせる小牧騎手がどこで仕掛けるか。それによってはレース展開全体が変わります。

○8番 ナリノモンターニュ 評価B
ポイント:最終障害後の位置
上原厩舎で武者修行中、騎乗を減らしていた金子騎手の前に現れた天才馬。ちなみに上原厩舎所属です(人違い)。最後の伸び脚に光るものがあり、馬に無理をさせない金子騎手の騎乗といい感じに合致。本場への対応も阪神OPで証明済みでかなり魅力的な存在。となると、ポイントは後半になります。レースのペースと位置によってどこまで上がれるかが左右されそう。府中の直線は長いぞ!

○9番 ロスコフ 評価C
ポイント:全体のペースへの対応
今回、唯一抽選に引っ掛かった馬。草野騎手復帰戦となります。ロードトゥフェイムのレコード秋陽ジャンプにクビ差まで詰め寄った実力馬。OP勝利こそありませんが、同等の評価はできます。レベルの高かったペガサスJSの4着というのも高評価。あとは全体のペース次第かと。早い方が得意そう。ホッコメに左右されそうな一頭ですね。

○10番 ブラックボイス 評価A
ポイント:前に誰がいるか、どこで捉えるか
障害3連勝中の次世代のエース候補その① 好位追走。石神騎手と手が本当によく合いますね。石神騎手は東京HJのマイネルグロンでホッコーメヴィウスの捉え方はしっているはず。ホッコメ以外に誰がいるかが鍵。あまり馬群が固まる用なら外に出すタイミングは大事。オールザワールドのにらみ合いとかになったら怖い。

○11番 サクセスエース 評価B
ポイント:脚の残り具合
小倉福島2連勝。今年絶好調の上野騎手が騎乗。今回初本場です。
前目につけてじわりじわりの正攻法で攻めるタイプ。前があまりに飛ばしすぎてて、後半の2コーナーあたりで大分脚使わないといけないとかになったら厳しそう。上野騎手とは合いますね~。

○12番 トゥルボー 評価D
ポイント:レースのペース
2年前、新潟JS、阪神JSを連勝した後2年強失踪した障害界のステラヴェローチェ。今回実に3年ぶりの障害重賞復帰戦となります。復調具合と中村騎手というのが気になるところ。差しが得意な馬なのでペースに左右されそう。中村騎手がガンガン行く可能性も無くは…無いな。
パドックでは馬体の水玉模様に注目だ!

○13番 ヴェイルネビュラ 評価C
ポイント:位置取り 前か後か
 
どの馬も位置取りは大事ですがこの馬は前も後ろもいけるためどの位置につけるかは他の馬にも影響します。福島レコードタイムを27年ぶりに塗り替えたやべえやつ。今回は五十嵐騎手と初コンビでこの組み合わせが難しい。
ネビュラは今まで草野騎手小野寺騎手と闘魂注入タイプの騎手とコンビを組んできましたが先行意識の高い五十嵐騎手ではどうなるか。このレースメンバーだと前に行く可能性は考えにくい…?

○14番 オールザワールド 評価A
ポイント:内に入るタイミング
 
未勝利、OP、三木HLPジャンプを三連勝した今回の主役。が、苦しい枠となりました。逆にこの枠になれば考えるのは一つ、内に入るタイミングです。森騎手なら冷静に判断し最初の飛越後すっと入る姿がイメージできます。そこから虎視眈々。最後に仕掛けるといういつもの森パターンができればあっさり勝ってしまいます。

まとめ

 J・G1と遜色のない豪華なメンバーが揃った2024年東京ジャンプステークス。古豪vs新興勢力の構図が熱いですね。一番のポイントは外枠のオールザワールド、そしてホッコーメヴィウスの作るペースだと思います。
最後に簡単にですが私の前日時点イメージしている買い方ですが、オールザワールド軸の馬連ワイド、ホッコーメヴィウスの単複です。それでは皆さま、健闘を祈ります。

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