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温泉は「効能」とは言ってはいけない⁉  ~温泉の定義編~

キャンペーンを利用して温泉旅行へ。とお考えの方も多いと思います。皆さんの宿泊先選びのポイントは、何でしょうか。宿泊代金、人気の観光地、食事が豪華、露天風呂付きのお部屋があるお宿。いえいえ、ぜひ温泉の特徴をよく調べてからお選びください。箱根の「強羅温泉」や、栃木県の「那須塩原温泉」ではお隣のお宿と温泉の成分が全然違ったりするんですよ。あまり気にしなかった温泉の成分の違いを知って次回の旅行が一味違った楽しみ方ができるように、お伝えしたいと思います。

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【温泉の定義】

温泉とは、地中から湧き出ている熱湯!とイメージされる方も多いと思いますが、ちゃんと「温泉法」という法律で定められた定義があるのです。日本の温泉法は昭和23年(1948年)に施行され、その後何度か改訂されています。(近年では平成26年(2014年)に改訂)この法律で「温泉」とは、『地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガスで、別表に掲げる温度または物質を有するものをいう』とあります。

具体的に2つの条件をあげると 

①「温度(温泉源から採取される時の温度)が、25℃以上であること。 

②「溶存物質の総量」「リチウムイオン」「水素イオン」「よう化物イオン」「メタケイ酸」など含有成分に関する19の特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。となります。

 この2つの条件のいずれか1つを満たしていれば「温泉」と定義されるので、街中でよく見る「スーパー銭湯」が「温泉がでました!」とアピールできる背景には、地中の深いところほど圧力が大きく、またマグマにも近づくので地中を100mほど掘るごとに地下水の温度は2~3℃上昇します。つまり、地中を1000mほど掘って湧出した地下水は25℃以上になっていることが多く、定義上は「温泉」となるわけです! また ②の条件を満たせば逆に冷たくても「温泉」と定義されるのです。

また温泉は、「水蒸気その他のガス」というところにあれっと気づいた方もいるかと思います。具体的に例を挙げると、箱根強羅地区の温泉になります。大涌谷という観光地をご存知ですか。山の斜面からもくもくと硫黄ガスが立ち上っている光景や、寿命が延びると宣伝される「黒たまご」で有名ですね。某テレビ人気番組でTさんも訪れていましたが、強羅温泉は大涌谷のガスを地下水に通すことによってある意味人工的に温泉水を作り上げて地元の旅館に供給しているのです。大涌谷の斜面に大きなやぐらがいくつも立っているのを見た方もいらっしゃると思います。そんな背景があるなんてビックリですよね。

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【温泉の種類】

次に温泉の種類を見てみましょう。

「泉温」による分類では、温泉は源泉の湧出口の泉温によって、高温泉(42℃以上)、温泉(34~42℃未満)、低温泉(25~34℃未満)、冷鉱泉(25℃未満)の4つに分類されます。冷鉱泉は、まさに冷たくても温泉というわけです。

「水素イオン」による分類では、水の酸性、アルカリ性を示す指標で、pH6~7.5は人間の肌や髪の毛とほぼ同じで中性になります。pH8.5を超えるアルカリ性は石鹸(pH7~10)と同じなので、汚れを落とす作用があります。また酸性が強くなると(レモンpH2.5)殺菌力が増し、皮膚病などによいとされます。

「泉質」は10種類に区別されています。「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」「含よう素泉」の10種類です。改訂前の区分名だと、食塩泉、重曹泉、明ばん泉などになります。以前の呼び名のほうがイメージがつきやすいのは私だけでしょうか。では、具体的に泉質の特徴を見ていきたいと思います。


『単純温泉』:家族の湯・美肌の湯 - 現在日本で最も多い泉質です。(スーパー銭湯が増えた影響?)体にやさしくお子様や、年配の方も安心して入れるお湯です。(箱根湯本・修善寺など)

『塩化物泉』:温まりの湯・傷の湯 - 以前は1番数が多かった泉質。塩分が多く含まれているので、よく温まり、保温・保湿や殺菌効果に期待できます。(熱海・堂ヶ島・和倉など)

『炭酸水素塩泉』:美肌の湯・清凉の湯 - 肌の皮脂や古くなった角質を落とす効果があるといわれます。(塩原・別府など)

『硫酸塩泉』:脳卒中の湯・傷の湯 - しっとり肌やハリ・弾力のある肌にする蘇生効果があるとされるお湯。(伊香保・四万など)

『二酸化炭素泉』:心臓の湯・泡の湯 - 入浴すると小さな泡が体にまとわりつくお湯。炭酸ガスが血管の中まで浸透し、拡張させ血流を良くする効果が期待でき、冷え性や自律神経不安定症などによいとされるお湯。(玉川など)

『含鉄泉』:婦人の湯 - 鉄分を多く含み、冷え性の方におすすめ。空気に触れて酸化すると茶褐色に変化します。飲泉による鉄分補給もできるので、貧血の方にもおすすめのお湯。(有馬など)

『硫黄泉』:生活習慣病の湯 - 肌に浸透しやすく、メラニンを分解するとされアトピー性皮膚炎や、シミ予防、動脈硬化などにも期待できるお湯。もっとも温泉らしい温泉として人気があります。(草津・万座・箱根強羅・登別など)

『酸性泉』:皮膚病の湯 - 酸性が強く刺激的殺菌効果があるとされるお湯。肌の弱い方や幼児、高齢者は要注意。酸性で刺激が強く入浴の後はしっかりとシャワーで流す必要があります。成分が効きすぎて、急に体質改善され疲れてしまう「湯あたり」という症状がでてしまいますので、入浴方法に注意しましょう。(酸ヶ湯・蔵王など)

『放射能泉』:痛風の湯・万病の湯 - 数が少なく貴重な温泉。ラドンは湧出後は空気中に飛散するため内湯などでの吸引が効果的。痛風、リウマチ、糖尿病、がんにもよいとされるお湯。(杉村・増冨など)

『含よう素泉』:体質改善の湯 - 強い殺菌力でうがい薬・傷薬にも利用される成分を含みます。(大手町など)


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いかがでしたか。温泉の基本を理解いただけましたでしょうか。

次回は、さらに温泉の魅力について掘り下げてみたいと思います。いよいよ本題の疑問についても解説します。

皆さんのおすすめの温泉♨️は、どこですか?是非コメント欄で教えて下さい🎵

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