隠れた本音に向き合い、「想定以上の選択肢」を生み出す。(CA/山下真由)
【挑戦者側から、社会をおもしろくする。】
京都出身、不動産会社を経てナイモノに入社して2年半。今期からチーフ職として活躍するCA(キャリアアドバイザー)山下。
彼女にとって「忘れられない学生」と「仕事のスタンスが変わった転機」について聞きました!! 学生の人生の選択にかかわるジョーカツCAの働き方をご覧ください!
就活を始めたばかりの「原石」
「これまでで記憶に残っている学生は?」
そんな質問に対して、山下は迷うことなく一人の学生の名前を挙げた。キャリアアドバイザーとしてかかわった1000人以上の学生の中でも、最も印象に残っていると言う。
その学生と出会ったのは、2024年4月末のこと。
ジョーカツへの登録を経て、山下が担当することになった。
ゴールデンウィークが明けて初めてのオンライン面談を進めていく中で、山下は違和感と期待が入り混じった、不思議な感覚を抱いた。
必要なのは一般論のアドバイス?
学生の話を掘り下げていくと、もともと国家資格の取得を目指していたと言う。しかし実際に社会や仕事に向き合って考えると、「敷かれたレールの上を進んでいるだけじゃないか……」と疑問をもち、民間への就職を考え始めた。
既に何社もの就職エージェントに登録していて、むしろジョーカツは学生にとって後発組とも言える状況だった。
通常であれば、本人の指向や就活の進捗、不安点や対策方法などから話を進めることが多い。しかし、このケースでは山下は「それは違う」と感じた。
本人が求めているもの、本人にとっての良い選択をちゃんと探っていきたい。そう考えながらの初回面談は、気づけば2時間を超えていた。
「その会社」を薦める意味
その後は、LINEや電話でのやりとりで連絡を続け、10日ほどで二度目の面談のタイミング。
そこで学生から、予想外の言葉を投げかけられた。
いくつものエージェントの中で、最終面接を控えたA社の紹介元のエージェントと、ジョーカツの2社だけで就活を進めていくと言う。
もちろん山下にとって驚きもあったが、その決意と覚悟を受け止めたい。何より、この短期間でありながら、信頼し合えている実感。
そこにプレッシャーや不安はなく、ただただ「学生にとってベストな選択ができるように、サポートをしていきたい」という想いがあった。
だからこそ一方で、学生にA社を紹介したエージェントへの疑問も拭えなかった。
「なんで、A社を紹介したんだろう?」
その会社はベンチャー気質もありつつ、事業も多角化していてそれなりに規模や環境もある。
もちろん「良い会社」は人それぞれ。さらには「合う会社」も人それぞれ。ただ一般的に「良い会社」だと評価されているからといって、本人に「合う」かどうかは別の視点で考える必要もある。
本当に学生にとって、ベストな選択と言えるのか……。
キックオフで抱いた違和感
――― その学生との出会いの半年前。
山下にとって大きな転機と言える出来事があった。
当時、入社1年3ヶ月、日々の仕事に真面目に向き合ってきた。
ただそれは、必ずしも仕事の本質でもなければ、成果や価値を生み出す切り札でもない。知識やテクニックも、「真面目に向き合うこと」自体が価値を生み出すとは限らない。
明確にそのことに気づいたのは、2023年10月2日。
全社員が一堂に会して1年間をねぎらい、活躍した社員を表彰するキックオフの場だった。
次々と発表される受賞社員が壇上に上がり、彼らの話で笑いや涙や感謝の想いがあふれていた。場所を移した二次会にも多くの社員が参加して、この1年の思い出話や他愛もない話で盛り上がる。
その空気の中で山下は、内側にある感情を処理できずにいた。
普段から部署や年齢も関係なく、ほとんどの社員と食事に行くほどに接してきた。むしろ盛り上げる立場になる方が多かった。
「真面目」と「真剣」の差分
不機嫌はどこからきているのか。冷静になって感情を整理してみる。
改めて考えた結果、思い至ったのは「壇上の表彰者を見て、自分が悔しがっていることに気づいた」こと。
そして、悔しがっている自分が「格好悪い」と思ったこと。
もともと山下が転職を考え、ナイモノに入社したのは「商品としての自分の力を高めたい」という欲求。
不動産業界で2社を経て、人生の重要な買い物にかかわる魅力を感じた。営業という仕事の楽しさも感じていた。収入も十分に満足する水準。
それでも転職に踏みきったのは、「まだまだ物足りない。もっとできる」という感情と、「一生扱える商材として、自分を高めたい」という指向があったからだった。
キックオフの光景が、自分が仕事を通して目指すものを明確にしてくれた。「仕事に、学生に、真剣に向き合う」という、シンプルかつ強い指針がもてた。
「ねじ曲げる就活」への疑問
学生の未来に、自身の仕事に「真剣に」取り組むようにして半年。
4月に出会った学生がA社で働く選択肢は、山下には想像できなかった。
というよりも、毎年数百人が入社する会社で「新入社員のうちの一人」になるより、もっと活躍できる環境があると確信していた。
何より本人自身が心の底から納得してはいないのは、会話を通しても充分に伝わってきた。それでも進路への不安からか、A社の内定を承諾する可能性も十分にあった。
更なる可能性を感じるからこそ、現段階での内定先にも、そこを紹介した他社エージェントにも納得ができなかった。目的は、ただ「内定を得ること」ではなく、その先の可能性につなげること。
面談の半ばを過ぎた時点で、山下は伝えた。
「検討する枠と時間、2,3社分だけちょうだい!! 私が紹介するところを、2社か3社でいいから受けてみてから、考えてほしい」
ナイモノが取引する数百社の中から、本当に合うと思える会社を選んだ。たとえ結果的に合わなくても、その会社を受けてから納得して就活を終えてほしい。期待しているからこそ、学生の将来を損ないたくない。学生に真剣に向き合うからこそ、咄嗟に出た言葉だった。
想定していなかった未来
山下が紹介した2社は、その学生にとって新しい可能性を提示することになった。
企業との面接を終えた直後に電話があり、「むちゃくちゃ面白そうな会社でした! 自分だけで探していたら絶対に見つけられないし、今までとは違う新しい視点で会社や社会を見られるようになりました!」と伝えられ、仮説は確信に変わりつつあった。
その後、両社とも選考が進み、最終面接の前後はまさに「毎日その学生のことばかり考える」数日間をすごした。
最終的に山下が紹介した会社からの内定を承諾し、就活を終えた学生からメッセージが届いた。
「山下さんのおかげで不幸になる未来を選ばずに、最高の会社から内定を得ることができました。本当にありがとうございました!!」
アンテナを増やし、選択肢を増やす。
就活における仕事や人生といった大きな部分だけではなく、LINEでのちょっとしたやりとりや面談での目線や口調にもアンテナを向ける。その内容に応じて、自身の言葉遣いやアプローチも変えていくことで、本心から出る言葉を引き出し、求めるものを察知する。
ナイモノのCAの中でも、ユニークな存在感を発する山下。
これからについては、「まずは来年にリーダー職に上がること。その先には、ナイモノを選択肢がたくさんある会社にしたい。そこに1ミリでも貢献できたら」と語る。
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