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【落穂拾い】ジャン=フランソワ・ミレー
落穂拾い 1857年
ジャン=フランソワ・ミレー 1814-75年
オルセー美術館(フランス)
![](https://assets.st-note.com/img/1738576219-34oXwPgpKxJTLU7Gs6OVWynv.jpg?width=1200)
この作品では、3人の農婦にはっきりと威厳を持たせている。
3人は骨の折れる作業に取り組んでおり、そのうち2人は収穫後の穀物の残りを集め、もう一人は前掛けの中で束ねている。
その凍りついた表情や濃密で重々しい風情が作業の難儀さを強調する。
農婦たちとの対比で、背後には黄金色のトウモロコシ畑で一致団結して働く農民たちの姿が描かれている。
ミレーは光と影のコントラストを利用して階級格差を際立たせた。
自分の個人的な視点で見たものを描いたのであり、本作品は彼自身の憂鬱質な性格のひとつの表れである。
1857年にパリのサロンに出展されたとき、批評家たちそれぞれの政治的信条により、主題についての意見が分かれた。
共和制支持者は、地方の労働者階級の威厳ある写実的な描写を褒め、保守派はこの作品の革新性に眉をひそめてこれを危険な絵とみなした。
風景
ミレーは風景画に優れ、田園風景を見たままに描写して有名になった。
本作品では、日没の温かみある光に浴す、理想的かつのどかな風景を描いている。
落穂を拾う3人の辛い労働との対比が明白である。
領主
地主は背景の中で、馬に乗り穀物を収穫する農民を監督している。
ミレーは地主をぼんやりとした動きのない人物像として描き、遠景に置くことで、前景で苦労する3人の境遇を際立たせている。
落穂拾い
”落穂拾い”という言葉は、収穫後の畑に残った穀物を拾う行為を指す
。
3人の女たちは、落穂拾い作業の3つの相を示すために描かれている。
それは穀物を探し、拾い、前掛けの中で束ねる作業である。
落穂拾いは、当時のフランスの農民にとって大事な仕事の一つであり、ミレーはこの主題を10年かけて研究した。
鑑賞者の注意を農婦の作業に向けさせ、一方領主の収穫からは逸れるように工夫している。
青い帽子、赤い帽子
帽子の強い色味は、柔らかな黄金色の風景に映えてよく目立ち、女たちの色使いは沈みゆく太陽の光のせいで明るさを増している。
鮮やかな色味のおかげで前屈みの農婦に視線が集まり、この女たちが地面にしっかりと注意を向けている点が協調されている。
赤と青の帽子、そして白い袖はフランスの国旗を思い起こさせる。