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嗚呼、M-1グランプリどこへゆく

こんにちは、井上です。
 東京でよくお笑いライブを見ています。
さいきんはアマチュアながらM-1に出て、2回戦に進出しました。仕事中もずっとM-1の準々決勝にいくにはどうすればよいか考えています。そんな私の感じるここ数年のM-1の流れと、今後のM-1で勝つにはどうすればよいのかを備忘録的にまとめました。超〜主観だし偏ったソースを元に書いているのでいろいろとゆるしてください。


①M-1グランプリ2021、最高!♥

錦鯉の優勝で幕を閉じた2021年。50歳のおじさん芸人悲願の優勝は、列島に大きな感動をもたらした。
いちお笑いファンから見ても、今年のM-1は十分に我々の好奇心を満たしてくれるものだった。
ナイスアマチュア賞に選出され、3回戦まで進出したあくびぼうや。メタ漫才で準々決勝を大いに沸かせたラパルフェ軍艦ダウ90000といったニューウェーブも健闘し、ヨネダ2000は準決勝まで進出した。
決勝メンバーも一新されたが、これは2020年にマヂカルラブリーが優勝したのが大きい。

2017・2018年の停滞

マヂカルラブリーは結成翌年の2008年、早々に準決勝に進出したが彼らのフリースタイルな漫才は長らく、決勝にふさわしいと認められなかった。2017年に初めて決勝へ進出するも、場の空気を掴みきれずに敗退。全くお笑いに興味のない大学生だった私も当時リアルタイムで見ていたが「なんて面白くないんだ」と怒りすら覚えた。というか、会場の全員がそう思っているような感じがした。
2017年の決勝メンバーは1位から順に、とろサーモン/和牛/ミキ/かまいたち/スーパーマラドーナ/ジャルジャル/さや香/ゆにばーす/カミナリ/マヂカルラブリー。
清々しいほどの西高東低だ。7位までは関西、8位以下は関東。(※所属ではなく芸風の話。フワッとした基準で申し訳ない) くっきり分かれている。
そのくらい関西風味が評価されたタイミングだった。関東のヘンな漫才は場違いで、軟派なものだった。そしてマヂカルラブリーはここから3年間、日本で最も面白くない漫才師として生きることとなった。
翌年も準決勝まで進出するも決勝進出はならず。毎年予選を沸かせてきたトム・ブラウンが満を持して決勝へ乗り込むも、地下お笑いの凄みを見せつけるまでは至らず。結果、スタンダードなコント漫才を披露した霜降り明星が優勝。また関西勢だった。

"最高の大会" 2019年

転機となったのは2019年。決勝選出メンバー9組中7組が初進出、ダークホースだらけの大会となった。ミルクボーイぺこぱはファイナルラウンドへ進出し、ミルクボーイがかまいたちを下してチャンピオンとなった。
 もちろんお笑いファンの下馬評は高かったが、その日までもなかのモの字も知らなかった世間はニューヒーローの誕生に湧いた。
私はこの形の優勝が最もスムーズだと思っている。ミルクボーイのようなシステム漫才は一度手の内を晒したらいくところまでいかなければならない。そしてたとえばファーストラウンドでウケて、ファイナルラウンドで惜しくも3位!なんてことになると、来年以降同じ形で戦い、勝ち切るのは非常に難しい。2本もネタをやるということは、世間に認知されるということだ。「あ〜そのやつね、ハイハイ。面白いんだけどもう知ってんだよな〜」と。
だからミルクボーイにとっては最高の勝ち筋であり、同じくシステム漫才のぺこぱにとっては最低の負け方だったと言っていい(あくまでM-1に関してであり、単に知名度を上げたい!売れたい!というのであればもちろんファイナル進出は最高の切符)。 ぺこぱの戦場はもうM-1ではない。2020年の準決勝を見て、そう確信させられた。
しかし5年連続決勝進出していて審査員にも待望されている、なおかつ視聴者の後押しを受けて決勝まで上がってきた和牛を、ぺこぱは破った。よしもと以外の芸人がファイナルラウンドに進むのは、2008年のオードリー以来。
ここで時代が変わった。
歴史と伝統の上方漫才を、東京の地下お笑いが飲み込む瞬間が訪れようとしていた。和牛は、この年を最後にM-1へ出場することはなかった。 

そして2020年

 例年1組だった「他事務所」芸人が3組決勝へ進出。ユニットのおいでやすこがも進出するなど、かなり「ガチ」感のあるメンバー。私も準決を見に行ったが、本当に受け量トップ9組が上がったような印象だった。(ウエストランドのみ当落線上かな〜というウケ)
この年のマヂカルラブリーは圧倒的だった。野田クリスタルがR-1ぐらんぷりで優勝し、世間もウェルカムムードの中準決勝で「つり革」を披露して破壊的なウケで決勝へ、ファーストラウンドでは正座して登場する0秒ツカミから「絶対に笑わせたい人がいる男です」で会場を鷲掴みにする。そしてなんと大方の予想を裏切り2018年の敗者復活ネタ「フレンチ」を起用し爆笑をかっさらう。大木でドアを破壊したときにはもう、会場はマヂカルラブリーの味方だった。何をやっても通る。そう思った。
2017年にマヂカルラブリーが荒らした畑を、トム・ブラウンが耕し、ぺこぱが種を蒔いた。ファイナルラウンドの「つり革」は、東京の地下から地上へと新芽が顔を出した瞬間だった。笑いの波で会場が揺れているのが、画面越しにわかった。

面白い。面白いなら、それでいい。
マヂカルラブリーは世間に「わからせ」た。
そして言い放った。「地下にはもっとヤバいのがいる」。東京の地下を覆う厚い地表面に、ヒビが入った。

2021年

「お笑いファンが高熱で見る夢」ロングコートダディ堂前がそう評した決勝メンバー。昨年を上回る5組の「他事務所」芸人が決勝へ進出しお祭り騒ぎ。
しかしお笑いファンの希望とは裏腹に、ファーストラウンドはなかなか爆発的なウケが来ずやきもきとさせられるスタート。爆発させたのは3年連続ストレート進出のオズワルドで、正直に言うと今年は波乱無しか〜と少し落胆した。そしてファイナルラウンドはオズワルドとインディアンス錦鯉、決勝進出二回目以上のコンビ同士の対決となった。
ここで優勝したのはSMAの錦鯉。なんと2007年のサンドウィッチマン以来の他事務所チャンピオンとなった。おじさん芸人の苦労は列島に感動を与え、びーちぶやら桜前線やら地下の地下のワードがちらほらと世間で受け入れられるようになった。お笑いってのはおれたちが知っているよりも深いみたいだぞ、と世間が認めた年だった。

ちなみに、2021年のモグライダーはかなりシステムを際立たせた漫才だった。ライブで見られるようなともしげの「突発的な間違い」で笑わせる構成ではなく、きちんとネタとして完成させてきたような印象をこちらに与えた。なので本当に出順だけが悪かった。(というか出順に問題があるってわかってるんだから改善してほしい。決勝進出者を8組にして、敗者復活を視聴者投票あり1組なし1組の計2組選び、視聴者ありが出順1番、視聴者なしが出順2番にすればいいのでは??あと敗者復活も局のスタジオでやってくれ!)
モグライダーはフォーマットを世間に知られてしまったが、本領の「間違い」込みの漫才なら来年逆転があるかもしれない。ただ、いかんせん賞レースでは評価されにくいようにも感じる。
ランジャタイは2022年がラストイヤー。優勝してもしなくても最後。ぜひ決めきってほしいところだし、システムがないのがシステム?というとにかく型破りな漫才だから全然決勝はあると思う。もういっちょメンバーの金属バットと一緒にいけるといいね。
もも侍スライスみたいな、発想はいいけど荒削りだから決勝にいけないタイプだろうな〜と思っていたらストレートで上がって驚いた。ソースは忘れたけど「顔」以外の漫才もあると言っていたので次上がってくるとしたらそれかな。
ロングコートダディは優勝していてもおかしくなかった。そのぐらい大喜利の面白いネタだったし、コントで鍛えた演技力で未熟な面を窺わせさせなかった。審査員の「マイクの前で終わってほしかった」というエゴのせいで点数が低くなって非常にかわいそう。あのシステム以外にもあるから2本目も全然戦えたはず。本当に惜しい。まだ引きずっている。
真空ジェシカは本人たちも2020年くらい?のギガラジオで(ふざけて)言ってたとおり、2022年決勝初進出でもよかったのかも。2021年に敗者復活出る→テレビぽつぽつ出る→少し審査員にも視聴者にも知られている状態での初進出・・・だとあの浮いた感じにはならなかったかも。ただ、、、!

2022年のM-1はこうなる!

真空ジェシカロングコートダディ令和ロマン、もしくは強いシステムを持ち込んだコンビ(キュウニッポンの社長など)が優勝する。
 真空ジェシカとロングコートダディと令和ロマンはボケの強さのみで笑いを取れる、いわば大喜利特化のコンビ。私は今年来るのは大喜利のコンビだと睨んでいる。
理由を以下に述べる。
世間のお笑いに対する理解度が上がった。お笑い番組も増え、様々な場面で芸人がかなりクローズアップされるようになった。ラヴィット!みたいな報道番組の枠でお笑いをする番組まで出てきて、かなり芸人には追い風。ということでNON STYLEインディアンスのようなボケの弱い、テンポ重視の漫才ではなかなか視聴者の目をごまかしきれなくなり、ボケの強い漫才に嗜好が移ってくるのではないか?
そしてM-1も、新しさや変わった漫才を渇望している。マヂカルラブリーが優勝して、しゃべくり漫才は霞んでしまった。今年で言うとランジャタイやモグライダー(・準決に行ったヘンダーソンヨネダ2000)のような、変わった面白いことをしてくれる漫才師をどんどん上に行かせた。だから、強いシステムをつくった漫才師が来年もポンと決勝に上がってくるとみている。そして出順が後ろの方なら優勝する。アインシュタインとかミキみたいな古豪はどんどんキツくなるだろうな〜。

2023年以降はどうなる?

しかしいつかは新しいネタも尽きる。フースーヤとかが決勝に進出する。(※フースーヤは「逆張り」で評価されてるコンビだと思っている。あとかなりスポーツ的というか、評価されなくてもやると決めたことを貫くぞ!みたいな泥臭さを演出してる気がする。私の心が汚いんですかね、、、)そんで決勝では上沼恵美子が「わからん、ごめんね。」を連発し審査の体をなさなくなる。
そしてやがて、新しいものを追い求めること自体が新しくなくなってくる。賞レースに振り回され、変わったネタばかりつくっている漫才師は疲弊してくる。そしてお笑いブームもさすがに下り坂になり、大会としての盛り上がりも落ち着いてくる。要するに、

完全にこれ。
んで

かなりこれ。
それでは、2023年以降のM-1で優勝したければどんな漫才をすればいいのか?
こんなのです。

 システム万歳。

以上す。がんばるぞ〜

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