見出し画像

組織がつまづいた時に起きていること①

チームビルディングを学んでいるコミュニティーの先輩から、日野自動車の不正問題の報告書を読んでみると組織課題の勉強になると勧められて読んでみました。
車のことはわかりませんが、組織で何か起こっていたのかとてもわかりやすかったので、自分の備忘録としても書いてみたいと思います。

みんなで○○していない

不正が起こった真因として3つ挙げられていたのですが、一番目が「みんなでクルマをつくっていないこと」とありました。今回はこのことについて深掘りしてみたいと思います。

実はこれを見た時に、わかるわ~~と思いました。もしかしたら製造業の方はわかっていただけるかと思いますが、モノをつくるためにそれぞれの専門で部署が分かれます。
専門技術の結集なので、全員がすべての仕事に対して深掘りすることは不可能です。そうなると自分たちの部署のことはわかるが、よその部署が何をやっているのか?なんとなく・・・というか興味がなくなってしまうのです。
しかし、つくっているもの(目指すもの)は会社で一つのはずなので、自分たちが何をつくって何を大事にしていく集団なのか、これを意識し続けないとそれぞれが目の前のことだけに注力してしまいます。
「全社一丸」とはならないのです。

人材の固定化がもたらす弊害と縄張り意識

特に中小の場合だと、JOBローテションをするほど余裕がありません。だから一度配属されるとそのままその部署でずっと仕事をすることがほとんどだと思います。

ずっと同じ現場で仕事をしているとその部分だけは経験を積みますのでめちゃくちゃ詳しくなります。ただ、ここで育成方法を間違えると経験だけが深くなりすぎて、自分の仕事は全体のどの部分でどういう役割を担っているのか見えなくなります。上位者はここを意識して育成を行わないと自分で考えて行動できる人材には育ちませんし、最近の若い人は同じことだけを追求することが合っていれば良いですが、このままでは自分の成長が見えないと言って辞めることはめずらしくないのです。

では部門のリーダー(責任者)はどうなのか?
これは私の経験談で申し訳ないですが、大体考えていることは

  • 自分たちはしっかりやっている。悪くない

  • 自分たちが困っているのは、あの部がきちんとやらないからだ

  • 前から何度も言っているのに、あの部は言うことを聞いてくれない

  • 余計なことを言ったら、自分たちの仕事が増えるだけ。ただでさえ忙しくている部下が可哀想。(部下に何を言われるかわからない)

これでは問題を解決するにはほど遠く、建設的な意見交換は難しくなっていき、問題はどんどん先送りされていきます。そして最後はどこかの部門が問題を被るということが起きていました。

疑問をもつ意識と建設的意見交換

お互いに専門技術を持っているので、本当に信頼しあって任せているのであれば良いのですが、本当にそうなっているでしょうか。

こういう結果が出てきたけれど、これは本当に正しいのか?でもあの部がやっていることだし、詳細がわかるわけではない。むしろ何か言って「何もわかっていないくせに」とか言われたら面倒くさい。だったらお前たちがやれなんていわれたら・・・言わないでおこう。何かあってもあの部の責任だから・・・。自分たちには関係ない。

こうなるともう何もできませんね。
以前に製造現場で苦労している様子を見て、話を聞いてみると「そもそもの製法がおかしい。自分たちはこんなに苦労している」と話していました。一方で開発側は「何でこんなこともわからないのか?そもそも知識が足りないんだよ」とか言っていました。
知識は足りないのかもしれませんが、開発側の製法は現場の実機で出た結果を基にはしていません。何か問題が起こっているのかもしれません。
どちらも理由があるのだと思いますが、なぜ問題が起こっているのに同じテーブルの上に載せないのか?話し合いがなぜできないのか?疑問でした。

能力やリソースに関する認識のずれ

こういうことが起こると、部門横断でプロジェクトチームを発足させて問題解決にあたるということが考えられます。
これはこれで有効に働けば良いのですが、一歩間違えば余計に業務を圧迫するだけです。

認識のずれとは、現場のメンバーと経営層のずれです。経営層は部門同士で話し合う仕組みを指示すれば解決すると思っていますが、現場のメンバー(特に若手がメンバーになった時)の意識は、通常業務にプラスしてプロジェクトを担うという意識です。要するに余計な仕事が入ったということです。それぞれの担当責任者が、これをやってくださいと言っても他の部門のメンバーが「はい、わかりました」とはならないのです。
なぜなら、自分の上司から言われる仕事の方が優先度が高いからです。
担当責任者が、「メンバーがやってくれない」と訴えても、経営層は「きちんとやらせるのがあなたの仕事なんだからやりなさい」としか言わないのです。担当責任者が抱え込み、いずれプロジェクトが風化していくことになります。
本当にプロジェクトで解決しようとするなら、経営層の覚悟は必要です。

プロジェクトで成果を上げたことで有名なのが日産自動車のゴーン社長が行った「日産リバイバルプラン」です。
これが成功した理由は部門横断のチームを作っただけではなく、様々な分野で多様なメンバーで構成し、このチームの存在目的自体に、取り組む課題を当てはめ社長自ら全社にプレゼンしたことが挙げられます。
要は社長の責任においてメンバーの部門のしがらみを取り払い、自分たちが考えるやりたいことをゴール設定、そこにたどり着くまでの目標設定を自ら行う仕組みを作ったことで、問題解決を自分ごととしたためです。

何が大事なのか、チームづくりは永遠に続く

中小企業でここまで徹底するのは難しいかもしれませんが、今いるメンバーの強みを理解し、このメンバーで何を達成するのか会社の目指すビジョンを共有し、目標は上意下達ではなく、達成する姿を自分たちで決めて自分たちで決めたことに向かっていく仕組みをつくることが重要であると思いました。

この日野自動車の報告書はもっとたくさんのことが書いてあって、「みんなでクルマをつくっていないこと」だけでも、もっとたくさんの要素が書かれています。全部共感したのですが、ここまで書くだけでも文字数をオーバーしてしまったので、これくらいにしておきます。

どちらにしても組織で何か問題が起きる時は、組織の大きさは関係なく根本は同じだということがわかりました。
しっかり目標達成できるチームづくりについて伝えていきたいと思います!

次回は「世の中の変化に取り残されていること」について書いてみたいと思います。得意な昭和です(笑)

セミナーも9月から継続的に実施していきます。どうぞよろしくお願いします。


いいなと思ったら応援しよう!