アフリカビジネスモデル図解vol.09「TIZETI/ナイジェリア発・ソーラーパネルで格安高速Wi-Fiを可能に」
アフリカで会社とNPO経営中、ナイケルこと内藤獅友(Naikel0311)です。
アフリカビジネスモデル図解とは、アフリカ歴6年目、会社とNPOを経営している僕が、アフリカの主にスタートアップを中心に、ビジネスモデルを図解化し、そのユニークかつビジョナリーなイケてるアフリカ企業をご紹介するシリーズです。
第九回は「TIZETI」というナイジェリア発のスタートアップ企業です。
ここに全てまとめたマガジンがございます。現在、最新号のみ定期購読者様あるいはマガジン購読者様限定公開となっております。それ以前のは、現在は無料公開中となっております。
尚、この図解は「チャーリーさんの図解ツール」と「いらすとや」を利用して作っております。ありがとうございます。
TIZETI創業者Kendall Ananyi
どうも、ナイケルです。さてさて、始まりました「アフリカビジネスモデル図解シリーズ」。今回ピックアップした企業は、またもやナイジェリア発です!
アシスタントのベナン出身ケビンだよ!やっぱりナイジェリアはアフリカ最大の人口を誇る(約1億8500万人)から、取り上げる母数もそりゃ多くなるよな。
理解してくれて何より!ナイジェリアと言えば、最大規模のGDP、最大の石油産出量と天然ガス埋蔵量ということで、資源にも恵まれ人口も多く、今後一番伸びシロがある国のひとつと言われてるんだ。
一方で、1日当たりの生活費が約200円未満で暮らす貧困層の推定人数では、ナイジェリアは世界最多の8700万人という結果が出ているので、所得格差はかなり広がっているとも言えるね。
そうなのだよ。今後の経済や教育の中心産業でもあるインターネット業界でみても、30%ほどの人たちしか使えていないので、これからの時代、ここの比率をあげていくことが、国としても大事な課題となっているんだ。
だ、だれだ貴様は!!!!!
毎度口が悪いよ、ケビン。
彼が今回紹介するナイジェリア発スタートアップ「TIZETI」創業者のKendall Ananyiさんだよ。
驚かせてごめんよ。私がKendall Ananyiだ。Kenとでも呼んでくれ。思わず会話に割り込んじゃったけど、まさにTIZETIは、インターネット関連のスタートアップなんだよ。
なんだ〜。ビックリして損しちゃったじゃないか。Kenさんよろしく!
インターネット関連のスタートアップは、世界にも腐る程あると思うんだけど、Kenさんの会社はどんな特徴を持っているんだい?
TIZETIは、国民全員に高速インターネットを格安で提供できるインフラを整えることがビジョンなんだ。
例えば、これまでナイジェリアのインターネット利用の平均価格は、20から30GBを6000円くらいで提供していた。聞いたら日本よりも値段が高いみたいじゃないか。これでは富裕層しか自由にネットが使えず、どんどん情報格差や経済格差が広がる一方だ。
TIZETIの提供するインターネットは月額30ドル。そして使い放題で従来よりも安定して速いインターネット回線を提供している。すでに7000以上のWi-Fiスポットを設置し、15万人以上がうちのサービスを使っているよ。
15万人!!しかも従来のサービスの半分の価格で使い放題って・・・
Kenさん、あんたさてはビジネスセンスが無いな!潰れちゃうよ!!
ふっふっふ。ご安心あれ。(コイツ態度悪いな)
なぜこの金額で提供できるかを説明しよう。ポイントは2つある。
1つ目は、Wi-Fiの基地局を建てる際に、地主から土地を買ったり借りたりすることが大きなコストになる。だが、私たちは彼らに無償で高速Wi-Fiを使わせる代わりに、格安で電波塔を建てさせてもらっている。
2つ目に、従来のWi-Fi基地局は、電気代などの維持費がめちゃくちゃかかるんだ。これを我々は太陽光パネル搭載の基地局を開発し、大幅に維持費のコストダウンに成功させたのだ。(キラーン)
な、なんだってー!!!
Kenさん、あんたはスタートアップの神様だ!!!
ありがとう。(都合の良いやつだな)
TIZETIは2012年に設立したのだけれど、その時は普通のインターネットプラバイド事業をやる会社だったんだ。でもさっき伝えた通り、ナイジェリア含むアフリカ全土のネット業界の課題は、「大幅なコスト削減」「安定的な高速Wi-Fi」だと気づいたから、ビジネスモデルを組み直して、2014年からこのやり方にシフトチェンジしたんだ。
最初は大変だったけれど、徐々にビジョンとモデル、功績が認められて、昨年までに500万ドルの出資を得て、一気に規模を拡大し、とても勢いがついてきた状態だね。
中期目標でいうと、ガーナを皮切りに、アフリカ大陸の経済的上位15都市に進出する。 これらの都市は、アフリカの人口の約10%、つまり約1億2000万人に相当するんだ。まずはここに住む人たちが、高速で格安のWi-Fiを使える環境にして、会社としても収益を多くあげられるようになったら、アフリカ全土への拡大を狙うつもりだよ。
すごいなー!僕が住んでいるベナン共和国のインターネットも、使い放題はまだ5000円ほどだし、残念ながら高速で安定的とは言えない。もっと高速のものだと9000円のプランもあるけれど、日本人の僕ですら高すぎて使おうと思わない。
僕の周りのベナン人は使い放題は高すぎるから、48時間1GB100円のプランを使ってなんとかその制限の中で仕事をしている人が多い。だから、この技術は是非とも入ってきて欲しいね。
TIZETIのビジネスモデルと儲けの仕組み
ではでは!そんな素晴らしいインターネットスタートアップ事業を行うTIZETIだけど、ちゃんと儲かる仕組みになっているのか?お金とサービスの流れをKenさんと一緒にみていきましょう!
おれにもわかりやすく紹介してくれよ、Kenさん!
オーケーオーケー。(お前も頑張ってついてこいよ)
先ほども説明したけれど、まず基地局を建てるために、①地主にネットを無償提供するという約束の元、格安で土地を提供してもらう。
これは初めていうけれど、Facebook社とサービス提携をして、別のインターネットサービスを提供している。Facebook社は、ほとんど利益は得ずに、②顧客情報のビッグデータなどを蓄積する代わりに、我々にサービス提供をしてくれている。(と、内藤調べでは推測した)
TIZETIのネットは、うちのWi-Fiに対応をしている回線を使わなければならないが、Facebookと共同で進めている「Express Wi-Fi」は、Wi-Fi受信さえできれば利用できるので、③顧客は100MBの場合は0.16ドルから、10GBの場合は6.50ドルで、従来よりも低価格で手軽に高速Wi-Fiに繋ぐことができる。
最後にうちの目玉であるプラン、④月額約30ドルの使い放題高速Wi-Fiは、かなり高い継続率で、毎月15万人以上からの売上が立っている。
1人あたりから得る利益は小さいが、パイが大きいからまだまだ市場は取れるし、現在は出資や提携したい銀行や企業も増えてきているから、どんどんこのモデルで突き進んでいくよ。
Kenさん、ありがとう!
少し整理すると、地主に無料Wi-Fiの提供などで導入コストを下げ、ソーラーパネル式基地局で維持コストも下げ、Facebook社の協力で低価格使い放題だけでなく、通信量ごとの低価格Wi-Fiスポットも充実させ、1件あたりの利益は低いけど、日に日に利用者が増えていけば、儲けもしっかり出るモデルになっているね。
競合が対抗するには、維持費コストを抑えられるエコシステムを備えた基地局が必要なので、開発費や初期コスト、さらにFacebook社のような連携を結ばないといけないので、簡単には参入できないのも強みだね。
素晴らしいね!Kenさん!
ということで、早速うちの庭にも基地局作ってくれよ!Wi-Fi使わせてくれたらただで作って良いからさ!
お前んちアパートで庭ないじゃねえか!!
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