イケメンになろうと思った日。
ぼくは、自称イケメンと、かれこれ15年ほど言い続けています。
本当は、自己採点では68点だと思っているので、一般的なイケメンの部類からすると、かなり下の方であるという自覚はあります。
たまに賛同していただける方もいますが、ほとんどの人からは、「自分でいうほどイケメンではないと思うよ?」と、ご意見をいただきます。昔からぼくについているアンチの方も、ぼくがイケメンツイートをするたびに、ご丁寧に批判メッセージをいただきます。
でも、ぼくはイケメンであると言い続けます。
これには、ちょっとした原体験があるのです。
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ぼくは、中学校まではまったくといっていいほどモテなかったです。
中学校のときは、見た目のカッコよさだけでなく、ちょっと不良的であったり、スポーツ万能であれば、モテるチャンスはたくさんありました。
ぼくは、どこにも当てはまらない、いたって普通の男子中学生でした。
もともとは、人を笑わせるのが好きだったのですが、広島での小学校時代でのいじめの経験で、人間不信になってしまっていたので、人の話に合わせたり、適当に相づちをするだけのつまらない人間になってしまっていました。
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そんな、絡んでてもつまらないぼくに、クラスの中心でムードメーカーの女子が、積極的に話しかけてくれました。
「ほら、みてみて〜!新しい筆箱買ったんだよ」
「ねえねえ、今日の給食美味しかったね」
と、なにげない会話を、席も班も一緒じゃないぼくに、たいして面白い返しもできないぼくに、毎日のように声をかけてくれました。
そんなやさしさを受けまくっていたら、その子のことを好きになってしまうのは、長い時間は必要はありませんでした。
当時中学一年生、あと数ヶ月で二年生に進級し、クラス替えがおこなわれてしまう時期でした。
持論ですが、本音を言える友達が少ないときほど、人は変なときに積極性を発揮することがあると思っています。
このときもそうで、なにを思ったか、「学年が変わってしまったら、もう二度と話すチャンスがなくなってしまうかもしれない。じゃあ告白しないと」と、告白をする決意を固めていたのでした。
春休みの期間を利用して、彼女の実家に電話して、とある場所に呼び出しました。我ながら、ものすごい勇気のある行動だなぁと、いまでも賞賛しています。とくに会話力もなかったぼくは、その子がついて早々に、「好きです。付き合ってください」と告白しました。
ご察しのとおり、結果は「ごめんなさい」
イケるとは思っていませんでしたが、「もしかしたら?」とか、「すこしは悩んでくれるかも?」という淡い期待があったので、やはりショックを受けて、なにも言えないでいると、気をつかった彼女は、
「ないごろう(当時のあだ名)は、やさしくていい人だけど、男性としてはみることができない。ごめんね。」
と、ご丁寧にフォローまで入れさせてしまいました。
もう、それ以降は悲しさであまり記憶がありませんが(笑)、とにかくこの「やさしくていい人だけど、男性としてはみることができない」が、ぼくの脳裏にへばりついて、離れません。
男として見られたい。
その子にフラれて、その言葉をもらって、はじめて自分は男らしくありたい、と思うようになりました。
そして極めつけは、その子がしばらくして、誰かと付き合ったという情報を聞いたとき、その相手を聞いてみると、学年でも人気のイケメンタイプの男子でした。
ぼくはいろんな人にモテたいというよりは、まだその子のことが好きだったので、「そうか、イケメンになれば振り向いてくれるかもしれない」と若干まちがったベクトルで自分磨きをしようと決意したのです。
それから、本屋のイケてる雑誌を手に取り、「イケメンになるには」のようなコーナーを読み漁りました。本屋にメモまで持っていって、店員にバレないようにメモを取り、家に帰って復唱までしていました(笑)
とはいえ、中学校では「やさしい面白くない男子」というレッテルがすでに貼られていましたから、ぼくは高校生からイケメンデビューしようと決めていました。
幸い、ぼくが進んだ高校は、一学年20クラス以上ある超マンモス校で、同じ中学の人もいましたが、まず同じクラスになる確率は低かったので、ぼくの中学時代のイメージがバラされる心配も少なかったです。
そして、満を持して2年間かけて研究し、磨いてきたイケメンキャラの自分を、高校生から一気に解放したのです。
すると、入学して数日から、同じクラスととなりのクラスの女子から連絡先を聞かれるようになりました。さらに、バレンタインでは下駄箱に知らない人からのチョコと手紙をもらえました。そして、ラグビー部に所属していましたが、マネージャーから告白されるという、少女ドラマにありがちな展開まで経験しました。
さらにイケメン研究を続けていると、「自分はイケメンじゃないと言っている方が、モテやすい」という傾向も発見しました。さらに、「口数を減らして、なにを考えているかわからないと思わせた方が、ミステリアスでモテる」というやり方も習得しました。
高校時代からは、完全にイケメンキャラになることに成功しました。
そこでぼくが思ったのは、「なりたい自分には、自分が本気でなろうと思えば、かなり近づくことができる」ということです。
でも、途中で気がついたことがあります。
なりたい自分になったとしても、根本の性格は隠しちゃダメ。
ぼくのもともとの性格は、人を笑わせることが好きで、おしゃべりで寂しがりやな人間です。いじめを経て、それを隠してしまっていましたが、イケメンというアイテムを手にして、少しずつ自分を解放できるようになります。
20歳を超えたあたりから、だんだん人工的なイケメンキャラはバレはじめて、「内藤は実はイケメンじゃなくて、おしゃべり大好きキャラだよね」と言われることも増えてきました。
「バレたか!」と思いましたし、結果バレたことで、友達もどんどん増えてきたのでよかったのですが、ぼくは自分を変えることができた、「中学校時代の想い出」を否定したくないので、その日の自分にリスペクトをしめす意味も込めて、「ぼくはイケメンである」と言い続けるようにしているのです。
だから、ぼくは今後も言い続けます。
ぼくは、イケメンである!と。
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