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【読書録】自由研究には向かない殺人 ホーリー·ジャクソン

はじめに

 ずっと気になっていた海外ミステリをやっと読むことができました。約600ページという中々のボリュームで、読み終わるのに大分時間が掛かってしまいました。海外物を読むときあるあるだと思うのですが、登場人物の名前を覚えられなくて、何度も前のページに戻りながら読んだのも時間がかかった理由です。
 
 現代が舞台の海外ミステリははじめてだったので、とても新鮮な気持ちで読めました。今回もまた備忘も兼ねて感想を書きたいと思います。

主人公と一緒に推理を進めている感覚

 本作の主人公はピッパというイギリスの女子校生です。卒業に必要な自由研究の題材に自分が住んでいむ街で起きた殺人事件の再調査を行います。

 物語は完全にピッパの一人称で進みます。自由研究を進めるために事件の関係者にインタビューをしていき、そのたびにレポートにまとめます。レポートにはピッパの考察や感想が書かれているため、一緒に推理を進めている感覚になります。

 インタビュー以外にもSNSから証拠を見つけるなど、高校生が可能な範囲で情報収集を行うため、もしかして自分でもできるのでは?という気になりました。(かなり大胆な調査も行っているので多分実際にはムリです)

イギリスの世間の感覚がわかる

 ピッパは実父をなくしており、現在の父親はナイジェリア人です。このお父さんが底抜けに明るくていいキャラなのですが、初対面の人に白人のピッパが黒人の父を紹介すると嫌な雰囲気になる描写があります。日本でもこの感覚がないわけはないですが、欧米特有の感覚であると感じました。

 イギリスは高校生の年齢で車の免許が取れるようで、主人公や友人たちも当たり前に運転をするのも日本と違い新鮮でした。舞台がイギリスの田舎の町であったことからこその描写であったと思います。イギリスでミステリとなると、どうしてもシャーロックホームズに引っ張られてしまいロンドンを思い浮かべてしまうので、イギリスの田舎の雰囲気を味わえるのも本作の魅力なではないでしょうか。

中盤からの展開がスゴイ!

 取材や調査のデータが集まり、犯人を絞り込むところまで来てからの展開は圧巻でした。集めた情報をボードに貼り付け、推理を進めていくシーンは映画やドラマなど映像作品では当たり前ですが、小説ではっきりと描かれているのは珍しいのではないでしょうか。

 また結末は恐らく途中で予想するのが困難なくらいに意外なものとなっており、文句なしで質の高いミステリです。続編も発売されているので、そちらも早く読みたいと思っています。

 これからは海外ミステリもしっかりとチェックしていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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