クズのコミュニケーション術が意外と感心する件について
突然ですがクイズです。
下記の項目は今回紹介する、ある人物のコミュニケーション術ですが、一体、ある人物とは誰だと思いますか?
なにかを言われても反論しない
相手からの素直な意見を取り入れる
他人に余計なことや余計な頼み事をしない
相手が意見しやすいようにあえて隙をつくる
「相手の迷惑になっていないか?」を考える
意見を求められた場合は思っていることを正直に言う
自分に対する素直な意見を得るために笑顔を絶やさない
至極まっとうなものものから、「なるほど」と感じるようなものもあるのではないでしょうか?
実はこれ、「芸能界イチのクズ」と呼ばれる蛭子能収さんのコミュニケーション術なんです。
蛭子さんといえば「飄々としながら自由気ままにふるまい、ヘラヘラ笑っているおじさん」のようなイメージですが、実はかなり戦略的にコミュニケーションを行っているのです。
詳しくは後述していますが、例えば蛭子さんがヘラヘラと笑っているのにも隠された深い意図があります。あれは、戦略的なコミュニケーション術なのです。
今回は下記の記事に引き続き、競争が激しい芸能界を生き残ってきた蛭子さんのコミュニケーション術を紹介していきます。読み終わるころには、蛭子さんに対するイメージがガラッと変わっていますよ。
今回の参考書籍
今回の教養は、株式会社KADOKAWAから出版されている書籍、『ひとりぼっちを笑うな』を題材に執筆しています。
著者は漫画家やタレント、エッセイストとしてさまざまな世界で活躍している蛭子 能収さんです。蛭子さんといえば「芸能界一のクズ」や「サイコパス」などと言われるように、歯に衣着せぬ言動で話題を呼ぶことが多いですよね。
本書では、そんな蛭子 能収さんだからこそ語れる、「人間関係」や「友達」について赤裸々に綴られています。本書を読めば、蛭子さんに対するイメージが必ず変わりますよ。
本書をタダで読むには?
本書は、Amazonが提供するオーディオブック聴き放題サービス「Audible」の無料体験を利用することで、タダで本書を聴くことができます。
ぜひ、「ひとりぼっち」の方はお試しください。
コミュニケーションの極意は「何もしない勇気」
一時期、人間関係に関する悩みへのアンサーとして、アドラー心理学の「嫌われる勇気」が流行りました。
しかし、蛭子さんのアンサーは違います。
蛭子さんのアンサーをアドラー心理学風にいうと、「なにもしない勇気」です。蛭子さんは、他人に嫌われず、好かれるためには「他人に余計なことをしない」ことが大事だと語っています。
「他人に余計なことをしない」とはどのようなことでしょうか?
具体的には下記のように綴っています。
このように、蛭子さんのコミュニケーションに対する考え方は「なにもしない勇気」とでも言い表せるのではないでしょうか。
積極的に自分から相手に干渉しないことで、自分の印象をプラスにもマイナスにももっていかないようにしているのです。
蛭子さんは挨拶もしない
蛭子さんは「何もしない勇気」を実践するために、芸能界を生き残るためには必須とでもいえる「先輩芸能人へのあいさつ」すらしていません。
私は芸能界に詳しいわけではありませんが、芸能界は上下関係が厳しく、楽屋あいさつなどを頻繁に行っているイメージがあります。そしてこれは実際にも行われていることであり、本書でも下記のように綴られています。
このように、芸能界では「後輩は先輩にあいさつをする」というのが当たり前であり、礼儀が重んじられている世界のようです。
しかし、前述したように蛭子さんはこの「先輩芸能人にあいさつをするのは当たり前」という習慣すら無視しています。
蛭子さんがあいさつすらしない理由
蛭子さんがあいさつすらしない理由は、「相手の迷惑になっているかもしれない」と考えているためです。
一般的にはあいさつが相手の迷惑になることは多くはありませんが、芸能界という特殊な世界においては、たしかに迷惑になる可能性があります。
大御所と呼ばれるクラスの芸能人からしてみると、共演する演者さんはほぼ全員が後輩というケースは珍しくありません。
つまり、大御所になるほど楽屋にはあいさつをしに人がひっきりなしにくるため、「あいさつとか正直めんどいからもういいよ」と感じている可能性が高いでしょう。
蛭子さんは、このような考えから明石家さんまさんやビートたけしさん、所ジョージさん、タモリさんなど、超大御所芸能人が相手でもほとんどあいさつにいっていないほどです。
またあいさつに行かないのは蛭子さんだけではありません。
お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーさんは、一度どこかで会ったことがある先輩芸能人に対しては、それ以降わざわざあいさつをしに行かないといいます。
そして、その理由を下記のように語っています。
「相手の迷惑になっていないか?」を考える
「余計なことをしない」という点において重要なことは、「それは相手の迷惑になっていないか?」を考えることです。
例えばあいさつについては一般的に、
「あいさつはするべきだ」
「あいさつはしなければならない」
「あいさつをすることはいいことだ」
と考えられていますよね。もちろん、会社や学校など一般的な社会においてはこの認識で問題ないでしょう。
しかし、蛭子さんのように「芸能界」という特殊な世界にいる場合は、改めて考えなければなりません。「あいさつはいいことだ」と思考停止で思い込むのではなく、
「芸能界においてあいさつをするのは本当にいいことなのだろうか?」
「先輩は毎回のあいさつを必要としているのだろうか?」
「そもそもなぜあいさつをするべきなのだろうか?」
といったように、時と場合に応じて「それは相手の迷惑になっていないか?」を考えることが重要です。
これは「あいさつと芸能界」というケースだけではなく、あらゆる状況において考えることが求められます。
自分がよかれと思ってやっていることや、常識として当たり前だと考えられていることでも、自分が置かれている状況によってはそれが相手にとって迷惑になっている可能性がある点に注意しましょう。
意見を求められたら正直に言う
蛭子さんは「なにかを言われても反論もしません。それが他人に好かれるなによりのコツ」といいます。
しかし、この言葉をそのまま受け取ると、
「それじゃ、パシリみたいにいいように扱われて終わりじゃん」
と考える方もいるかと思います。
たしかに、ただ単に他人のいうことに肯定し、従っていればほんとうの意味で好かれることはないでしょう。自分の意見がない人は嫌われることはありませんが、好かれることもありません。いてもいなくても変わらないからです。
ですが、蛭子さんはただ単に人に従うわけではありません。蛭子さんは「意見を求められたときは、思っていることは正直にいう」のです。
「毒舌」ではなく「正直」
蛭子さんは毒舌のように思われていますが、実際は「毒舌」なのではなく「正直」なだけなのです。
ただここで重要なのは、自分が思っていることを言うときは「自分の意見を求められたときに限る」ということ。
蛭子さんのスタンスは「他人に余計なことをしない」という点において終始一貫しています。だからこそ、意見を求められていないときは「意見を言う」という余計なことをしません。
ただ、意見を求められたときは相手に忖度やご機嫌取りをせずに、正直に思ったことを言うのです。
これこそ、ストレスを溜めずにコミュニケーションをする極意ではないでしょうか。
あの「ヘラヘラ笑い」は戦略的コミュニケーション術
蛭子さんといえばいつもヘラヘラ笑っているというイメージが強くありませんか?
実際、本書でも下記のように「ヘラヘラ笑いすぎ」と批判されることが多いと綴られています。
しかし実は、蛭子さんのあの「ヘラヘラ笑い」は戦略的なコミュニケーション術だと明かしているのです。
蛭子さんはどのような意図があって、いつも意味もなく笑ったり、飄々と笑っているのでしょうか?
あえて「ツッコミどころ」をつくる
蛭子さんは、自分がヘラヘラと笑う理由について下記のように綴っています。
つまり、あの「ヘラヘラ笑い」に隠された意図は、「あえてツッコミどころをつくる」という点にあります。
そして、あえて批判されやすいように持っていく理由は、相手が自分に意見しやすい雰囲気をつくるためだといいます。
「笑う門には福来る」
そして、そのために効果的なのが「笑うこと」なのです。
あなたは普段、表情を意識してコミュニケーションをしていますか?
例えば商談をするにしても、無表情のまま話すよりも朗らかな笑顔で語りかけるほうが、相手からのイメージはあがるはずです。もちろん、ケースバイケースではありますが、笑顔を意識してコミュニケーションをすることのメリットは大きいでしょう。
また、おそらく多くの人は「表情は感情にあわせて変わるもの」だと考えていますが、実際はその逆もあります。つまり「感情は表情にあわせて変わる」こともあるのです。
オカルトのように感じる方もいるかもしれませんが、これは科学的にも証明されています。
割り箸を横に噛んで笑顔の表情をキープしたままマンガを読んだ被験者は、ただ割り箸をくわえてマンガを読んだだけの被験者よりも、マンガを面白く感じたという実験が報告されているのです。
また、箸を横に噛んで笑顔をつくるために必要な筋肉(大頬骨筋や眼輪筋)を動かし、作り笑顔をするだけで脳のドーパミン系の神経活動が活発になり、ポジティブな感情を誘発することも明らかになっています。
私も友達が少なく、日常的に笑うことが少ないため気づいたら無表情になっており、表情筋が凝り固まっています。そこで、楽しくなくても笑顔を意識して表情筋を動かすと、自然と気持ちが落ち着き、気分がよくなることに気が付きました。
それからは日常的に笑顔でいることを意識していますが、仕事に集中していて顔が険しくなっていることに気づいたときは、急にニカッと笑顔になるため、近くに人がいると不気味がられます。
相手からの素直な意見を取り入れる
しかし、そもそもなぜ蛭子さんは「相手が意見しやすい雰囲気」をつくるのでしょうか?
それは、自分に対する正直な意見を得るためです。
人は大人になるにつれて、自分に対して客観的な意見や分析をしてくれる人は減りますし、たとえ意見をしてくれたとしてもそれを素直に受け入れられなくなる傾向があります。
また、自分が上の立場になればなるほどお世辞やキレイゴトを並べる大人が近づいてくるため、さらに自分に対する客観的な意見を得ることが難しくなります。
しかし蛭子さんは、あえて批判しやすいように隙をつくり、自分に対する正直な意見を貪欲に求めているのです。
「自分のことをどう思っているか」なんて他人にわざわざ聞く勇気がある人は多くはないかと思います。また、聞けたとしてもその人が本当に思っていることを言うかどうかもわかりません。
利害関係や上下関係があればなおさらです。だからこそ、あえて隙をみせて意見を言いやすい雰囲気をつくることが重要なのです。
「素直な意見」を取り入れられるか否か
とはいえ、「自分に対する素直な意見」というのは、時として残酷なこともあります。
そして、その残酷な意見を聞きたくないがために、人に意見を求めないという人も少なくありません。勇気を出して素直な意見を求めた結果、ボロクソに言われる可能性があれば誰だって怖いですよね。
しかし成長するには、ときには目を背けたくなるような意見にも耳を貸す必要があります。そして、その意見を取り入れられるかどうかがその人の今後を左右するのです。
蛭子さんもこの点について、下記のように綴っています。
まとめ
いかがでしょうか?
蛭子さんに対するイメージがガラッと変わりませんでしたか?
私も、まさかあの蛭子さんが「相手からの素直な意見」というフィードバックを得るために、戦略的にヘラヘラ笑っているとは思ってもいませんでした。
競争が激しい芸能界を長年生き残っているだけあって、やはりタダモノではないということですね。
それでは、ここまでみてきた蛭子さんのコミュニケーション術をおさらいしてみましょう。
他人に余計なことや余計な頼み事をしない
なにかを言われても反論しない
「相手の迷惑になっていないか?」を考える
意見を求められた場合は思っていることを正直に言う
ツッコみやすいようにあえて隙をつくる
自分に対する正直な意見を得るために笑顔を絶やさない
相手からの素直な意見を取り入れる
他にも、蛭子さんが語るコミュニケーションについて下記の記事でも解説しています。
また、「人間関係・コミュニケーションの教養」では、下記の教養もよくみられています。
もしこの記事を読んで、
もっと知りたい
おもしろい
蛭子さんに対するイメージが変わった
など感じていただけたら、スキ・フォローしていただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?