お悩み相談その007「人生の一番大事な場面で逮捕されたクレーマー」
本日の相談
本日のお悩みはこちらです。
===
クレーマーが人生の一番大事な場面で逮捕されました。
私は近所の書店によく行きます。先日もゲームの攻略本を買いに行ったのですが、見かけないおっさんが一人で店をうろうろしていました。最初は大人しく本を探していましたがどうやらお目当ての本がなかったらしく、近くにいた女性店員さんにクレームをつけ始めました。
「ここは○上春樹の新作置いてないのかね」「ちゃんとした書店なら、一流作家の新作は揃えとるもんだがね」
女性店員さんはその作家さんを知らなかったらしく、「○上春樹さんですか……?」と聞き返していました。どうやらそれがおっさんの逆鱗に触れたようです。
「書店に勤めてるくせに知らんのか!?」「○上春樹は日本文学の顔だがね!」「そんなこともわからんで書店で働くとは情けないでよ!!」おっさんは店内に響き渡るほどの大声で叫び続け、女性店員さんは泣きそうな顔で謝っていました。バックヤードに男性店員の姿が見えましたが、こちらを見ずに在庫整理か何かをしていました。
これだけなら面倒なクレーマーで済んだのですが、事件はこの後起こりました。おっさんが女性店員の腕を掴んで引っ張ったのです。「手抜きせずもっとよく探さんとあかんでね!!こっちきて探せ!!」女性店員さんは腕を引っ張られて転倒し、本棚の角に腕をぶつけて出血を伴う怪我をしてしまいました。店内は騒ぎになって、裏にいた男性店員が駆けつけておっさんの身柄を押さえました。「おっさん何しとんのかな。警察呼ぶでね。これは立派な傷害罪でよ!」
おっさんは真っ青になりました。さすがにいい歳なので、自分のしでかしてしまった事の重さは理解したようです。何か言い訳を叫びながら暴れて逃げようとしましたが、店員とお客さんが連携しておっさんを逃がさないようにしました。やがておっさんは泣きながら語り始めました。
「警察は勘弁してほしいでよ。来週娘の結婚式があるでね。大事に育ててきた大切な一人娘なんでね」
招待状や式次第なども持っていたので、どうやら結婚式は本当の話のようです。しかし男性店員はおっさんの話に耳を貸さずキレ散らかしました。
「お前の事情なんか関係ないがね!娘のことは大事に思っとるのに、なんでその気持ちを○○ちゃん(女性店員)に少しでも分けてやれなんだ!」男性店員は憤慨しておっさんに怒声を浴びせ続けました。結局男性店員は警察を呼び、おっさんは泣きながら連行されていきました。けがをした女性店員さんは涙ぐんで、おっさんがかわいそうだから警察は勘弁してあげたいと繰り返していました。男性店員は女性店員の背中をさすりながら、大丈夫、辛かったよね、おれがついてるよ的なことを言ってました。おっさんがどうなるかはわかりませんが、逮捕されたら娘さんの結婚式には出席できないでしょう。
おっさんには同情しますが、大事な結婚式を控えているのにトラブルを起こすのもどうかと思ってしまいます。そもそもクレームをつけて人に迷惑をかけるのに、いざとなると自分の都合を主張して許してもらおうとするのはむしがよすぎるのではないでしょうか。
でも女性店員さんは警察に通報する気まではなかったようなので、このことを気に病んでしまわないか心配です。あの男性店員は支えになってあげられるのでしょうか。
こういう時自分が店員の立場だったら、おっさんを通報すべきでしょうか?それとも温情をかけて通報しないべきだと思いますか?
===
今回の三行アドバイス
当事者の価値観次第ですが、自分の後味が悪くなって気に病んでしまうようなら温情をかけてもいいかもしれません。
ただしその場合でも、二度とクレームをつけない、店への出入りを禁止する等の誓約書を交わしておくといいでしょう。