【卒業論文】タイムチケットで200枚以上チケットを売った撮影のコツとノウハウをご紹介します。
個人のスキルや「できること」を30分単位で売り買いするタイムチケットというプラットホームを知ったのは、フリーランスになってすぐの2016年秋のこと。もともとサービス自体は2014年7月にスタートしたそうですから、まぁスタートとしては遅めだったかもしれません。
チケット販売を登録した理由は単純です。本業はライターですが、カメラマンも出来るライターになりたかったんです。人物撮影が上手になりたい。30分単位というのも手軽で面白い。私は、「あなたのプロフィール写真撮影します」というタイムチケットを始めました。
最初は全然売れなかったチケットも、ちょっとした工夫を重ねることで売れ出し、タイムチケットアワード2017で最多4部門受賞をするほどに成長しました。タイムチケットアワード2018では2部門受賞させてもらい、これまでチケットの販売枚数が200枚を超え、およそ60万円の収入を得ています。
いま、ここに書き記すのは約2年にわたって続けてきた、タイムチケットに関する私の経験則です。これが正解というつもりは毛頭ないし、自分がカメラマンとして“出来る”とは思っていませんが、これからタイムチケットを始めようという人や売れ行きが伸び悩んでいる人に向けて、私なりにノウハウを残したいと思います。
【目次】
1.まずはプロフィールを充実させる。
2.何ができるのか、何ができないのか。
3.私のチケットが売れ出したきっかけ。
4.撮影で心がけていたたった5つのこと。
5.レビュー登録で人は動く。
6.タイムチケットで学んだこととこれからのこと。
1.まずはプロフィールを充実させる。
SNSで個人のブランディング力が試される昨今ですが、タイムチケットでもそれは言えること。面識がない他人に自分のスキルを買ってもらうためには、自分が何者で、このタイムチケットではこんなことができるのだ!ということを明記しなければ始まりません。
私の場合はこうです。
ツイッターやfacebookと同じように、個人のプロフィールを書いています。タイムチケットを購入する方の多くは、購入数の多い人気のチケットから内容をチェックしていきますが、最終的な決め手の一つとなるのはそのチケットを販売する人の人となりです。
過去にご購入いただいた方に、「私も同じ大学出身なので選びました」「世界一周されていたので、その話を聞きたくて」などと言われたことがあります。開示できる情報は出来る限り書いた方が得策だと思います。
また、チケットの内容についても十分すぎるほど書いた方がいいと思います。どんなことができるのか、どんな撮影になるのか...。購入者ができるだけ撮影のイメージができるぐらいまで書き込みました。
と、言うのも、質問が多いんですね(笑)。「全データもらえますか?」「複数人での撮影は料金はどうなりますか?」などなど。共有できる質問事項はあらかじめ明記しておいた方が双方にとって有意義なので、事前に書き込むことをオススメします。
私は質問が増えるたびにプロフィールを更新していきました。ブラッシュアップさせながら、より分かりやすいプロフィールを目指しましょう。
2.何ができるのか、何ができないのか。
自分のスキルや「できること」を30分単位で売り買いするわけなので、何ができるのか、何ができないのかを明確にしましょう。これは簡単に見えて結構難しいことです。
私のチケットは撮影をするので、「写真/カメラ」部門にカテゴライズされていました。他に撮影のチケットを販売している人と比べてみると、私のチケットの特徴は、
⑴30分で撮影できること(1時間〜単位の方が多い)
⑵全データをお渡しすること(セレクトした写真の方が多い)
⑶敢えて用途をマッチングアプリに特化していない(間口は広めにした)
⑷レタッチはしない(オプションでレタッチをする人が多い)
ということだと思います。「サクッと写真を撮りたいけれど、自撮り写真は嫌だし、知人に頼むのも気がひける...だけどプロのカメラマンに外での写真撮影を頼むと数万円の費用がかかる...」。そんな思いを持った人に私のチケットはうまくニーズがマッチしたなと感じています。
何ができて、何ができないのか。これを明確にすることで(活動の中で見出していくことで)、自分なりの売れるコツやニーズが分かってくると思います。タイムチケットの中でも、「あなたの得意なことチケットにします」なんていうすごいチケットもあったりするので、活用してみてもいいかもしれません。
3.私のチケットが売れ出したきっかけ。
私は、チケットを売り出した当初からばんばんチケットが売れたわけではありません。最初の3か月ほどは売り上げゼロの日々で、価格を30分1500円とほぼボランティア状態の格安チケットにしていました。
ある日、一人の女性が私のタイムチケットを買ってくれました。パーソナルスタイリストをされている方で、個人のホームページに使う写真がほしいという要望でした。着替えもあったので、1時間(3000円)での撮影。緊張しつつも、確か400カットほど撮影した記憶があります。レビューも残してくださって、満足された様子でした。数ヶ月経ってから、再びご利用いただく機会にも恵まれました。
そこからぽつり、ぽつりと、定期的に売れていくようになりました。そう、とにかく最初の1枚が売れれば、大きな一歩だと思います。
そして、さらに大きな転換点となったのが、クーポンキャンペーンでした。タイムチケットでは、サイト内で利用できるポイント配布や、チケット半額などいろいろなキャンペーンがありますが、私はキャンペーンでバズりました。
いや、バズるというと聞こえはいいんですが、要するにキャパオーバーになるほど、申し込みが殺到したんです。先述の通り、私は当初ほぼボランティア状態で活動していたので、「8000円以下のチケット半額」(チケット販売者の利益はそのままで、差額は運営者負担)のキャンペーンでは、まぁ購入者からすると「タダ」みたいなもの。ひと晩で数十件の問い合わせと購入申請が来たのです。
さすがに全てをさばききれず、撮影をお断りした方が多数いらっしゃいました。運営側からは直接、チケット販売者にクーポンを事前に告知しなかったことを謝罪され、その後は枚数制限を設けることや、過剰な購入を防ぐために価格の引き上げを提案されました。
最安値1500円だったチケットですが、最終的には5000円まで段階的に引き上げさせてもらいました。自分のスケジュール、活動頻度、価格は色々と試行錯誤しながら、ベストを見つけるのがいいと思います。
4.撮影で心がけていたたった5つのこと
次に撮影をする際に心がけていたことをお伝えします。
人物撮影の際に重要だなと思うのは、撮影者と被写体の信頼関係です。彼氏が撮った写真に写る彼女がめちゃくちゃ可愛く見えるのと同じように、撮影者と被写体の関係性が写真に出てしまいます。
撮影する私は、チケット購入者(被写体)にとっては、あくまで「他人」ですが、「このカメラマンに撮ってもらいたい」「楽しい時間を共有したい」というポジティブで気持ち良く撮影できるよう、できることは頑張りました。
そのためにしたことを箇条書きで落とし込むと、
⑴用途を聞くこと
何のための写真なのか。ビジネス用?プライベート用?SNS用ならどんなSNS?ホームページならどんなサイズ?タテの写真がいい?ヨコの写真がいい?etc...
⑵イメージを聞くこと
どんなイメージで撮ってほしいか。爽やかに?カッコよくきめた感じ?いかにもプロフィール写真な感じ?カメラ好きな友達が撮影した感じ?上半身のみ?全身も?etc...
⑶撮った写真を見せて意見を聞くこと
イメージの共有が大体できているか。顔の右側の方が好き?左側の方が好き?腕組んで撮ってみたらこうでしたが、どうですか?視点を上げて撮ってみたらこうでしたが、どうですか?この写真とこの写真だとどちらが理想ですか?etc...
⑷積極的に話しかけてコミュニケーションをとること
撮影される人の緊張を解きほぐす。ご出身はどちら?お仕事は?かわいい!かっこいい!もっと顎引いて!好きな人に呼ばれて振り返ってみた感じで!etc...
⑸迅速に対応すること
データはgigafile便で同日中もしくは2日以内に提供する。
この5つに集約されます。
撮影場所の選定、光の使い方、カメラの設定、ポージングなど「技術」に関するメソットは色々と世の中に出回っていますが、撮影をする「環境」に関するメソットはそこまでないかなと思い、書きました。ぜひ参考にしてみてください。
5.レビュー登録で人は動く
タイムチケットはレビューが登録できます。mixiの紹介文を思い出しましたが(笑)、基本的にレビューが多いと信頼度が上がります。私はチケットを購入してくださった方に写真を納品した際、「レビュー登録をしてくださると幸いです」と一言書き添えました。
「いい体験だった」と思ってくださった方がレビューを書いてくださり、ほぼ99%ポジティブな評価です(過去に1人だけ「マッチングアプリの撮影を依頼したが効果がなかった」と書かれたことがありますが、正直そこまで責任は持てませんw)。
レビューの効果は侮れません。類似チケット比べる時、チケットを購入する際の一つの決め手になりますので、できるだけ購入してくださった方にはレビューを書いてもらいましょう。自分自身のチケットの振り返りにも役立ちます。
6.タイムチケットで学んだこととこれからのこと
これまでの約2年でタイムチケットを通じ、一度きりの方もリピーターの方も合わせてのべ200人以上の方とお会いしました。
赤ちゃんがお腹にいる方のマタニティフォトを撮ったこと。新しくビジネスを始められる方の看板プロフィールを撮ったこと。マッチングアプリで少しでも成果を残せるような奇跡の一枚を撮ったこと...。振り返ればいろんなご要望をいただき、一瞬一瞬を切り撮るという貴重な経験をさせてもらいました。
ちょっと変な人もいましたが(一通り撮影を終えた後、「自分が縛られている写真を今度撮って欲しい」と突如言ってきた中年のマゾ男性がいました...。他のチケットでもトラブルを起こしているようで利用停止になっていますが)、総じてトラブルもなく、撮影を続けてこられたことに感謝します。
また、タイムチケットアワード2017、2018と2年連続で賞を受賞させていただいたことも大きくて。フリーランスとしてある種の自信をつけてもらったように思います。タイムチケットは売り上げの一部を寄付に回すことができるので、社会貢献をしているという意識ができて、それも良かったですね。(私はコモンビートという団体に寄付してきました)
で、タイムチケットに登録してから2年経ったのですが、そろそろ「卒業」を考えています。
「え!偉そうに語っておいて、辞めるんかい!」と突っ込まれそうですが(笑)、ある程度自分のなかでメソットができてきたのと同時に、毎回の撮影に「発見」がなくなってきてしまって。スキルの向上という意味だと他に色々挑戦してみたいと思い始めたのです。
確かに求められる以上続けるべきなのかもしれませんが、少し自分の中で立ち位置を整理したいし、勉強し直したいという思いもあり、一旦、タイムチケットをお休みすることにしました。
そう、ここにこんなに長々書いたのは、自分なりの卒業論文です。
チケットを購入してくださった方々、タイムチケットという一つのプラットホームに感謝の気持ちを込めて。これからタイムチケットを始めようという方にエールを込めて。
五月女菜穂