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京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(2月6日木)
京都市立芸術大学は、京都駅から徒歩6~7分という好立地にある。2023年10月に新しい校舎としてここに移転してきたところなので、まだまだ美しいたたずまいだ。
ギャラリーでは、無料で誰でも入場できる展覧会がたくさん企画されている。
Dessine-Moi Un Mouton ~羊の絵を描いてよ~ 宇宙用の絵画たち
絵画とは見る人の内で浮くものですが、本来あるべき姿での鑑賞が達成されることは少ないように見受けられます。反って、支持体を甘受または愛好し、壁に依りかかることを善しとする姿勢までもが常態化しています。イリュージョンを共有する装置としては未だ演劇を追い抜けませんが、「描く+絵具」という身体と物質を視覚上で統合し、イメージを浮かしめる絵画の本質的有様が実現されないのは不本意の極みです。
かつて、非物質化されたものが最も大切であると説いた者がいましたが、極めて的確な先行した絵画論であったと言えます。 「Lʼessentiel est invisible pour les yeux. 本当に大切なものは目に見えない*」本展覧会では、非物質のレイヤーが絵画を支えていることを指摘する関口、浮いた状態で完成することを見越した作品を作り続ける和田の2作家に着目し、美術における宇宙時代の遅すぎた到来を寿ぎ、未来へ向けた議論の場を生成します。
(テキスト:和田真由子)
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ダイヤモンドから夢を放つペルセウス
本展覧会は、美術史家・岡田温司著『半透明の美学』をきっかけとして、現代(とくにコロナ禍を経た今)における絵画の意味を再考しようと構想されたものです。絵画という画像の形式は「媒介性」にこそ本質があるのだとしたら、「鏡」、「痕跡」、「灰色」、「2次元と3次元」、「実在と存在」のあいだ、そして「天使」──さまざまなテーマが「半透明」というキーワードによって貫かれていると言えます。ひいては、視覚というもの自体の「媒介性」が、絵画という「半透明」なイメージのありかたと深く関係しているのかもしれません。
スマートフォンやパソコンの画面を介して遠く離れた人や場所のことを見るように、普段は意識していなくても、私たちは必ず何かを通して見ています。ものを “直接” 見ているということはありません。それは(あるいは比喩として)「窓」や「眼鏡」などを通して見るといったことだけではなく、そもそも私たち自身の「目」を介して見ているからです。ならば、「見る」ということについて改めて考えることは、私たち自身について考えることに他なりません。
絵画を見るとき、問題になるのは私たちの視点です。すなわち、知識や経験など「見かた」に影響を及ぼしているもの──たとえば、自分が生まれ育った時代や地域について顧みることにもなるでしょう。本展のタイトルは、島谷ひとみの楽曲『Perseus-ペルセウス-』から引用しました。平成という時代を象徴するような歌詞であると同時に、まなざしの対象を石化させてしまうというメドゥーサを退治したペルセウスが、視覚という幻想の媒体として称揚する「半透明」なそれは、絵画そのものを象徴しているのかもしれません。
(テキスト:飯盛希/美術批評家)
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ギャラリーを何周もして、解説文を何回読んでも、作品について深く理解できないのが正直なところ。
ただ、私好みの色使いがされている作品が並んでいて、とても居心地がいい場所であることは間違いない。
ギャラリーめぐりを楽しんでいる私がふっと立ち寄っても歓迎してくれる。こういう場所のあることがありがたい。
冒頭の写真は、「ダイヤモンドから夢を放つペルセウス」に展示されていた作品。私の家にこうして並んでいたら明るい気分になれるだろうなと思って撮った。
2月7日から11日まで、学生さんの作品展も開催される。
以前に何回か見に行って、若者のパワーに感心した。今回は日程が合わなくて残念。
京都駅から歩いて行けるので、この付近を歩いている方、鑑賞されてはいかがでしょうか。
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