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現実の境界線 - 2020年11月13日のニュースレター

私は普段あまり夢を見る方ではないのですが
旅行などでいつもと違う場所で眠る時には緊張しているのか、
夢を見ることが多くなります。

夢を見る時には、時代が変わっていたり、年齢が変わっていたり
相手との関係性が変わっていたりとなぜその設定に?と
自分でも不思議に思うときがあります。

夢の中では、時空を越えることも五感が変わることも当たり前に起こって
むしろそちらが自然で普通のことに思えてきます。

めったに夢を見ないので、目覚めたときはそれが現実に起こったことなのかただの妄想だったのか、区別がつきません。

そんなときに現実とはなんだろう、とぼんやり考えます。
見ている景色も、感じている温度も
全てが脳に送られる信号でしかないのであれば
「確かな現実」だと思っているこの世界も、ただの電子信号なのではないかと思うのです。


今日ピックアップするニュースは
最近増えてきた、バーチャルヒューマンに関するニュースです。

CGやAIを使って、リアルな人間そっくりに作られた
仮想アイドルや仮想インスタグラマーが活躍し始めていますが
「現実」には存在しない人々にはいったいどんな魅力があるのでしょうか?


【本日のピックアップニュース】
それぞれの記事をご覧ください。


バーチャルヒューマンの先駆けといえば、インスタグラマーでモデルで歌手でもあるLil Miquela(リル・ミケーラ)さんです。

謎の新星お洒落インスタグラマー《Lil Miquela》が実はCGってホント!?

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2016年にインスタグラムに登場したミケーラさんは、
2017年にSpotifyでシンガーとしてデビューし2018年頃までは、
リアルな存在なのかCGなのか明らかにされていませんでした。

現在では、テックカルチャー企業のBrudが作り出した架空の人物だと
公表されています。

デビュー後すぐにフォロワー数が100万人を超え(現在は290万人に届きそうです)、プラダ、カルバン・クライン、ギャラクシー、Samsungなど、様々な企業と協業してきました。

そして、2018年にはTime誌の「インターネットで最も影響力のある25人」にリアーナやカニエ・ウェスト、渡辺直美さんなどと一緒に選出されています。

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2019年4月、「セクシーなカーネル・サンダース」として
話題になった男性も、バーチャルヒューマンでした。

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バーチャルイケメンに変身したサンダースさんは、
ヒゲやメガネといったパーツはオリジナルのままですが、年齢は若返り、
細マッチョな体型に肉体改造しています。
そしてなぜかイケメンな発言を、次々に投稿するようになりました。

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日本でも、GUがモデルとしてバーチャルヒューマンYUを起用したことも
記憶に新しいところです。

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バーチャルヒューマンの第1弾では、ランダムにセレクトした
200人の女性の身体を計測し、その平均データを参考に作成されました。

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カミソリの老舗、貝印株式会社が「#剃るに自由を」をテーマに
制作したポスターが、先日話題になりました。

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「ムダかどうかは、自分で決める。」
と訴えかける、このポスターに起用された顔にそばかすとアザのある
オレンジのショートヘアの女の子は、バーチャルヒューマンMEMEです。

メメは2019年、インスタグラムでデビューしました。
電通のアートディレクターさん、その友人のCG制作会社の方、
フォトグラファーの3人で個人的なアートワークとして作り始め、雑誌の表紙を飾ったり広告に採用されるようになったそうです。


その他にも、
Lil Miquelaさんを作った会社Brudが制作している、世界初のエイリアン・デジタル・スーパーモデルのShuduや、

https://www.instagram.com/shudu.gram/


高級ブランドのネット販売「YOOX」の専属バーチャルモデルDaisy、


SDCG女子高生sayaなど、

ファッションやメイク、音楽の領域で、たくさんのバーチャルヒューマンが
活躍しています。


なぜ、多くの企業がバーチャルヒューマンを起用するのでしょうか。

企業にとっては、病気をしない、スキャンダルを起こさないといった
人間だから起こるハプニングが無いこと、
リアルな写真撮影がないためコストを抑えられること、
設定や世界観の表現の幅が広げられること、
ノーメイクの顔や下着撮影などもできることなど、様々なメリットがあります。

一方で、リアルではないことで広告において詐欺的な表現や
倫理的な問題が起こるのではないかと指摘されています。

一時期よりは多少下火になってきたバーチャルヒューマンですが
まだまだこれからも、多彩な表現で私たちを楽しませてくれそうです。

***

ここまでCGの表現がリアルに見えると、もしかしたら、私たちが毎日見ている芸能人やアイドル、テレビの中の人がバーチャルな存在であっても、不思議ではない世界になってきます。

一昔前まで、アニメなど二次元のキャラクターに夢中になる人を
バカにする風潮がありましたが、そんなことは誰も言えなくなりますね。

現実世界との境界線が曖昧になってくると
現実の人間にしかない魅力とは何だろうと、考えずにはいられません。

皆さんは、その魅力とは何だと思いますか?

私はそれは、傷や弱さや欠損などの
自分からはマイナスにしか見えない部分だと思うのです。

何度か引用させていただいている西原理恵子さんの「ダーリンは70歳」のなかで、何度も整形をねだる西原さんに高須先生が
「いいですか?りえこさん。人は欠損に恋をするんです。」
と伝える名シーンがあります。

その言葉は
「その弱さや未熟さを、自分だけが理解していると思う欠損の理解者になるのです」と続きますが、
私の解釈は少し異なっていて、弱さや未熟さという欠損こそが魅力を形作っている材料なのだと思うのです。

隙がない完璧な人とは恋に落ちないように、計算やコントロールでは絶対に出せない弱点を見せてくれるからこそ
相手と繋がることができて、より愛しくなるものです。

隠しておきたいくらいの大きな傷や、恥ずかしくてたまらないコンプレックスが誰かと理解し合うためのツールになるなんて、神様も粋なことをしますよね。


年末まであと50日を切りました。
寒暖差の大きな日々が続きますので、暖かく、穏やかな週末をお迎えくださいね。


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