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東国三社巡り旅 その1 鹿島神宮とその聖地巡り ィイ・ヤシロ・チ vol.75

初めましての茨城県である。その県名の由来が、関西の葛城と同じという話を知ってから、小さいけれど、硬いしこりが心に生じている。

そのせいか、遠方だということもあわせて、これまで参拝の機会がなかなか得られなかったのかもしれない。

が、いよいよ満を持しての、東国三社巡り。何かのお許しが出たのか、例によって喚ばれたのか。

数年来、此処にお参りしたいと口にしていた旅友さんA、この国の地鎮と安寧を強く願う旅友さんBとの三人おみな旅となった。

わたくしも、これから東日本へのお参りを順々に進めて行くべき時が来たという感覚をもって臨む参拝旅。

この度は、しっかりと企画されたツアーに参加して、不慣れな関東の地の参拝旅に向かうことにした。不案内な土地を安全にまわるには、大変に心強い。

さて、鹿島神宮である。ツアー一行が最初にご挨拶に向かったのは、やはり一の宮、鹿島神宮。

鳥居横の駐車場に降り立つと、すぐそばに立つ巨木がウェルカムツリーよろしくわたくしたちをハグするように、天空に大きく枝葉を伸ばしていた。流石の古社だけある。これまでずっと、この大樹は参拝者を数多出迎え見送ってきたのだろう。

異様かつ威容な樹形にびっくり

ガイドによれば、伊勢神宮よりも歴史は古く、神宮の名を持つ社は、伊勢以外には鹿島と香取だけだったという。これは東国はずっと早くに拓けていた地だということを意味すると、理解する。

もっと広々と海が拡がっていただろう嘗てのこの地に、訪れた神々。それ以前から暮らしていた人々とその神々。彼ら彼女らが出逢った時、一体どんな出来事が出来したのか。当然、混乱も諍いも、和平もないまぜの時があっただろうと、想像する。

赤い楼門が見られず、残念

当社の大事な御神事となる船渡御。このビッグイベントのための修繕工事中の楼門をくぐって、境内に足を進めると、多くの参拝者がひしめき合っていた。

狂い咲きの桜に飾られて

拝殿は鳥居や楼門に対し横を向いて、それは珍しい北面であった。入り口から真っ直ぐではないことや北向きなのは、やはり意味深である。

そんなことをぼんやり考えていると、ガイドさんが、先ずは拝殿よりも先にこちらにご挨拶を、と誘導くださる。

その理由が「この地を制圧なさった神様に先ずはご挨拶を」とのことだけれど、制圧された側のカガセオ神を気にする自分の困った性分に、つい苦笑いしてしまう。それでも、このイヤシロチに来られた感謝もあわせて、ご挨拶。

高房社こちらはちゃんと参道を向いておいでである

その後、改めて拝殿へ参拝をと見やれば、不思議なことに曇天に日が射した。


晴れ間など期待できなかった予報が、お日様チラリと現れて

拝殿前に歩みを進めると、多くの参拝者が次々と集まり、ちょうど光が降り始めた。

必勝の御新徳で、企業などからの奉納が潤沢なことにも驚く。

会社経営やスポーツ団体の崇敬集まって

この後は、境内末社、境外社遥拝所エリアに向かった。其処は霊妙な雰囲気が漂っていた。

この鳥居の先には龍神と熊野、忌部の社が
ハートの猪目石灯籠が目を引くスサノオの社
遥拝の先には 二社の境外社とは珍しい

奥社や要石、禊池は翌日に参拝しようと、ひとまず鹿島神宮は此処の参拝で後にする。

このあとは、鹿島神宮の元宮と言われる大生神社へ。人影もなく、静かに鎮座される社なれど、木彫の龍が美しく、本殿のお屋根の建築も素晴らしい。聞けば、指定文化財ということに素直にうなずける重厚な佇まい。

https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/ken-3/

参道横の最も背が高い大樹

境内には立派な大樹がいくつも育っており、まさしくイヤシロチな空間だと示されていた。

扁額の龍が素敵
独特な拝殿の屋根と本殿

ひとしきり境内の御神気浴を楽しませていただき、境外に出ると最初は気付かなかった、龍神社の社に目が向いた。その横には、この神社が龍神信仰であることを示しているような、水の聖処のマップが示されていた。

龍神祝詞でご挨拶
七箇所もあるとは!

この中の近い場所の大生の思い井戸という湧水に歩いて向かう。

滾々と水が流れて
こちらは青龍様と

命の水を豊かに与えられることへの感謝と祈りの場所は静謐という言葉がぴったりと当てはまった。その中に鯉がゆったりと泳いでいた。「この鯉は、龍神の化身かもね。」などと、人の仔たちは無邪気にその畔で語り合ったが、此方は禊の聖泉であると聞き、心持が少し引き締まった。

鹿島神宮のエリアには古墳やこのような社が多くあるという。やはり、早くから栄えていたこの地を新しい来訪者たちも欲しがってしまったのだろう。
そんなことを思い浮かべて、今は穏やかなこの地の人の仔たちを先人らは見守っているのかもしれない、とよしなしごとを思ったことだ。

なだらかな古墳のそばに楚々と咲く アキカラマツ

最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


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