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白山七社 石川秋分旅一日目 ィイ・イヤシロ・チvol.73

「以前の白山比咩神社のおついたち参りでは、何かしら心残りがあるのよ」と、旅友がのたまうので、「それでは改めましての菊理媛参りに出かけますか」と応じたわたくし。

菊理媛に因んで九月の連休に向かうこの旅の行程を組むのは、案外と頭を悩ませた。結果、交通アクセスや行き先の組み立てはいつもよりもかなりアバウトにした。すこし融通を利かせた方がうまくいくような気がしたから。

前回は、金沢泊で月に一度だけのおついたち運行の往復直行バスを利用した日帰り参拝だった。

初めて参拝にはとても便利で、嬉しい内容の日帰りバスツアー。昇殿参拝で優雅な巫女舞も拝見でき、境内もガイドされる反面、復路のバスに必ず乗車するよう自由度は制限される。それは、わたくしたちにとって少しタイトなお参りなのだった。此処からくる不完全燃焼感が旅友さんの心にずっと残っていた模様である。

だから今回こそは、しっかりと菊理媛のイヤシロチを堪能しようというわけである。とにかく、白山信仰↓をじっくりと体感すると決めたのだ。

まずは、北陸新幹線で金沢入りして在来線と私鉄を乗り継ぎ、最寄りの鶴来駅に到着したら、そこからタクシーで周る。もちろん、お宿は白山市内というのが大まかな行程である。迷う、駐車場を探すなどの時間も余分にかからず、限りある滞在時間をフルに使うことを優先する。

乗り継ぎのタイムロスや、タクシーは日曜お休みなどのローカルあるあるな障壁も、予めのリサーチで確認済み。わき見をせずに、白山信仰に集中しようと心得る。

食事とトイレの必須タイミングなどは、できれば二段構えくらいの情報を備えて見知らぬ土地で窮地に陥らぬようにするのが、おみなのローカル旅の肝となる。

はじめましての北陸新幹線 新しい駅や車両にキョロキョロ👀

なので、先ずは早めの金沢駅ナカの「そらみそ」さんのおにぎりランチで腹拵え。おにぎりの具はご当地発酵グルメ?な鯖のこんか漬け、白子のクリームチーズを選んだ。初めての食材の美味しさとつやつやご飯に、パリッとした海苔の香りも味変的に食べると大満足。予想よりキリッとした味噌味に、焼いた海老の香ばしさとふわふわな甘海老つみれのお味噌汁。今どきの発酵食で健やか美味しい、珍味な昼ごはんをサクッと頂き、準備万端整っていざ、出発!

これで千円ちょっと。リーズナブル✌️

外はあいにくのちょっぴり雨模様、同じ県内の能登地方では重大な水害も危ぶまれているなか、神恩を信じて参拝旅を決行する。大きな雨に合わないうちにと出発し、つるぎ駅前の地元タクシーさんに金剣宮と本日のお宿かのやさん経由で白山比咩神社下車をお願いした。

今回の参拝テーマは、ネットで見つけた白山七社巡り。イベント期間は終わっているけれど、この七社の巡拝を旅友と決めた。

七社全て川沿いの社である

先ず一社目は、駅近くの金剣宮にいざ参拝!金運神社として有名らしく、↓の記事もあるけれど、記事のお守りの再入荷は「未定」と明示されて、御朱印も取り扱いはなかった。その潔さがとても好ましく思えた。

御祭神は菊理姫ではないラインナップ
さすがパワスポ 曇天でも神々しい

境内には謂れのある石が三つ在る。各地の聖処巡りに時々出会う、三つの石。此処にも由緒が掲示される石が大事に祀られていた。本来の意味はどうだったのか分からないけれど、人々はずっとこれらに願いや祈りを込めてきた。

一等お気に入りは亀石

いよいよ参拝と、拝殿に向かう。雪よけの覆いに近づくと、途切れない参拝者が神々しい神前に並んでいた。ドライバーさんも教えてくださった、来月には故事に因んだねぷたに似たお祭りが、ポスター掲示されていた。

拝殿は不思議な紫色に

二人並んで、拝殿でご挨拶。この参拝旅が無事に終えられますように、そして難事が少しでも小さくなりますようにと心を込めて願った。

その後、拝殿の左手に進むと、天の真名井なる場所が恵比寿様のそばにあった。どの地にも命の源の水は、大切にされている。此処も同様というわけだ。

水の中に浮かぶ天の眞名井

「熊に出没」注意書にビクつきつつ、境内の御神気を受けながら各所をまわり、待機くださっているタクシーさんのところに戻り、参拝完了。

特別な掲示はないけれど、多分ご神木な存在感

金剣宮から数分で到着した旅館かのやさんに荷物を預け、二社目となる白山比咩神社へ向かい、社前でタクシーを下車。いろいろなお話も聞かせていただき、やはりドライバーさんは名ガイドが多いと思う。

秋というより夏の様相の社前

数年ぶりの鳥居前は、おしゃれなカフェなども新設されて、少し様相が違っていた。けれども鳥居の内側に一歩足を踏み入れれば、其処は変わらぬイヤシロチ空間が広がっていた。ずっと続いた猛暑が今日は少し和らいで、頭上からはなぜか蝉時雨が降り注ぐ。「秋分に蝉?」と二人で顔を見合わせつつ、耳目に涼やかさが届く参道をゆるりと歩む。

小さな雨が枝葉に遮られ、瑞々しく美しい参道

豊かな水音も響き、しっとりとした緑陰の中を泳ぐような心持ちに。

前回もだが、この参道横の滝は白龍のよう
この手水舎も相変わらず威厳が半端ない

参道わきの手水で清め、拝殿に向かう。神門手前で雨は上がり、可愛らしくお目出たい宮参りの御一行と出会えた。

堂々とした拝殿

嬉しいお福分けをいただき、笑顔で神門をくぐれば、今度は太鼓の音が賑々しく鳴り渡り、拝殿で凛とした巫女舞が始まった。何方かの昇殿参拝らしい。

巫女舞が始まった

嬉しいタイミングにお礼とご挨拶を述べた後、続いて神門から右手の奥宮遥拝所に進む。此処は前回、行列の長さにお参りを断念したのだった。白山連山の奥宮登拝には、体力時間タイミングなどの諸条件を越えねばならない。その代わりに此処から遥拝を行うスポットだ。

遥拝所には白山三山の形をした大岩が
冷たくてとても美味しい御神水

次に、授与所に向かうとそのそばに、ご神水が飲める場所が在る。思議な鳥の絵が目に入り、「以前は見かけなかったね?」と有難く御神水を飲んだ後、絵馬札を授けていただいた。

どうぞ厄介な疫病騒ぎが早く収まりますように

その後、拝殿後方の水場やいくつかの境内社を参拝し、裏参道の水汲み場でペットボトルに御神水を充填するじっくり参拝で大満足のおみなコンビは、本日最後の社がある古宮公園に向かった。

人影もない静かなその場所に、曼殊沙華が咲いて小さな社を飾っていた。この旧鎮座地からは古代の焼き物などが出土し、人が暮らしていた痕跡も確認できるらしい。人の仔の水辺の安全を護る水戸明神は静謐ながら強い存在感を示して坐した。

なんとなく引き寄せられる旧鎮座地

実際に、古宮公園の横には白山を源とする手取川が流れ、これは日本海に注ぐ石川県下最大の河川である。手取川の旧名である石川が、県名の由来と聞いて、白山信仰は山と繋がる水神、龍神信仰が基盤のようだと思った

こうして一日目のミッションは無事完了し、かのや旅館さんに戻る。お宿の皆様の暖かく優しい気遣い溢れる居心地良さと、おいしい食事に旅の疲れもすっきりと癒され、明日の参拝旅への英気も十二分に養えたことである。

外観と食事スペース
季節とご当地の美味しさが詰まった夕食

サーブの際に教わった「高い湿度と美味しい水が、当地の醸造業を育て、味噌 醤油、日本酒、漬物なども美味しく、またお豆腐もいい味です。」の話。日本の食文化は豊かで清らかな水があってこその再確認。白山七社旅の残り四社参拝は如何なる気づきが? 二日目につづく。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


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