東国三社巡拝 その3 香取神宮 ィィ・ヤシロ・チ vol.77
東国三社巡りの旅、二社目は香取神宮に向かった。
駐車場から鳥居までの間も多くの土産物屋などが賑やかに並び、明るい空気が拡がっていた。「陽の気が放出されているね。曇り空でも明るい感じがする。」と旅友さんと話し合う。
参道を進んで、赤い総門が見える。空にエネルギーが放出されている印象だ。
こちらはフツヌシの神宮だとのこと。タケミカヅチの鹿島神宮とは陰陽の組み合わせなのかしら?とそんなことを思い浮かべながら、社殿近くにたどり着く。ちょうど篳篥や笙などの神楽の美しい音色も響き渡るタイミングで、心持ちも自然と軽く上がっていく。
拝殿前に進めば、カラフルな色彩に目が喜んだ。
拝殿前で、社殿の美しさに見とれていると、結婚式が目前で始まった。吉祥と皆で喜んだ。「ウエディングマーチの雅楽だったのね。」
自然と笑顔に包まれる社前から、ぐるりと本殿背後まで進み、境内社にご挨拶をして回った。
本殿背後は素晴らしい御神気で、明るく軽い波動が広がっていた。大きな杉が何本も屹立しているイヤシロチ。
楼門を出て、右手に進むと、朽ちた杉の古木にひこばえの木々が伸びる不思議な子母杉があった。石段を数段上がって其処にひっそりとある馬場殿神社と天降神社にご挨拶した。何気なしに立ち寄ったのだけれど、「ババドノ」や「子母」のワードに、此方は女神、巫女神様かもしれないなどとまた想像をたくましくする、わたくし。だって、このエリアが、母親に抱かれる安心感を与えるポケット空間のようだったから。
こちらで癒しの森林浴タイムを少し過ごしてから、奥宮への裏参道を進んでいく。10分ばかりのどやかな道を歩くと、奥宮に難なく到着。
石段を進むとほどなく社前へ。ごく普通の社のようだけれど、しっとりと深い御神気が湧いてくるイメージを受け取った。参拝者が次々と訪れても、清らかな空間は保たれている。「気持ち良い場所だね。」と三人で顔を見合わせ、うなづき合った。体感がすこぶる心地よく離れがたいほどだ。
ツアーは続いて、要石に向かう。わたくしは、今回、全くの予備知識もなくこの要石に対面した。地震を押さえてくれている、というガイドの話を聞いて、素直に災害消除を心から祈った。
そういえば、アニメ映画の「すずめの戸締り」で地震を押さえてくれていたのは、人柱?の要石だった。地震には古来から脅かされてきた日本では、各地に地鎮の要石があるということだと、これまた初めて知ったことだ。
近々大きな災害が来るという噂も絶えず、そんな不安感がわたくしたちの心に広がっている今、こうして祈る時間を与えられるのは、有難い。三人おみな達は、それぞれの思いを込めて、要石の前で素直に頭を垂れた。
ガイドによると、鹿島と香取の両神宮は、要石が凹と凸の組み合わせであるそうな。そうすると、やはりこの二社は、陰陽の組み合わせではないか、などとまた思った。
戦いの神と剣の神様の組み合わせだといわれるが、要石の組み合わせが他に見ない凹凸であり、二つの神宮の印象も陰陽の対に感じた。この二神はもしかすると女神と男神ではないだろうかなどと、根拠もなく素人の妄想は暴走気味になる。
そうして、無事、香取神宮の参拝は完了し、元来た参道に戻った。先ほどのトンデモな空想は横に置き、そろそろおやつタイムとしたいとするのは、食いしん坊の性である。参道沿いのお店で、厄除け団子とドリップコーヒーをゲットした。手作りの柔らかい蓬餅とちょうどよい甘さの餡子がぴったりとマッチして、良い香りのコーヒーと合わせると、いい塩梅におなかを満たしほっこりできた。
続いて、バスは西の鳥居(ヘッダー写真)を眺めながら橋を渡って、明石の浜を目指した。関西にも明石の浜(瀬戸内海)があるよね、と不思議がる三人。実際に到着して太平洋に開ける海岸の雄大な風景を目にすると、まったく異なるイメージに驚かされる。此処にタケミカヅチとフツヌシが上陸したのです、とガイドされ、出雲に来た二人が此処にも?とアクティブさに感心したり。神話とはいろいろと興味深いものである。
遠い場所からやってきた神と遭遇した、嘗てのこの地に住む人々とその神。その時、何が起こったのか。思いがけず、わたくしにはなじみの薄いカガセオ神の存在に興味が湧く機会となったこの参拝旅。強く吹き寄せる海風と巻き上がる波頭の浜辺に立って、巡り合わせの妙を実感することとなった。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。