マイクロノベル集/アニマル 010
071(687)
見ろよ、あの水。キラキラと光って人間が作ったとは思えねぇ。こりゃ名のあるAIの仕事だな。どこの生まれだ? 淡路島? 名は? 芝右衛門狸。あんた生きてたのか!? え、死んでる? じゃあこの水は、ただの水か。はっはっは、一杯食わされたな。……誰に?
072(691)
暑くていかんな。他に歩いてる人もいない。うん? あの楽しげな音はなにかな。ああ、祭囃子か。いいね、少し寄っていくか。でもお祭りなんてあったっけ? もしかして狸かな? まあいい。かき氷ぐらいあるだろう。
073(717)
エサをやったノラ猫が喋り始めた。「決めたぞ。次はきっとお前の腹を満たす者に生まれ変わろう」大人になったぼくは中華料理店で働いている。師匠の娘が作ってくれるまかない料理はとても美味しい。名をタマコという。
074(721)
半導体不足でAIが作れない? そんなものはタヌキにおまかせ。箱をかぶせて、ほら完成。こいつには学問、芸術、エンタメ……学と教養一式を叩き込んである。一曲歌って見せよう。どうだ、うまいもんだろう。ただ、ときどき臭い屁をするから気をつけてな。
075(732)
地面から原始猫が生えてきた。なんでも原始時代から原始人に可愛がられていたそうだ。それどころか、恐竜からもエサをもらっていたらしい。かわいいってのはおトクだね。