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マイクロノベル集 125
896
そっちじゃない、あっちだ、あっち。えっ、どっち? 次の交差点を右! ないよ!? ああっ、工事中だ!! 「……今日は電線が騒がしいな」
897
いいか、AIはオートマ車みたいなものだ。アクセルを踏んだら走る。「その通り! AI車は交差点を曲がるのも上手い。人間はトロトロ走りやがって邪魔だ」でもF1レースには出られない。「ああっ、峠でブレーキが利かない!」
898
「急がば回れなんて嘘さ。まっすぐ行った方が早いに決まってる」よく気づいたね。そう、そうなんだよ。山道というのは回り込むように続いているだろう? 俺はまっすぐ行く。その方が早いからね。君も一緒に来たまえ。「遠慮します」天狗は孤独だなあ。
899
俺は風より早いマシン。「現在、風速40メートルを突破」そう、台風! 「沖縄県に上陸しました」端から食っていく!! 「ご覧下さい、この美味しそうなカニ!」うわあ! 逃げろー!! 「カニって龍を切り刻んだ伝説があるんだよ」思い出したくもない。
900
ランニングしていたら子供が十人ぐらい着いてきた。「親御さんは?」彼らは道の向こうを指さす。「んじゃ行こうか」俺たちは走って追う。親たちは逃げるように歩く。プライベートを楽しみたい気持ちはわかるが、俺はハーメルンの笛吹き男だぞ、わかってんのか。