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マイクロノベルちょいす 013「天から降る夜」

No.971
星が降る夜の体験会に参加した。「なるべく均一に降らせましょう」星は燃え尽きたり、割れてしまったり、なかなか狙ったところに落ちない。うまくクレーターが作れたら、夜の空に飾ってもらえるんだって。


No.1030
天の声が聞こえる、と彼は言う。「右です、右に行くのです」彼は右に行く。「山道です。足下に気をつけて」彼はゆっくり歩く。「さあ、闘いなさい。あっ」彼は野生動物に殴られる。「なかなか上手くいかないなあ。人間以外を選んだ方がいいのかな?」


No.1032
船を沈めたことがある。ため池で、おもちゃの船を。学校で蛇口をひねると、その船がカチャンと流れ出てきた。「会いに来たよ」でも、あっという間に排水溝から流れてしまった。最近は海から手紙をくれる。星が綺麗だって。いつか星の海に行きたいって。


No.1039
「ようこそ、恋の泉へ。二人でコインを投げて約千キロメートル先にある琵琶湖に落ちたなら、永遠に結ばれます。それでは宇宙船のゲートオープン!」そんな商売を始めたけど人工衛星が邪魔なんだよね。衛星軌道を結婚指輪に見立てた離婚式にした方がいいかな?


No.1054
新しいデートスポット、火星の夕焼けだよ。このビルの中に火星を再現したんだ。あっ、キスはご遠慮下さい。空気がないのでヘルメットを外すと死にます。でも、コツンと額を合わせるとプラトニックでロマンチックです。結婚した人はまだいません。

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