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マイクロノベル集「悪魔の仕事ってムツカシイ」
マイクロノベルNo.1956
いつまでも美しい姿でいたいと言うんだな。承知した。時よ止まれ、きみは美しい。「さすが悪魔。時間を止める魔法の呪文を教えてくれるの?」ううん、チェキだよ。ここに契約のサインを入れてね。「わたしがわたしの写真にサインしてなんの価値があるんだよ」
マイクロノベルNo.1957
「なぜ部屋の角にゴミが落ちているの?」人間が魂の支払いを待ってくれって頼むもんだから。魂を取る前にありったけ奪い取ってやろうと思ってね。「床に物を置かないで!」それでこのロボット掃除機をもらったんだが、まさか綺麗な場所しか掃除できないのか?
マイクロノベルNo.1958
美しい夢から目覚めて現実に戻った時、すべてが失われたような気持ちになって涙を流す。あの経験はそれに似ていた。我が名は……なんだっけ? 「個人情報についてはお答えできません。守秘義務がございます」AIが悪魔の俺を不完全な形で呼び出したのよ。