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マイクロノベル集/わがまま 026

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お嬢さん、あの黒く輝く山脈こそがガトーショコラ山さ。切り取ると消えてしまうから齧りつくしかない。みんな下の方ばかり食べたものだから山の形が崩れてね、今は入山禁止なのさ。でもね、極上の頂に続く裏ルートがあってね。知りたきゃこの歯ブラシを買いな。


197(862)
やあ、優しい歯医者さんだよ! どうしたんだい元気がないなあ。はい、大きく口を開けて、こーんにちわー! 馬鹿め、あっさりと口を開いたな。ところで、きみが30年前にぼくからケーキを盗ったことを覚えてる? ふうん。へえ。これはこれは。どうしようかな。


198(867)
河原でのトラブルには黒幕がいた。なんてことだ。ぼくが好きな形の石を拾えない理由。それは川が犯人だったんだ。ころころと石を転がして形を変えていたんだ。ぼくは大好きな石を助けるために上流へ向かった。こうしておじさんは恐竜の化石を見つけたんだよ。


199(873)
「注意! この先行き止まり」この警告をダンジョンの入り口に出してから、侵入する冒険者が激減した。やってみるもんだね。行き止まりなのは嘘じゃないし。


200(880)
電話番号みたいな存在感。未知でも繋がるトーク。アクセス、アクセス。アウトプットは現在進行形。「そのナンバーは使われておりません」過去完了形の残骸。接続、接続。死屍累々のトークン。暗号資産みたいな電話番号。知らない。買えない。会いに来て。

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