
マイクロノベル集 199「悪魔の冒険」
No.1213
ここが絵の中だということはすぐにわかった。ミケランジェロが描いた、あまりにも有名なあいつが俺に向かって指を出しているからだ。どうして悪魔の俺が『アダムの創造』の中に!? 「はい、手を出して下さい」出さねぇよ! いや、ここから出せよ!!
No.1214
やれやれ、どうにか追っ手をまいて絵の外に出たぞ。そうしたら今度は体がぬいぐるみに! うわぁ、クジの景品になってるじゃん、俺!! 「すみません。罪深きものを救うため、くじを一回引きます」ぎゃあ! 天使のクジ運なんて考えたくもない!!
No.1215
天使の鞄に吊り下げられて絶体絶命。「可愛い悪魔よ、これに懲りてよい子になるのですよ」誰が可愛いだ気色悪い。むっ、横断歩道を無防備に渡る幼子と……魂を横取りするトラックだ! 気づけバカ天使! 来てくれ魔界の援軍!! 「にゃーん」ナイス、黒猫!!
No.1216
幼子よ、助かったぞ。礼を言う。黒猫、お前にもエサをやろう。あっ、天使め、俺の服に名前を書いたな。安易に名乗るとは間抜けなヤツだ。「おじちゃん、頭に虫がついてるよ」えー、取って取って。「これ、ぬいぐるみのチェーンだ」取って! すぐ取って!!