マダミス「学院魔女裁判」 プレイ記録・感想(ネタバレあり)
※本記事にはTARARIDDLEさま「学院魔女裁判」の重大なネタバレが含まれます。ご理解の上ご覧下さい。
前置きとか
筆者のnagoは今回GMを担当しました。
なので各キャラの視点から見た感想とかはありません、あしからず。
そして、学院で物語を作り上げドラマを繰り広げるのは4人のプレイヤー(以下PL)。
PL1はちおびたさん。TRPGではムードメーカーっぷりと華麗なマスタリングに定評のあるお方です。
今回演じるのは、学院の生徒会長、3年生の「日下部 和花」。信心深いキリシタンであり、文武両道の才女。ちおびたさんに相応しい役柄と言えるでしょう。
PL2はめがねさん。ノリの良さ、そしてどこまでも飛んで行く凄まじい発想は自分の知人内でトップクラスだと話題です。
演じるのは生徒会会計、2年の「雨宮 雛」。学年で一番可愛いと評される、学院のアイドル的存在。RPがやたらと難しそうな彼女を、めがねさんはどう表現するのか。
PL3はきーさん。観察力、謎解きへの対応力はピカイチ。推理力が重要なマダミスにおけるある意味禁止カードなお方です。
演じるのは生徒会書記、1年の「柏木 藤乃」。外国の血が混じったクォーター。美しい歌声から、音楽分野で高い期待を寄せられています。彼女の秘めた目的をきーさんは達成できるのでしょうか。
PL4はリベリアさん。今回のメンツ内では一番マダミス歴が長く、長年のマダミスやTRPGで鍛えたRP力に期待がかかります。
PCは庶務の1年生、「天羽 凛瑚」。伝統ある学院に幼いころから憧れ、ついには生徒会へ入るまでになった、内気な女の子です。内気なキャラのRPをしながら討論で上手く立ち回るのは難しいでしょうが、リベリアさんなら余裕だろうと皆が確信していました。
※リベリアさんはCoC「本質の味」にてKPを担当してくださったR氏です。
以上、この頼もしいPL4人で魔女裁判へ挑むこととなりました。
果たして結末やいかに。
シナリオ情報
遅くなりましたが、ここでシナリオの概要をお伝えしましょう。
学院のヒロインと呼ばれる神崎 美恩さんの変死事件。学院はこの事件に際して、自分たちの中から生贄を選ぶよう生徒会役員たちへ命じます。
生贄に相応しいのは魔女か? それとも……?
舞台となる中高一貫のミッション系女学院で、今、生贄を決める「魔女裁判」が始まろうとしていました。
各PCの目的・セッション前の所感
いきなりですが、各PCの秘密と目的を公開します。(後から確認したい方、もう知っているという方は「セッション本編」まで飛んでください)
※"END1~4"は「数字に対応したPCが生贄となったEND」とします
PC1「日下部 和花」
実は魔女。また、美恩とは恋人関係にあり、彼女もまた魔女である。
<目的>
1. 魔女裁判で吊るされない(6点)
2. 真犯人を見つけ出し、その人物を生贄にする(4点)
所感
そこまで疑われやすい位置ではないので、1の達成は割と容易。
2はやや運も絡む。美恩から「猫を盗まれてしまった」と聞かされる直前に藤乃(PC3)を寮の外で見ているため、おそらく最初は藤乃に疑いを向けて彼女の部屋を調べるはず。そこで見つかった髪から藤乃が魔女であると予想できるため、その後、雛(PC2)か凛瑚(PC4)の部屋を調べることになるはず。雛の「人を呪う方法」は割とミスリードっぽく感じると思うので、おそらく疑いは凛瑚に向きやすいかなと。藤乃の部屋→凛瑚の部屋と調べれば犯人の発見は十分可能。あとは、「他PLと探索箇所が被る」「犯人が分かっても最多票にできない」あたりが達成の上でのネックか。探索箇所が被っても、全体討論で共有さえできれば犯人特定は十分可能。
PC2「雨宮 雛」
妹が魔女。美恩に嫉妬しており、彼女を呪う方法を模索している。
<目的>
1. 魔女裁判で正しい生贄を選ぶ(6点)
2. 妹が魔女だと知られない(4点)
所感
キャラシの「行動指針」から、彼女にとっての"正しい生贄"はおそらく魔女。魔女を生贄として選択すれば1は達成。和花(PC1)か藤乃(PC3)の部屋を調べればおそらく彼女らが魔女ということは分かるはず。(和花の部屋の情報から「和花は魔女だ!」ではなく「和花が猫を殺した犯人だ!」となる可能性はなくもないか)
2に関してはほぼ自動達成のような……? END1で「家族に魔女がいる」とは言っているが、妹が魔女だとは知られていないはず。(特に「家族は妹だけ」みたいな描写もないし)一応魔術の小瓶関係で疑われたときに自白するなどした場合は不達成だが。
多少疑われやすい位置にいるが、目的の中に「自身が生贄に選ばれない」というものはないので自分の吊り回避に動く必要すらない。
総じて目的達成は一番簡単なPCだと思う。満点も割と取りやすいはず。
PC3「柏木 藤乃」
実は「高等魔女」と呼ばれる存在。通常の魔女よりも魔力が高く魔女についての知識も多い。
<目的>
1. もうひとりの魔女を見つけ、そのキャラクターが吊るされない(3点)
2. 真犯人を見つけ出す(3点)
3. 知識の悪用防止のため、魔女に関する知識のふたつ(「使い魔が生命線であり、使い魔が死ぬと魔女も死ぬ」「使い魔を息絶えさせなければ魔女は死なず、何度でも甦る」)を知られない(2点*2)
所感
1に関しては、「和花(PC1)が吊られない」だけなら容易。ただし「和花が魔女である」と知っているのも条件のため、和花の部屋の情報を何らかの形で獲得しなければいけない。
2はEND2以外自動達成。END2でも真犯人が分かっていれば達成なので、割と達成しやすそう。凛瑚の部屋を調べる or 誰かがその情報を公開する、のどちらかで犯人は分かると思う。
キャラシに「自分を囮にすれば……」みたいな文言があるので、自身にヘイトを集めて敢えて吊られるという選択もアリなのかもしれない。ただなかなか自分のPCを殺したいとは思いにくいかもしれないが……
3はEND3以外で達成可能。割と運が絡む。
満点はEND2,4のみ可能。探索情報を秘匿しがちな卓だと目的1,2の達成は厳しいか。
PC4「天羽 凛瑚」
美恩の使い魔を殺した。魔女になるために、現魔女の使い魔3匹を生贄にしようとしている。
<目的>
1. 残りの魔女を探し出す(4点)
2. 魔女裁判で吊るされない(4点)
3. 真犯人だとバレない(2点)
所感
たぶん目的達成が一番難しいPC。
1に関してはPC1,PC3の部屋を調べれば達成。片方だけでいいのか、両方見つける必要があるのかは判断が分かれるところ。
アレルギー症状を雛に目撃されているため、一番疑われやすい位置にいる。また、END1,3,4では演出で自動的にバレてしまうため満点はEND2以外不可能。シナリオ内容を全て知っている場合でも満点はかなり難しい。初見では運がよほど良くないと満点はほぼ無理そう。
目的達成の難度は、個人的に"(難) PC4>PC3≧PC1>PC2 (易)"という印象。
セッション本編
全体討論(1回目)
全体討論1回目。
概ねこの時点でやることは決まっています。そう、犯行時刻近くの行動確認ですね。生徒会長の和花(PC1)を中心に、前日夜から当日朝にかけての行動をお互い確認し話し合います。
鍵が入ったポーチを和花が紛失したこと、雛の長風呂、藤乃と凛瑚は共に2箇所の掃除をしていたことなどなど。
その中でのハイライトが、藤乃(PC3)の行動確認。生徒会メンバーで夕食会の中、彼女は一人だけ体調不良で食事を共にしませんでした。更に和花は彼女が夜遅くに寮の外を歩いているのも目撃しています。
どうやら、現状一番疑われているのは藤乃ということになりそうです。
探索(1回目)
和花→藤乃の自室、雛→和花の自室、藤乃→雛の自室、凛瑚→教会
をそれぞれ調査。
誰かの部屋を調べるということは、その人物を疑っている可能性が高いということ。つまり、全体討論を終えた上で、
和花→藤乃を疑っている
雛→和花を疑っている
藤乃→雛を疑っている
凛瑚→誰を疑えばいいかまだ分からない。教会に真犯人の手がかりがあるかもしれない
という公算が高い、という推測ができますね。もちろんそうじゃない可能性も割とありますが。
全体討論(2回目)
2回目の全体討論では、先ほどの探索で得た情報を共有するのが主となりました。
雛(PC2)は、和花の自室から動物の抜け毛、ケージの鍵を見つけます。もしかして美恩の猫のものか――と思いきや、和花によれば抜け毛は飼っているフェレットのものだということ。しかしケージの鍵はおそらく美恩の飼い猫のもの。鍵の入ったポーチを和花が紛失したことも含めて、誰かが和花に罪をなすりつけようとしているのでは? と話は落ち着きます。
一方で凛瑚(PC4)の調査によると、美恩が亡くなっていた教会は事件当時施錠されていたようです。教会の鍵を持っているのは、寮長の和花と掃除担当の1年生2人だけ。鍵が壊された形跡もないらしく、犯人は鍵を持っていた人物――あるいは魔法や魔術を操ることのできる者のはずです。
藤乃は雛の自室を調べたようです。
部屋には魔術で作られた薬草と、「人を呪う方法」と書かれた紙があったとか。どうしてそんなものが、雛はもしかして犯人、そして魔女なのか――?
そんな疑念を3人が抱いていると、雛は人が変わったように荒んだ語調で話し始めます。曰く、「美恩のことが嫌いだった」「嫌がらせをしていたが効果はなく、呪う方法を模索していた」「亡くなって嬉しいくらいだが殺したのは自分じゃない」と。
では薬草のほうはと尋ねると、「薬に関する魔術の知識があるだけ、魔術が使える≠魔女だ」と、魔女であることも犯人であることも否定。
その豹変ぶりを見て呆気にとられながらも、一同は雛が犯人ではなさそうだと考えました。
さて次は藤乃の自室を調べた和花の番――
と思いきや、彼女は情報を共有する代わりに藤乃に問いを投げかけます。
藤乃が外を出歩いていたのは、和花が美恩からペット誘拐について相談を受ける直前。どこに行っていたのか、誰かを目撃していないかと和花は問いかけます。藤乃は、「寮の周りをぶらぶらと」「誰も見ていない」と回答。和花は藤乃を疑っているのかもしれません。
議論時間も終わりが近い中、雛が昨日のとある一幕を皆に話します。
それは、23時半に凛瑚が肌や目を赤くし、しきりにくしゃみをしていたこと。当初は気にならなかったものの、今思い返してみると、あれは猫アレルギーだったのでは? すっかり変わった言葉遣いで、凛瑚に問う雛。
凛瑚は自身がハウスダストアレルギーであること、他の用事との兼ね合いで夜に部屋の片付けをしていたことを明かします。そして昨日のその一件は、部屋の掃除によるハウスダストアレルギ-症状が出ていたのだと釈明しました。
教会の鍵、藤乃の出歩き、凛瑚のアレルギー。
1年生の2人、どちらかが犯人か。そんな空気があたりに漂います。
探索(2回目)
和花→凛瑚の自室、雛→生徒間の噂、藤乃→美恩の自室②、凛瑚→美恩の自室① をそれぞれ調査。
しかしマダミスって調査のためとはいえ、人の部屋を躊躇なく探りますよね。こういうのってこっそり調べているんでしょうか、それとも許可取って調べているんでしょうか。
あとシステム的にバランスを取るためというのもあるでしょうが、同じ箇所を調査できなかったり自分の部屋を調べられなかったりというのも不思議ですよね。そんで自分の部屋の情報知らないのもすこしふしぎ。
全体討論(3回目)
全体討論3回目。
この回でも、主な話題は探索結果の情報についてです。
トップバッターは凛瑚。
美恩の自室を調べた結果、部屋に鍵はかかっていなかった、とのことです。くしゃり。凛瑚の後ろで小さな音がします。
和花は鍵がかかっていなかったことについて、実は昨日美恩の部屋に泊まっていたことを明かしました。更に「朝起きたら美恩が部屋におらず、鍵を閉めるわけにもいかなかったので施錠はしなかった」と。
次に、雛は生徒会の噂を皆に伝えます。
なんでも、過去似たような事件があったのだとか。それは「1年前、中等部で生徒が動物と一緒に亡くなっていた」、というもの。つまり、今回の一件は偶発的な事故などではなく、明確な意思を以て行われた殺人の可能性が高いのです。
この事件についてさらなる情報を集めれば犯人につながるのかもしれませんが、残念ながら生徒会の全員が事件を今日初めて知ったようで、これ以上の情報は出てきそうもありません。
そして雛が藤乃に調査結果を尋ねます。
藤乃は美恩の自室、凛瑚とは違う場所を調べたようでした。しかし結果は芳しくなく、彼女の私物であろう本が見つかっただけとのこと。
藤乃の調査報告に和花が何かを尋ねようとしますが、雛が「和花が調べた場所はどこか」と訊いてきます。
和花は出しかけた言葉を飲み込んで、凛瑚の自室について調べた結果を皆に伝えることとします。
凛瑚の自室には、ある情報が書かれたノートとどこかの鍵がありました。
ある情報とは、魔女に関する知識。
曰く、魔女は弱ると髪色が変わる、魔女は使い魔を飼っている、使い魔を3匹生贄にすれば魔女になれる。
このノートについて、鍵がどこの鍵なのか、和花は凛瑚に尋ねます。
凛瑚は鍵がどこのものかしばらく思案した様子でしたが、思い至ったのか質問にまとめて答えます。
自分は昔から魔法に憧れており、学院に入学したのも魔法関係の蔵書が豊富だったから。しかし、目的の書籍たちは禁書扱いとなっており、一般生徒は閲覧すら不可能。そこで管理の隙を突いて禁書庫の鍵を拝借した。部屋にあった鍵はその書庫のものであり、ノートの情報は本の内容をまとめたもの。
一応の筋は通っています。
しかしここで気になるのが、「使い魔を3匹生贄にすることで魔女になれる」という情報。魔法に憧れている凛瑚が、魔女になろうと使い魔を殺したのでは? 3人はそんな思考に行き当たります。
凛瑚が「美恩のことは殺していない」と主張するも、信じられそうにはありません。
推理
推理パートは記録がほぼ残っていなかったので割愛。
ここでそれぞれが指定したのは「投票」と同じ人物だったとだけ。
雛は魔女と犯人、どちらに投票すべきか迷っているようでしたが。
投票
推理パートも踏まえて、投票先は以下のようになりました。
和花→凛瑚
雛→藤乃
藤乃→凛瑚
凛瑚→藤乃
藤乃と凛瑚に2票ずつ。
この場合、凛瑚が誰を魔女だと認識しているかによってエンディングが変わります。凛瑚が魔女だと指定したのは藤乃。
「魔女裁判」の結果、生贄として決まったのは、生徒会書記、1年生の柏木 藤乃でした。
エンディング
我々が辿り着いたのは、END3「不死の魔女からの贈り物」。
エンディングの内容について、ここでは何も語りません。
ただ、PLたちがエンディングの描写にも協力してくれました。地の文はGM、セリフをPLが読み上げ演じることによって、ただ黙読するよりも雰囲気のある、とてもいいエンディングになったと思います。特にPL3、きーさんの表現は「不死の魔女 藤乃」そのものでしたね。
総括
魔女裁判の結果吊られるべきは、魔女かそれとも犯人か。
史実では魔女であることそれ自体が罪であり、処刑される対象とされていました。しかし魔女だろうと誰だろうと、公共の福祉に反する行為をしなければ、本来咎められる謂れはないはずです。
この学院魔女裁判で生贄とされるべきは、一体だれだったのでしょうか。
などと書いてみましたが、まあ今回はハッピーエンドっぽい終わりかたに皆満足していたので終わりに悔いはありません。まあ、「生贄を捧げる」という学院のルールに従わなければならなかったのは、ちょっとつらみがあったような。学校という小さな社会にもしがらみは多いですね。
シナリオ自体について。
自分はこのシナリオの面白さを定量的に評価することはできません。しかしGMをやっていて楽しかったですし、PLたちも楽しいと言ってくれていました。この楽しさはシナリオそのものの面白さから生まれた部分が少なくないはずです。PC全員がお嬢様、ミッション系の学院。日常から離れた世界観は、我々をゲームに没頭させるに十分なものでした。
とても楽しく遊べるシナリオでした。
最後になりましたが、一緒に遊んでくれた仲間たちに感謝を。
シナリオからくる楽しさも大きいものですが、そもそもメンツが揃わなければセッションができません。この楽しさはやはり、PLの4人としか生まれないものだったと思います。他のメンツとやれば別の楽しさがあるでしょうが、今回のセッションは一度きり、今回の楽しさもこのメンツが集まったからこそ。
またやりたいですね。
使用素材など
※敬称略
魔女狩りのイラスト, 家族会議のイラスト - いらすとや
チオビタ・ドリンクのイラスト - イラスト素材365日
メガネのイラスト - ツカッテ
古い鍵のイラスト - イラストせんせい
リベリアの世界地図イラスト - ソーガ(イラストAC)