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31回18か国のゲストを受け入れた女の子が大人になった!(後半)

こんにちは。NAGOMI VISITです。本記事では、NAGOMI VISITのホストへのインタビューを前半と後半に分けてご紹介します。

前半の記事はこちらからどうぞ。また後半では、杏さんのお母様にもご登場いただき、親の立場で意識されていたこともお聞きしています。

初対面の外国人と話す力

真田:NAGOMI VISITを通じて学んだことはありますか?

杏さん:初対面の人、それも文化や言語が違う大人と会話する経験は珍しいので、話す力がついたと思います。小学生の頃は英語がほとんどわからず、わかるところだけなんとなく参加している感じでしたが、小学校高学年から中学校くらいになると質問のストックができ、同じフレーズを言い慣れてきて、次に何を聞こうかと自然に考えるようになりました。

真田:返ってくる答えに圧倒されることはなくなりますか?

杏さん:最初は全くわからず、何度も話してもらいましたが、慣れてくるとわからない部分があっても「この単語が聞けたからよし」という気持ちで、半分程度しかわからなくても「ふ~ん」と言ってみるなど、理解力が向上しているため、少しずつ英語話者の話に慣れてきたのではないかと感じます。
 
真田:NAGOMI VISITで得た経験は今の自分にどのように役立っていますか?

杏さん:NAGOMI VISITで初対面の人と話す力が付き、新しいコミュニティでも積極的に話す姿勢が身につきました。また、現在イタリアンレストランでアルバイトをしており、外国人のお客さんも多いため英語での接客が求められます。以前なら戸惑ったかもしれませんが、NAGOMI VISITでの経験があるため、まずは相手の英語を聞いて、自分の英語が伝わらなくても何度も試してコミュニケーションを取る力が接客にも役立っています。
 
真田:NAGOMI VISITは今の自分のどんな要素を作ってくれましたか?

杏さん:私は現在、立教大学の観光学部に所属しており、NAGOMI VISITの経験が観光学部を選んだ大きな理由です。5年間で18カ国のゲストを受け入れ、喜んでもらった経験が、外国人のお手伝いをしたいという思いに繋がり、観光に興味を持ち学び始めました。今は、地域の価値観と観光者の期待の違いや、開発者と現地の人々の価値観のギャップについて学んでいます。価値観の違いはNAGOMI VISITでゲストとお話しすることで理解につながると思うので、異文化交流を通じて視野を広げる貴重な機会を提供してくれると思います。

日本文化への気付きとゲストからの学び

真田:NAGOMI VISITで受け入れをして日本についてよく考えるようになったと感じていますか?

杏さん:NAGOMI VISITで来るゲストは、日本に深い興味を持っている方が多く、私が知らない日本の知識を持っていることがあります。親の会話を聞いたり、質問されて自分で調べたりしているうちに、実際に日本に住んでいても日本のことを知らないんだなと思い、日本人なのにゲストさんに負けているなと感じました。
 
真田:最後に、NAGOMI VISITを経験してよかったと思いますか?

杏さん:とてもよかったと思っています。NAGOMI VISITで多くの外国人と会話することで、初対面の人との接触や英語を話すことに対する抵抗感が減りました。子ども時代は恥ずかしさがありましたが、31回も受け入れ、外国人が来るのが当たり前という世界に踏み込んでみると徐々に自分からゲストにアプローチしようと積極的に話すようになり、人見知りも減少しました。

真田:多くの人は、英語を流暢に話さなければ会話が成り立たないと感じたり、食事の場では逃げ場がないと感じるかもしれません。回数を重ねるうちに、楽しい雰囲気を感じるようになり、不安が減ったと感じますか?

 杏さん:子供時代は親のサポートがありましたが、昨年夏にNAGOMI VISITで受け入れたゲストさんに招待されて、初めて一人でオランダに行き、10日間オランダの家族の家に泊まらせて頂き、親も日本語話者もいない状況で英語漬けの生活を送りました。英語で会話と言っても試験とは異なるので、10日間のオランダ滞在中、英語がわからないときは聞き直したり、調べたりしました。リスニングは身につきやすく、わからないことを伝えれば相手も待ってくれることに気付きました。完璧な英語を話さなくても、まずは英語の世界に飛び込んでみることが大切だと思います。
 
真田:喜びのシャワーをもらっている感じがします。ありがとうございます。
ではここからは、お母様の景子さんからのお話を聞きたいと思います。

親としての心配と配慮

真田:景子さん、受け入れしたときに意識していたことについて教えてください。

景子さん:私達は家族全体での受け入れを意識していました。 それぞれ長女、次女と年齢が違うのでその年齢に応じた役割、例えばウェルカムボードや茶道など、自分の得意なことをやってもらいました。あとは本人任せることが多かったです。何か聞かれたらアドバイスはしましたが、基本的には自分の得意なもので、自分なりに考えて受け入れをするというスタンスでした。
 
真田:最初受け入れる受けるときに何か心配していたことはありますか?

景子さん:そもそも受け入れのきっかけが、彼女がどうしてもこの夏に受け入れたいということで、親が何か環境を与えるというよりも、子供から発信で、私達は慌てて探してNAGOMI VISITに結びついたので、心配よりは子供がやりたいということであっという間に進んでしまったような気がします。
 
真田:子供がやりたいと言っても結局途中でやめてしまったり、実際その場になったらなんか怖がったりすることがあるのではないかという不安はありましたか?

景子さん:受け入れ前にはどうしようと思うこともありましたが、NAGOMI VISITは最終的にはハッピーな結果になるため、子供たちも次回また受け入れたいと思うようになり、そのサイクルが回っていったような気がします。

杏さんが小学生の時に書いていたホームビジット日記

真田:次にどんな人が来るかなど、NAGOMI VISITを始める前に何か説明していたことはありましたか?

景子さん:はい、どんな国の人を受け入れるかということについても説明していました。また受け入れにあたって、子供たちには「この人を受け入れるけどどう思う?」と意見を聞きまたし、ウェルカムボードを書く役目があったので、ゲストの情報も伝えていました。
 
真田:具体的にどうやって一緒に決めていましたか?
 
景子さん:リクエストの中から、携帯を見ながら考えたり、子供達と私たちのスケジュール次第だったりしました。また、ホストがなかなか決まらない、と困っているゲストがいるときは受け入れようかという話になりました。
 
真田:小学校高学年までは普通にやっていても、中学になっては嫌になったことはありますか?

景子さん:長女は歳が少し上なので、思春期に入るのも早かったので恥ずかしいという思いはあったと思います。しかし、今になって最近大人同士の話で、懐かしい、受け入れた人に会いたいというような話は聞いているので思春期には恥ずかしさがありましたが、振り返ると良い思い出だったのかなっていう気がします。受け入れたらもう逃げ場がないので、その場をどうしたら楽しめるかを子供ながらに考えていたと思います。

真田:お姉さんと杏さんとで何か違うなと感じたことや、面白いエピソードはりますか?

景子さん:思春期の子供とまだ思春期前のことなので、恥ずかしがるポイントが違うのでその日は面白かったですね。思春期の子だと食べるのも少し恥ずかしそうでしたが、下の子はどんどん食べてゲストの方に「よく食べるのね」と言われてにっこりしていました。
 
真田:子どもが自分の部屋に逃げてしまったことはありましたか?

景子さん:迎える前は、特に上の娘は「恥ずかしい」と部屋にいることもありましたが、いざゲストがいらして、挨拶してからは本人ながらにも切り替えて、楽しく過ごすことが出来ていたのではないかと思います。

家族の成長と振り返り 

真田:受け入れを始める前の声かけやディスカッションはありましたか?

景子さん:決まった声掛けはありませんが、「あと30分で来ちゃうよー!」というような焦りはありました。しかし、掃除をする人と迎えに行く人と、ウェルカムボードを書く人というように、徐々に役割分担はしっかりしていきました。
 
真田:杏さんにもお聞きしたいのですが、その役割が嫌だなと思った時はありましたか?

杏さん:最初は楽しくてウェルカムボードを凝っていましたが、だんだん大変になってきたり、学年が上がるにつれて、私の日常生活も忙しくなり、「もう来るのか」といった焦りや時間がないと感じ正直適当になってしまった部分もあったと思います、しかし、高学年になると会話も少し参加できるようになり楽しくなってきました。最後はみんなで笑顔で終われるので、また受け入れようかなっていう気持ちになったと思います。
 
真田:終わった後の家族の会話はどのような話をしていましたか?

景子さん:片付けをし、残りものを食べながら、新しい気づきについて家族で共有していました。家族で反省会と言っていますが、反省会と言っても3時間ぐらい過ごした中でのそれぞれの気づきを共有する時間でした。また時間が経ってだんだんお腹がすいてきたり、料理が残っているのでみんなで食べようという感じでした。
 
真田:杏さんにお聞きしますが、その家族の時間はNagomi Visitを経験していないとあり得ないような家族の会話かと思いますが、その会話を通じて、親がこういう人だったという新な発見はありましたか?

杏さん:子供の自分からすると、親が食卓で英語をペラペラ話している姿をみていると、英語が喋れていて会話に馴染んでいるなと思い感心しますが、終わった後の会話で、意外にも父が「あのときこれ言えばよかったな」とか、母が「これも質問してみればよかったな」などと話しているのを聞いて、英語が喋るのが容易で、受け入れることにも全然抵抗がないというわけではなく、親も親なりに色々なことを考えて話しているのだなと思いました。

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真田:とても幸せな時間をいただき、本当にありがとうございました。今回、NAGOMI VISITを検討されている方々に、子供が実際にどのように感じているかを知っていただけたのではないかと思います。

今回は主体的な子供でしたが、どんなに主体的であっても、日本の日常ではあり得ないような特別な経験ができるプログラムであると改めて実感しました。その中で学びや変化があったというお話を伺い、受け入れに興味のある方々にとって、小学生の子供たちが感じていることを共有できて色々な人の学びになると思います。

今日は本当にありがとうございました!


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