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31回18か国のゲストを受け入れた女の子が大人になった!(前半)

こんにちは。NAGOMI VISITです。本記事では、NAGOMI VISITのホストへのインタビューを前半と後半に分けてご紹介します。

ホスト紹介

NAGOMI VISITの副理事の真田ありさと申します。今日はとても貴重な機会を頂きました。浅羽 杏さんにお越し頂いています。現在、観光学部で勉強している大学生で、小学校3年から中学校2年生の終わりまで、非常に長い期間 NAGOMI VISITに関わっていました。

実家で2014年から2018年の間で、31回、18カ国の方々を受け入れてきました。リストを読み上げますが、本当に驚きました。アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、デンマーク、リトアニア、ノルウェー、カナダ、フランス、イギリス、ベルギー、オランダ、イタリア、ミャンマー、シンガポール、ロシア、スウェーデン、イスラエル、ドイツです。

今日の趣旨は、 NAGOMI VISITが子供にどのような影響を与えるかを探ることです。子供時代に多くの人々と自宅で会うという珍しい経験を通じて、どのように成長したのかをお話しして頂きたいと思います。

NagomiVisitでの思い出

真田:それでは、早速最初のご質問です。 NAGOMI VISITの活動を最後に行ったのは6年前になると思いますが、その記憶はまだ残っていますか?

杏さん:NAGOMI VISITを5年間続けてきたうちの全ては思い出せませんが、最初の方は初めての経験が多かったので、特に印象に残っています。例えば、最初に受け入れたのはアメリカの3人家族でしたが、夏だったので皆で花火をしたことを覚えています。

真田:印象に残っているゲストとの会話など、特に記憶に残っているエピソードはありますか? 

杏さん:ニュージーランドの方を受け入れた際、テレビ番組の取材に協力しました。そのとき、フラフープを披露したり、姉が茶道部だったので茶道を披露したりと、子供ならではのおもてなしを頑張ったのを覚えています。また、たこ焼きをみんなでひっくり返して楽しむアクティビティを行った際、母が持ってきたたこ焼きマシンを見てニュージーランド人の旦那さんが驚き、「これは何だ?」と言ったことが印象深いです。珍しい体験をして頂けたと思います。

異文化との出会いがもたらした気づき

真田:他にすごく印象に残っているゲストはいますか?

杏さん:
最初に受け入れたアメリカ人の家族の娘さんが学校に通わずホームスクーリングで家で勉強していると聞きました。私の感覚では、学生は学校に通うのが普通で、学校に通わない子が珍しく、とても驚いたのを覚えています。日本ではホームスクーリングはあまり聞かないですが、他の国の話を聞くと、学校に行くのが当たり前という価値観が必ずしもそうではないのだと感じました。

他に印象に残っているゲストは、イスラエルの女性の方お二人です。イスラエルというと、私の感覚では紛争が激しく国内が危険な状態だと思っていましたが、話を聞くと、国内はそんなに危険ではなく、また水の施設が発達しているため、フルーツや野菜が豊富で、安くて美味しいものが手に入るそうで、自分の固定概念が崩されたようで、とても驚いたのを覚えています。

真田:この固定概念はどこから生まれた情報だと思いますか?

杏さん:私の場合、テレビのニュースや日常会話で得たものでした。当時は子供だったので、親や大人の話をそのまま信じていた部分もありました。また、詳しいことはわからなくても、イスラエルが危険だという端的な情報を持っていたり、小学3年生で英語が全然わからなかったので、親が通訳してくれた時の親が驚いている姿や親の言い方などで、珍しいことなんだと感じ取っていたのではないかと思います。

受け入れ時の緊張感と親の変化

真田:最初の受け入れをしたときと比べて、自分の緊張感も含めて親の緊張感の違いの変化について何か記憶に残っていることはありますか?


杏さん:最初はなにもかも初めてで全員緊張していましたが、回数を重ねるうちに外国人と英語で会話するのが日常になり、緊張が和らぎました。親も質問のパターンが決まり、以前に面白い答えが返ってきた質問を他国のゲストもすることが増え、徐々に受け入れがスムーズになったと思います。

真田:会話の途中で何か質問したいと思うこともありましたか?

杏さん:はい、ただ英語がわからない場合が多いく、まず親に聞いて、親が代わりに英語で質問してくれたり、難しい英語を使わなくても話せるような内容なら1回調べてみたり親に確認を取ったりしながら、頑張って自分で質問してみたりしました。

真田:大人の会話がわからない時、どのように乗り越えていましたか?

杏さん:会話に入れないとたまに退屈になってしまいますが、人の表情や声のボリューム、トーンなどに注目して、皆が驚いていると感じたら自分も「へー」と相槌を打ってみると、会話に参加しているような感覚を持つことができました。31回の受け入れを通じて、最初はわからなくても、だんだん驚いている様子などを察知するようになり、子供でも何となく理解できる
ようになるのではないかと思います。

子どものおもてなし

真田:受け入れの際に自分が担当していたことはありましたか?

杏さん:私はゲストとの待ち合わせで使用するウェルカムボードの作成を担当しました。ゲストの国の形をウェルカムボードに描き、その国旗の模様で色を塗り工夫していました。

実際にアメリカのユタ州から来てくださったゲストがいた時、ユタ州だけを切り取って描いたところ、「おー、ユタ州だ!」と驚いてくれました。アメリカという大きな国の中で、地元であるユタ州が特別に描かれていたことに驚き、親近感を持ってくれたのだと思います。

小3でたまたま国旗が好きだったからこそ思いついた発想で、ゲストの方も自分の国の絵を見て喜んでくださり、やってよかったなと思いました。

真田:旅行先で地元が登場するのは初めての経験だったでしょうし、見つけやすかったでしょうね。

杏さん:また、私は折り紙で海の貝を折り、その中に提供する料理のメニューを英語で書いてテーブルの上に置いていました。また、ハート型のブレスレットも折り、ナプキンに挟んでいました。ナプキンを取ったときにブレスレットになることを説明すると、ゲストはとても喜んでくれて、写真を撮ってくれました。折り紙を楽しんでいる姿が見られて、私も嬉しかったです。

真田:聞いていて幸せな気持ちになります。他に何か担当していたことはありますか?

杏さん:お箸が苦手なゲストのために、英語でお箸の持ち方をノートにまとめ、それを見ながら説明しました。最初は、お箸に苦戦しているゲストを純粋に助けたいと思いましたが、英語がわからないと伝わらないことに気づき、しっかり準備することが大切だと思いました。自分で調べたり、親に教えてもらったりして、お箸の使い方を説明できるように準備しました。

英語の葛藤と成長

真田:英語が話せないなと感じたとき、どのような葛藤がありましたか?

杏さん:日本語で言いたいことが英語で表現できないと感じていました。周りが自分より年上で、大人の世界に感じたので、丁寧な言葉遣いを意識してしまい、止まってしまうことが多くありました。それがとても嫌で、自分で調べるようになりました。

真田:大人が話しているときに自分が話せないという状況の際どんな気持ちだったか覚えていますか?寂しい、逆に会話に入りたいのに入れないなど、何か記憶に残っていることはありますか?

杏さん:食卓にご飯が沢山並んでいるので、わからないときは、ご飯をいっぱい食べていたと思います。ただ、会話が盛り上がってきて親が驚いたり、大きな声が食卓に響いたりしていると、やはり聞きたいと思い、会話の内容を親に聞いたり、その後は少しご飯を止めて会話を聞いてみようかなと思ったりしました。NAGOMI VISITを続けていくと徐々にわかる英語とわからない英語がはっきりしてきました。それを親に確認するうちに、少しずつ英語の成長を感じ始めていたと思います。ご飯だけでなく、わからなくても会話を聞いてみよう、積極的に参加しようという意欲が出てきたのだと思います。

英会話教室と実際の会話の違い

真田:その言葉が一つ一つ聞こえ始めるのは、英語を勉強したから聞こえ始めるのですか?

杏さん:小学校1年生から子供向け英会話教室に通い始め、小学校三年生頃から学校でも英語の授業が始まりました。その頃から、 NAGOMI VISITのゲストが話す英語の単語が少しずつ理解できるようになり、単語だけでも会話のトピックがわかると、内容が完全にはわからなくても少し会話に参加している気持ちになれ嬉しくもなってきました。

真田:英会話教室で聞こえる英語とNAGOMI VISITで聞こえる英語の話している内容にはどんな違いがありましたか?

杏さん:一番違うと感じたのは、スピードです。英会話教室は、日本人の小学生用に教材が作られているため、ゆっくり説明してくれます。しかし、ゲストの方は英語が公用語だったり英語教育が盛んで英語が話せる人が多いためスピードが速く、全部が呪文のように聞こえることもあります。それを聞き取るのは大変で、本当に英語話者が来たなと感じました。ゲストの方
が私にも質問してくれる際に聞き取れずに何度も聞き直したり、1回親に助けを求めたりと、時間はかかりましたがなんとか会話を続けていました。

ゲストとの再会

真田:再会したゲストはいらっしゃいますか?

杏さん:シンガポールからいらしたエスターさんという方が NagomiVisitで家を訪問してくださり、その後連絡先を交換し、再び日本に来る際にご連絡を頂き、2回目はパートナーと一緒に家にいらしてくれました。

真田:再会するモチベーションはどこから来ますか?

杏さん:家で3時間程共に過ごすと仲良くなり、その貴重な出会いを一度きりで終わらせたくないと思い連絡先を交換します。2度目に会うと友達のような感覚で親しみが増し、再会の時間がより特別に感じられます。1日あると、より積極的に英語でゲストと話すことができます。例えば、家で食卓を囲むだけでなく外に出て日本の興味ある場所を案内すると、移動時間に「これは何ですか?」と短い会話ができ、食卓での会話よりも気軽に話せます。再会することはお互いにとって素敵な経験になると思います。

真田:自分の母語ではない英語で仲良くなるのは NAGOMI VISITを経験したことがない人にはイメージしにくいと思いますが、仲良くなったという感覚はどうやって得ましたか?

杏さん:まず親の反応を見て「仲が深まっているな」と感じ、時間が経つにつれて打ち解けていく感覚がありました。ゲストも私たちもお互いに訪れたい、受け入れたいという思いがあり、笑顔で迎えいれる雰囲気があるため、自然と親しみが生まれました。また、子供の私にゲストの方々が笑顔を向けてくれて、素敵なお兄さん、お姉さんだなと思いました。折り紙でおもてなしをしてさらに楽しんでいる姿を見て、私も嬉しかったのだと思います。



インタビュー後半では、杏さんのお母様にもご登場いただき、親の立場で意識されていたこともお聞きしています。



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