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結婚指輪を外した日

左薬指の指輪を外した。
ずっと苦しめられてきた束縛から、私は解放されたのだ。

結婚指輪・ピンキーリング・婚約指輪、すべて外した。

淋しいくらいの解放感。
外して気づく、指輪を触る癖。

***

なんか「離婚しました」みたいな書き出しっすね、えへへ。(;・∀・)

結婚当時から10kgも太ったもんで、指輪がぱっつんぱっつんでビクとも動きやしねえ!
食品関係のバイトに行けば
「衛生面からも指輪外してね。え、外れない? うーん、仕方ないね。上から絆創膏巻いてください」
って、幾度わずらわしい思いをしてきたことか。
自分で外そうと石鹸をつけたり、指にぐるぐる糸を巻いたり試みましたが、関節という壁を乗り越えることができない。
やがて指が紫色に変色してくる。
「指がもげる~!」
怖っ、諦めます。
MRIを撮る時も、アクセサリー類は外してくださいとのこと。
「あのう、指輪が外れないのですが……」
「金属は破裂することがあるんですよねぇ。ま、大丈夫か!」(←大丈夫か!?)
実際なんともありませんでした。

麻酔科からもらった説明パンフレットにも

電気メスを使用するため、やけどをしないように湿布や金属を含むもの(指輪・アクセサリー類・腕時計・ヘアピン・かつら等)は外してください。

と書かれている。

今回も「ま、大丈夫か!」で済むかと気楽に構えていましたが、さすがにダメだそうです。
熱伝導によるやけども怖いですが、術後は浮腫むくむそうで「手術したら指一本失くなりました、なんてことになったらイヤですよね(笑)」
だってさ。

病院では指輪を外す処置はしないというし、力ずくでは指がもげそうになるし、専門のカッターで切ってくれる所を探さなくちゃ。
って、それはどこ?
病院の待合室でGoogle検索する間もなく、処置室に呼ばれる。
「ご主人は先に診察室で待っていてくださいね」
と、私だけちょいちょいと手招きされる。
促されるまま先生のデスク脇の椅子に腰かけると、
A先生「指、見せてもらっていいですか?」
B女史「関節はそんなに太くないからいけそうじゃない?」
C女史「引っ張ればなんとかなりそうですね」
なんか懐かしいノリの、女子の輪に交えてもらった。
薬指の肉をグイグイ移動させながら、着実に関節に近づく指輪。
私「まだ大丈夫ですっ!」
A先生「石鹸使う?」
B女史「私の指も滑るからダメだよ~」
指輪を引っ張ってくれるB女史の爪の、パチンと弾ける音がする。
爪が割れちゃう~、すみません(汗)
C女史「一番細いタコ糸、どこかにあったよね」
通りすがりの男性職員に問うと「タコ糸なんか何に使うんすか?」と目を丸くしていた。
私「まだ大丈夫ですっっ!」
身を任せっきりの私は、とにかく自分がまだ余裕ありだと知らせるしか術がない。
関節を抜ける頃、ちょっと圧迫痛があったけど、指輪が抜けそうな感覚もあった。
指を見ると紫色になっていたが、ここは病院。
なにかあれば処置してくれるし(というか、ここは処置室)、先生の判断で事は進んでいるので安心して任せられます。

\(^^)/祝\(^^)/
長年束縛されていた
結婚指輪が外れました~!

「なんか楽しそうだったね」
診察室で一人、ポツンと待たされた夫は淋しそうだった。

改めて、診察室で面談に入ります。
お仕事モードに入った先生は、コホンと咳払い。
入院当日の予定の説明をしていただきました。
手術時も、このくらいリラックスできたらいいな。

戦った痕が痛々しい。突き指した感じだったけど、すぐ良くなりました。

※ご厚意でやっていただきました。通常、病院ではリングを外してくれませんのであしからず。

~2022.1.21~


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