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手術室に連れていったもの〈中編〉@入院中

手術室前の自動ドアが開くと、そこは……

私たちのような、看護師&患者のペアが大勢いました。
こんな密状態は久々!
見渡した限り、マスクで顔は隠れているけど女性の姿しかいない?
女性がこんなにも集まれば、パッと場が華やぎそうだけど、ここは手術室一歩手前。
みんな、私と同じ不安な目をしてる。
でも私にとって心強い場面だと感じた。
同時刻に手術する仲間がこんなに大勢いる。
コロナ禍で面会すら出来ない状況だけど、みんな一人じゃないよ。

手術直前確認の順番待ちです。
待っている間、付き添いの看護師さんが空いている長椅子に座るように促してくれた。
ぬいぐるを抱えたのは誰一人いない。
恥ずかしいとかもう関係ないね。
御守りあーちゃんをギュッと抱きしめる。
「つちだなごみさーん」
名前を呼ばれ、髪を指定のゴムでしばり手術用のぼうしをかぶり、アクセサリーや湿布をしていないか最終確認。
「左手奥の1番のお部屋に入ってくださいね」
トップバッターの数字に一瞬だけ気持ちが上がる。
1~7くらいまで手術室の扉があるのが見えた。
率直な感想、映画館みたいだなと思いました。
「1番スクリーンへどうぞ」と、頭の中で妄想しながら手術室に入った。

手術室は、まあ想像通りの雰囲気。
不躾にキョロキョロ見渡していると「こちらの台に乗ってください」。
病室のベッドの半分くらいの狭さだった。
あらかじめかけられた毛布にもぐり込むと、無機質な手術室とは結びつかないほど、足下がポカポカ暖かく気持ち良かった。
で、あーちゃんを渡される。
おうおう、よくきたな。
なでなで。
「確認の為、お名前、生年月日、今日の手術内容を教えてください」
「つちだなごみです。197Ⅹ年2月14日生まれ。右腎臓部分切除です」
人違いや違う臓器取られたら大変だもんね。
「麻酔科の○○です」
「看護師の△△です」
みなさん代わる代わる、私の顔を覗き込んで笑顔でご挨拶して下さる。
麻酔科の先生、パッツンパッツンの指輪外してくれた人だ。

あの時はキャッキャ言いながら、リラックスして楽しかったな~
今日はそうだな、「私、失敗しないんで」って米倉涼子みたいにキリッと一言言って笑わせて欲しい。
変なこと考えている間に、手際よく身ぐるみ全て剥がされ、心電図や血圧計やパルスオキシメータやら、ペタペタ張られる。
「背骨の間に麻酔の針を刺すので、横向きのままグッと体育座りして、背中を付き出してください」

つづく

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